更田規制委員長、大山噴火に係る新知見を巡りバックフィットに対する考え示す
原子力規制委員会は6月19日、大山火山(鳥取)噴火に伴う火山灰の降灰に係る評価を踏まえ、関西電力に対し、高浜、大飯、美浜の各原子力発電所がこれに基づく規制要求に適合するよう原子炉設置変更許可の申請を命じた。同日の規制委定例会合での決定を受けたもの。会合終了後の会見で、更田豊志委員長は、既に許認可を受けた施設が新知見に基づく規制要求に適合することを確認する、いわゆるバックフィットに関して記者からの質問に応じた。更田委員長はまず、福島第一原子力発電所事故発生後に来日したIAEA調査団のジェームズ・ライオンズ団長が発した「継続的改善の欠如」との指摘が印象に残っているとした。その上で、「継続的改善のためには、決定的に大きな事実であるかよりも、小さなことでも取り入れて審査の土俵に乗せていくことが非常に重要」と、新たな知見を取り入れるバックフィットに対する規制委員会の姿勢を示した。
一方で、今回の原子炉設置変更許可申請命令に伴い、大山の噴火は差し迫った状況にないことから、関西電力に対し原子炉の停止は求めていないが、更田委員長は「『不適合イコール施設の利用停止』ではない」ことを繰り返し強調。さらに、「継続的改善で大事なのは、施設の一番近くにいる事業者の気付き事項が速やかに反映されること」などと述べ、施設の停止が事業者による自主的な継続的改善の取組の妨げとなることを危惧した。
また、海外の規制機関の動きや事業者とのコミュニケーションのあり方などに触れた上で、今後バックフィットの事例を取りまとめていくことにも言及した。