福井県・杉本知事が文科・経産省に原子力政策で要望、廃炉の進展をとらえた産業振興も

2019年6月25日

柴山文科相(右)に要請書を手渡す杉本知事

 福井県の杉本達治知事は6月25日、文部科学省、経済産業省を訪れ、原子力政策の着実な推進や地域振興策の拡充などに関する要望を行った。
 知事より柴山昌彦文科相、滝波宏文経産大臣政務官に手渡された要請書では冒頭、地方創生の強力な推進に向け、交通・物流の基盤整備や国土の強靭化とともに、「国民生活の安定や産業の発展、国家の安全保障を実現する揺るぎない原子力・エネルギー政策を実行すること」が強調されている。具体的には、福井県が直面している原子力発電所の廃炉、40年超運転、使用済み燃料中間貯蔵、放射性廃棄物処分、原子燃料サイクルなどの様々な課題について、「国が全体性を持ってさらに検討を行い、責任ある政策を着実に実行すること」を要望。特に、2030年エネルギーミックスの達成の前提となる40年超運転については、国が前面に立って、その必要性や安全性を国民に対し丁寧に説明すべきとしている。

滝波経産大臣政務官(左)に要請書を手渡す杉本知事

 杉本知事は、柴山文科相との会談の中で、高速増殖原型炉「もんじゅ」廃止措置に係る指導・監督や原子力研究・人材育成基盤の維持・発展の重要性を強調。県では現在「エネルギー研究開発拠点化計画」に代わる新たな計画を検討中だが、敦賀・嶺南地域を拠点とした「エネルギー・コースト構想」と標榜し、所要の予算措置が図られるよう要望した。また、廃炉が進展する国内原子力発電プラントの現状を描いた図を柴山文科相に提示しながら、「廃炉は新しいビジネスチャンス」として、産業創出に向け地元企業の技術力向上や人材育成への支援を求めた。
 滝波経産大臣政務官との会談では、原子力政策に関する国民への十分な説明や、立地地域振興に向けた電源三法交付金の廃止措置終了までの適用などが要望事項として強調された。
 4月の就任から2か月を迎えた杉本知事だが、次年度予算案策定を見据えた政府への要望活動は今回が初めてとなる。