規制委がメーカーの製品検査不備などを整理、更田委員長「わが国のもの作りの信頼に関わる」と

2019年6月26日

 原子力規制委員会は6月26日の定例会合で、製品の検査未実施・データ改ざんなど、原子力施設に関連したメーカーによる不適切行為について取りまとめ発表した(規制委員会発表資料)。2017年に神戸製鋼所による配管の肉厚測定の一部未実施や成分分析結果の書換えなどが確認され、以降も他のメーカーで類似の事例が続いたことから、納入先となる事業者からの聞き取りを通じ、対応状況や評価について整理したもの。
 それによると、不適切行為が確認された、もしくは可能性のある製品が納入されていた事例計9件において、これまでのところ、原子力安全上の問題は確認されていないとしている。検査不備のあった電力ケーブルで、建設中も含めて18か所の原子力発電所に納入されていたものもあった。
 更田豊志委員長は、会合終了後の記者会見で、一連の事案について「原子力産業に限らず、わが国のものづくりの信頼に関わるもの。メーカー側の不適切であっても、納入される事業者側できちんとチェックする体制が必要」と、調達管理能力の問題を強調した。また、海外で発生した原子力機器の製造に関わる疑義として、韓国の模造品やフランスの鍛造品組成の問題を例示し、規制当局が機器類の供給者に対し直接検査を行う「ベンダー・インスペクション」について言及したが、一義的に事業者が規制対象となっている日本で導入するには議論が必要などと述べた。