福島第一、1号機使用済み燃料プールからの取り出しに向け水に浮く養生バッグ設置へ

 東京電力は7月25日、福島第一原子力発電所廃炉の進捗状況を発表した。

1号機使用済み燃料プールへの養生バッグ設置イメージ(東京電力発表資料より引用)

 2023年度の開始を目指す1号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けては、プール上に崩落した屋根の撤去作業に先立ち、ガレキ落下に伴うリスクを低減するため、2020年3月にも養生バッグの設置に着手することとしている。使用済み燃料プール水面12m×7mに対し、11m×6mの範囲を覆う格好で設置される養生バッグは、巻物状で投入し空気で広げた後、エアモルタル(水に浮く軽石状に固化する)を充てんする。同社の説明によると、養生バッグは「400kgの鉄骨材が9mの高さから落下しても耐えられる」ほどの強度だという。養生バッグ設置の準備作業として、8月から水中カメラを用いたプール内の調査を実施する。
 7月4日に再開された3号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しは、21日までに全燃料体566体のうち、28体の取り出しが完了。9月初旬からの次の燃料取り出しに向けて、24日より燃料取扱設備の点検に入っている。福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの小野明氏は、25日の記者会見で、3号機燃料取扱設備を巡りトラブルや疑義が相次いだことに関し、「4号機燃料取り出しの頃と異なり大熊町でも帰還が進みつつある。周辺住民の方々に不安を与えないことが第一」と、安全最優先に作業を進めていくことを改めて強調した。
 なお、クレーンの吊り上げ高さ確保のため延期されていた1/2号機排気筒解体作業は、7月22日よりクレーンの最終動作確認を行っており、8月上旬にも開始される運びだ。