東電が福島第二全号機廃炉を決定
東京電力は7月31日、福島第二原子力発電所全号機(1~4号機、BWR、各110.0万kW)の廃止を決定した。同発電所の取扱いに関しては、2018年6月に小早川智明社長が福島県の内堀雅雄知事を訪れ、全号機を廃炉の方向で検討する旨を伝えていた。〈東京電力発表資料は こちら 〉
今回の決定に当たり、同社では、(1)福島第一の廃炉作業も含めた人的リソース確保、(2)安全な廃炉、(3)地域の産業振興に向けた貢献――を基本方針とし、「福島第一と合わせてトータルで地域の皆様の安心に沿えるよう、誠心誠意取り組んでいく」としている。
今後の福島第二の廃炉工程については、1基当たり30年程度を見込んでいるが、福島第一の廃炉と並行することを踏まえ、全4基の廃炉を終えるには40年超の期間を要する見通しだ。また、発電所内に保管中の使用済み燃料(約1万体)は、乾式キャスクによる中間貯蔵施設を構内に設置し、使用済み燃料プールからの取り出しを計画的に進め、廃炉終了までのできるだけ早期に全量を県外に搬出するよう努めることとしている。
福島第二原子力発電所は、1982年に1号機が営業運転入りしたのに始まり、1987年までに全4基が運開した。いずれも東日本大震災に伴い運転を停止したが、発災時、当時の増田尚宏所長(現日本原燃社長)は的確に指揮を執り事態の収束を図った。
原子力規制委員会の更田豊志委員長は、31日の定例記者会見で、「4基の廃炉は極めて大きな事業。福島第一の作業に影響が及ばないようきちんと見ていく」と、コメントした。また、発災当時の状況を振り返り、「福島第二も決して備えが十分だったとはいえない」と指摘した上で、「現場に対し明確な指示が早急に行われていなければ、事態はさらに深刻なものとなった」と述べ、事故時におけるリーダーシップ発揮の重要性を教訓として強調した。