エネ庁、福島第一の処理水に関する委員会を7か月ぶりに開催
福島第一原子力発電所の汚染水を浄化した後に残る処理水の取扱いについて検討する資源エネルギー庁の有識者委員会が8月9日、およそ7か月ぶりに開かれた(=写真)。
汚染水は多核種除去設備(ALPS)で浄化し可能な限り放射性物質を除去しているが、取り除くことのできないトリチウムを含んだ処理水の取扱いが課題となっている。同委員会では、技術的観点に加え、風評被害などの社会的影響も含めた総合的な検討を行っており、2018年8月には説明・公聴会を東京と福島で計3回開催した。
同委員会のもと、処理水の取扱いに関わる技術的評価を行う「トリチウム水タスクフォース」では、処分方法として、地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設の5つに関する技術的成立性やコスト面の課題などを比較した報告書を2016年6月に取りまとめている。9日の会合で、資源エネルギー庁は、説明・公聴会での意見などを踏まえ、処理水の貯蔵継続を選択肢の一つとして示し、処分方法については「トリチウム水タスクフォース」における技術的検討を改めて確認した上で、今後の議論を進めていくこととなった。
また、東京電力が処理水貯留の見通しを説明。それによると、7月18日時点で約115万立方m(ALPS処理水約105万立方m、ストロンチウム処理水約9万立方m)の処理水が約960基のタンクに貯留されており、2020年末までに溶接型タンクにより約137万立方mの容量を確保する計画だが、約130~170立方m/日の処理水発生量で、2022年夏頃には満杯となる見通し。今後、使用済み燃料や燃料デブリの一時保管施設など、廃炉の進展に伴い必要な施設を設置していく中、タンクエリアの効率化を図っても、さらなる敷地が必要となるとしている。これまでに替わる処理水保管方式の検討としては、地中タンク他への型式変更や敷地外保管の可能性についても説明し、いずれも工事期間や地元の理解などから困難であることを述べた。