NUMOが地層処分先進地視察で報告会、学習支援事業の参加者らが対話
原子力発電環境整備機構(NUMO)は10月5日、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業に関する学習活動への参加者を対象とした報告会を都内で開催した。
NUMOでは、地層処分について「より深く知りたい」という地域団体が取り組む学生対話ワークショップや電力生産地・消費地交流などの学習活動に対する支援を2015年度より実施している。今回の報告会は、2018年度の支援事業に参加した大学生を含む6名が、地層処分の取組が進む「海外先進地」としてフィンランドとスウェーデンを9月に訪れ、研究施設の視察や自治体関係者との懇談などを行った所感について発表したもの。
また、同じくエウラヨキ市内の中学校への訪問について報告した松江エネルギー研究会代表の石原孝子さんは、「生徒たちが興味を持つよう工夫している」、「『できない理由』より『できる道筋』を考えさせる」などと、フィンランドの教育現場を見た所感を述べた。
今回の視察団を引率した澤田哲生・東京工業大学先導原子力研究所助教は、10年以上にわたり「中学生サミット」開催など、次世代層との対話活動を続けているが、他5名の視察参加者からの報告を受け、改めて高レベル放射性廃棄物処分問題の解決に向けて粘り強く取り組んでいく必要性を強調。「海外先進地」の視察を踏まえ、現地校との交流を図る「中高生主体の国際フォーラム」の構想を示した。
報告会では、少人数に分かれた車座対話も行われ、大学の講義で初めて地層処分問題について知ったという津田塾大学総合政策学部松本惟さんは、フィンランドのビジターセンターを訪問し、「見学者が年間数万人。地下水を持ち帰って飲むことができる」ことに驚きを感じたなどと話した。視察に参加した大学生とは教育に関する話題が中心となり、東北大学工学部の平澤拓海さんは、教師のレベルの高さとともに「『なぜ?』を繰り返す」教育方針を、「海外先進地」と日本の違いとして指摘。都内の小学校で地層処分を授業で扱っているという参加者からは、フィンランドとスウェーデンの処分地と、日本の原子力施設との立地環境の違いに関する質問が、学生を対象とした産消対話に取り組む参加者からは、「無関心層にどう関心を持ってもらうか」といった問題が投げかけられた。