規制委、玄海3号機の使用済み燃料貯蔵増強を認める「審査書案」取りまとめ
原子力規制委員会は10月23日の定例会合で、2018年に再稼働した九州電力玄海原子力発電所3号機(PWR、118万kW)の使用済み燃料貯蔵設備の増強(リラッキング)を認める「審査書案」を取りまとめた。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会を経て最終決定となる運び。
使用済み燃料ピットの各ラックセルの間隔を約360mmから約280mmに詰め、間隔の縮小に伴いラックセルの材料をステンレス鋼からボロンステンレス鋼という十分な未臨界性を確保できる素材に変更するもの(=図、九州電力発表資料より引用)。合わせて、同設備の一部を4号機と共用とする。2024年度を目途に工事を完了する計画で、貯蔵能力は1,050体(3号機全炉心燃料の約540%相当)から1,672体(同約870%相当)に増強される。
九州電力の玄海3、4号機はいずれも新規制基準をクリアし再稼働しているが、今後の使用済み燃料対策として、同社は1月に、現行のプール方式に加え、発電所敷地内に2027年度の運用開始を目指し乾式貯蔵施設を設置すべく規制委員会に審査の申請を行っている。同委では東日本大震災の教訓から乾式貯蔵を推奨しており、今回のリラッキングに係る審査で、九州電力に、乾式貯蔵と合わせて「どのようにサイト全体の使用済み燃料を管理・運用していくのか」説明を求めた。これに対し、同社は、「一定期間(15年以上)プールで冷却した燃料を原則として乾式貯蔵施設で貯蔵する」などと方針を示した。
電力各社では、六ヶ所再処理工場の早期しゅん工に向けた支援や使用済み燃料の貯蔵能力拡大などに取り組んでいるが、電気事業連合会が2018年11月にまとめた「使用済み燃料対策推進計画」によると、玄海原子力発電所の使用済み燃料貯蔵割合(使用済み燃料貯蔵量/管理容量)は77%に上っている。