除去土壌の中間貯蔵事業に関するシンポ、JESCO「まず仮置場をなくすこと」と
東日本大震災からの環境再生について考える「RADIEXシンポジウム」(環境新聞社主催)が10月24日、都内で開催され、福島県で発生した除去土壌を安全に集中管理するための中間貯蔵施設に関わる取組について中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO)社長の小林正明氏他より発表があった(=写真)。
シンポジウムでは、初めに原子力規制庁次長や環境省事務次官を歴任した森本英香氏が登壇。環境省顧問/復興庁参与として現在も取り組んでいる福島復興の状況について講演を行った。
JESCOの小林氏は、中間貯蔵事業を推進する立場から、大熊町と双葉町の理解・協力を得て実施している除去土壌の受入れや分別など、中間貯蔵施設の現状について説明。先般の台風19号襲来により福島県が大きな被害に見舞われ、「胸が痛む限り」とした上で、豪雨に伴う仮置場からのフレコンバッグ流出については「まったく想定外だった。しっかりと対応していかねばならない」と猛省の意を表した。さらに、「台風が過ぎた後も、倒木などを着実にチェックしてから事業を再開」などと、昨今の災害激甚化・頻発化を念頭に万全の対策を取っていく考えを強調。中間貯蔵施設については現在、一部にまだ水溜りが残っているものの「本来の機能に影響はなかった」との認識を示している。こうした状況を踏まえ、小林氏は「まず仮置場をなくすことが大きな目標」と述べ、最新の進捗状況に関しては、1月にオープンした地元の文化・復興に向けた取組も紹介する「中間貯蔵工事情報センター」へ、是非足を運んで欲しいと呼びかけた。
現場で中間貯蔵事業に関わる技術・人材については、大林組、前田建設工業、鹿島建設、大成建設からそれぞれ発表があった。大林組除染・中間貯蔵プロジェクト部長の八塩晶子氏は「大熊3工区」の受入れ・分別施設で活かされている同社の技術を披露。独自開発による大型土のう破袋機や土質改質剤「サラサクリーン」などにより、荷下ろし・破袋・分別の効率化が図られ、作業員の被ばく低減や除去土壌の減容につながっているとした。
また、大成建設東北支店土木部作業所長の岡村尚彦氏は、除去土壌の運搬作業に関し、始業前の握手活動による健康チェック、優良運転手の表彰、「安全瓦版」の発行など、安全・安心の取組を紹介。同氏はさらに、福島復興のため、中間貯蔵事業の各工程は「一つとして気を抜けない」と述べ、「1,000人を超える作業者のつながりはわれわれの『技術』」と強調した。