東芝エネシステムズ・畠澤社長、「原子力産業の競争力向上」に意欲示す
東芝は11月14日、「東芝 IR Day」を開催。エネルギーシステム、インフラシステム、デジタルなど、7つの事業部門の幹部がそれぞれ事業方針、数値目標、成長に向けた取組について投資家や報道関係者に説明を行った。
エネルギーシステムに関しては、東芝エネルギーシステムズの畠澤守社長が説明に立ち、2040年を念頭に置いたビジョンとして、「将来のエネルギーのあり方そのものをデザインする企業として、新しい未来を始動させる」と標榜。「Smart:顧客価値を生む技術力」、「Sustainable:持続可能な発展を生む社会への貢献」、「Profitable:収益を生む健全な経営」の3つの軸を常に意識した事業判断を行っていくとした。
エネルギーを取り巻く市場環境については、2030年頃までの発電設備容量・発電量の見通しから、国内外ともに「原子力と火力はほぼ現状維持となる一方、再生可能エネルギーが大きく伸びる」として、今後、点検・保全・更新といったサービス部分の強化など、エネルギー市場の転換に合ったリソース配分を図る考えを述べた。
また、営業利益については、2019年度の黒字転換とともに、原子力では2021年度にかけて170億円程度で安定継続となる見通しを示し、「構造改革を含む高利益体質への変換を進めており、これから結果が出てくるもの」と説明。
前日に発表された東芝プラントシステム社の完全子会社化に関する質問に対し、畠澤社長は、技術・人材やリスク管理の面で両社が協力し合い、サービス事業拡大のシナジー効果につなげるねらいを強調。また、8月に行われた東京電力ホールディングス、中部電力、日立製作所とのBWR事業に係る共同事業化を目指した基本合意書締結に関しては、「原子力産業の競争力を向上するためには、色々な課題を解決しなければならない」と述べ、現在議論を進めている段階にあるとした。