経団連が「低炭素社会実行計画」の2018年度実績発表、原子力再稼働がCO2排出減に寄与
日本経済団体連合会は11月19日、全62業種が参加する「低炭素社会実行計画」の2018年度実績(速報値)を発表。CO2排出総量は、2013年度(日本が国連に提出した約束草案に記載の2030年度温室効果ガス削減目標の基準年)からの5年間で9.9%の削減となった。〈経団連発表資料は こちら〉
「低炭素社会実行計画」は、(1)国内事業活動からの排出抑制、(2)連携強化、(3)国際貢献、(4)革新的技術開発――の4本柱を通じ地球規模・長期の温暖化対策に貢献する産業界の自主的取組として、毎年のフォローアップ結果は政府審議会の議論にも供されている。
2018年度の部門別のCO2排出量は、産業部門(製造、建設など)が前年度比2.5%減、エネルギー転換部門(電力、石油など)が同9.3%減、業務部門(電気通信、金融など)が同6.5%減、運輸部門が同16.0%減となり、原子力発電所の再稼働、再生可能エネルギーの活用、高効率火力発電設備の導入など、エネルギーの低炭素化が各部門のCO2排出量削減に効果を及ぼした。2018年度は、関西電力大飯3、4号機、九州電力玄海3、4号機の計4基が原子力規制委員会による新規制基準をクリアし再稼働(営業運転再開)している。
今回、速報段階として57業種からのCO2排出削減に向けた取組状況報告をまとめているが、「低炭素社会実行計画」のもと、各業種が掲げるフェーズI目標(2020年度)、フェーズII目標(2030年度)に対し、それぞれ37業種、23業種が既に到達しており、さらに高い目標への見直しを実施した業種もあった。
また、今回の発表では、エネルギー多消費型産業における排熱・副生ガスなどを回収・利用した燃料消費量削減の取組が注目される。例えば、セメント業界では、電力使用に占める排熱発電の割合が2018年度に11.2%に達し、鉄鋼業界でも、製造プロセスで発生する副生エネルギーの有効利用を図っており、いずれも省エネルギーやCO2排出削減に大きく寄与したとしている。日本鉄鋼連盟からは、回収蒸気の発電利用などによる年間約680万トンのCO2排出削減効果の算定も報告された。