日立が北米初の重粒子線治療システム受注へ、米メイヨー・クリニックと基本合意
日立製作所は11月20日、米国の大手総合病院メイヨー・クリニックと、北米初となる重粒子線治療システムの納入に関して基本合意書を締結したと発表した。重粒子線治療システムは、メイヨー・クリニックの拠点の一つであるフロリダ州の病院に建設予定。〈日立発表資料は こちら〉
これを受け、メイヨー・クリニックのジャンリコ・ファルジアCEOは、「重粒子線治療は、従来治療が難しかった患者を治療する方法として、大きな可能性を秘めている」と期待を述べた。また、日立の小島啓二副社長(ライフセクター担務)は、「日立が持つ重粒子線治療システムの実績やデジタル技術、メイヨー・クリニックとのパートナーシップを通じて、北米だけでなく世界中で、先進的ながん治療の実現と社会価値の向上に貢献できる」と、今後の国際展開に意欲を示した。同社の重粒子線治療システムは、2018年に治療をした大阪重粒子線センター「HyBEAT」への国内納入実績があるほか、海外でも台湾の台北栄民総医院から同年に受注となった。
重粒子線がん治療は、量子科学技術研究開発機構の放射線医学総合研究所「HIMAC」が1994年に世界初の専用施設として臨床試験を開始した。これに続いて国内では、前述の大阪重粒子線センターの他、群馬大学、神奈川県立がんセンター、兵庫県立粒子線医療センター、九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀)で治療が行われている。量子科学技術研究開発機構が10月に原子力委員会で報告したところによると、近年重粒子線治療施設は、アジア地域を中心に東芝、日立、中国近代物理学研究所による供給が進んでおり、韓国でも東芝製の治療装置が2022年に運用開始となる見込み。