原産協会が「原子力発電に係る産業動向調査」結果を発表
原産協会は11月21日、「原子力発電に係る産業動向調査 2019報告書」(概要)を発表した。今回、9基の原子力発電プラントが運転していた2018年度を対象に、会員企業を含む原子力発電に係る産業の支出や売上、従事者を有する営利を目的とした企業350社にアンケートを実施し、251社(電気事業者11社、鉱工業他228社、商社12社)から有効回答を得た。
原子力発電に係る産業の景況感については、現在(2019年度)を「悪い」とする回答が80%と最も多く、1年後(2020年度)に「悪くなる」とする回答も前年度調査の10%から24%へと増加。「原子力発電所の運転停止に伴う影響」の問い(複数回答)に対しては、「売上の減少」(58%)、「技術力の維持・継承」(56%)をあげる回答が依然として多かった。また、「技術力の維持・継承への影響」の問い(複数回答)に対しては、「OJT機会の減少」(83%)が最も多く、「雇用の確保の困難」(31%)がこれに次いだほか、「企業の撤退・解散等による技術やノウハウの散逸」(26%)が前年度より9ポイント増となっていた。さらに、「自社の技術・ノウハウの維持のために力を入れている工夫」の問い(複数回答)に対しては、「教育・訓練の強化」(77%)が最も多かった。
「原子力発電に係る産業を維持する上での課題」(複数回答)の問いに対しては、「政府による一貫した原子力政策の推進」(73%)が最も多く、次いで「原子力に対する国民の信頼回復」(59%)、「原子力発電所の早期再稼働と安定的な運転」(58%)となった。
また、海外との取引における課題としては、「海外におけるカントリーリスク(政治・経済情勢の変化など)への対応」、「海外の規制・規格への対応」の回答が多かった。