原子力委員会が人材育成で東北大よりヒア

2019年12月18日

 原子力委員会は12月17日の定例会合で、東北大学工学系研究科量子エネルギー工学専攻教授の長谷川晃氏よりヒアリングを行った。同委が2018年2月にまとめた人材育成に関する見解のフォローアップとして実施するもの。

金属材料研究所(大洗町)での実習の模様

 東北大学の原子力工学関係の教育は、国立大学の中でも比較的古く、1958年の原子核工学専攻設置に始まった。その後、1962年に学部教育として原子核工学科が設置され、1998年の量子エネルギー工学科への改組を経て、現在は3年次より7コースに分かれる機械知能・航空工学科となり、原子力関連の科目は「量子サイエンスコース」の学生が主に学ぶようになっている。
 1916年に同学併設研究所の一部として発足した金属材料研究所がKS鋼の発明で知られる本多光太郎博士の輩出など、多くの業績を残してきた伝統から、長谷川氏は原子力関連の科目についても材料系を特に充実させていることを強調。さらに、学内外の多様な施設を利用した実験・実習や、六ヶ所村分室を開設し社会人向け講義を実施していることを述べたほか、1年次向けの原子力・放射線に関する一般教養科目で量子エネルギー工学専攻の教員が講義に立つなど、学部横断的な取組についても紹介した。

全学部対象の一般講義、福島第一原子力発電所事故以前から行われている(東北大発表資料をもとに作成)


 これを受け中西友子委員は、放射線利用に関して、医療、農業、工業など多分野にわたる経済規模の大きさに触れ、原子力エネルギー利用との両輪として取り扱う意義を強調した。