除去土壌の再生資材化で技術検討会、農地造成利用に向け栽培試験結果が報告
福島第一原子力発電所事故に伴う除染で発生する除去土壌の減容・再生利用に関する環境省の技術開発戦略検討会が12月19日に行われた(=写真)。
除去土壌は最終処分までの間、中間貯蔵施設で集中的に保管・管理することとなっているが、同施設への輸送対象物量は約1,400万立方m(東京ドーム約11杯分)と推計されており、安全性の確保を大前提として、可能な限り再生利用することで最終処分量の低減を図る必要がある。検討会に出席した石原宏高・環境副大臣は「安全・安心に対する理解醸成を図ることが重要」と強調した。
今回の会合では、飯舘村の仮置場に保管されている除去土壌を再生資材化し農地を造成して、作物の試験栽培を行う実証事業の進捗状況について報告があった。飯舘村長泥地区を拠点とする同事業は、準備段階も含め2018年度より進められており、再生資材の土木的適用性や放射線に関わる安全性の評価を踏まえ、村の営農再開に向けて、2020年度頃の本格的な農地造成着手、2022年度頃の圃場整備を図る計画(=図、環境省発表資料より引用)。これまでの実証試験で、再生資材と遮蔽のための覆土を用いた農地造成プロセスについては、安全性の観点から問題なく施工できることが確認されている。
環境省の説明によると、栽培試験のうち、再生資材(深さ50cm)と覆土(同)を用いた露地栽培試験では、深く根を張る作物としてジャイアントミスカンサス、ソルガム、アマランサスの3種を選び今夏に栽培が行われ、土壌からの放射性セシウム移行を確認したところ、「想定より十分安全側の結果が得られた」としている。
この他、除去土壌の減容・再生利用技術開発に向けて中間貯蔵施設内に整備されている「技術実証フィールド」について紹介があった。「技術実証フィールド」では、同施設区域内に貯蔵されている除去土壌を用いた試料分析や、実証試験に必要な資材・電気・水の提供を受けることができる。12月中にも完成の予定。