原産協会「原子力新年の集い」、今井会長「原子力発電は必要不可欠」と強調
原産協会の「原子力新年の集い」が1月8日、東京プリンスホテル(東京都港区)で開催され、会員企業等、政府関係、駐日大使館などから約900名が参集し、新しい年の幕開けを慶び親睦を深めた。
年頭挨拶に立った今井敬会長(=写真上)は、昨今の異常気象を振り返り、「気候変動の危機感がますます高まっている」とした上で、地球温暖化の要因となるCO2排出の削減のため、「原子力発電は必要不可欠」と強調。一方で、国内の原子力発電の現状について「9基しか動いていない。今年は暫く数基が止まる可能性がある」と懸念し、温室効果ガス排出量削減の国際公約を果たすべく、「2030年度時点で30基程度の稼働が必要」と、残るプラントの早期再稼働とともに40年超プラントの運転期間延長に産業界として意欲を示した。さらに、年内にも次期エネルギー基本計画策定の議論が開始される見通しから、新増設・リプレースの必要性も含め「長期的視点に立ったエネルギー・原子力政策」が図られるよう切望。また、欧米における次世代型原子炉開発の躍進に言及し、「国際的潮流から取り残されぬよう、イノベーション創出における産官学の一層の連携が必要」と呼びかけた。
来賓として訪れた牧原秀樹経済産業副大臣は、福島復興・廃炉汚染水対策の取組や国内のエネルギー供給を巡る課題とともに、中国の国産原子炉建設や米国の80年運転など、海外の原子力動向にも触れ、「現実をしっかり直視した上で、原子力を含めたエネルギー政策の舵取りを行っていく」と強調。
また、電気事業連合会会長の勝野哲氏は、電力業界の信頼回復や電力インフラのレジリエンス強化に向けた取組など、2019年の振り返りを披露。特に原子燃料サイクルに関しては、「長期的視点に立って一貫性を持って進める必要がある」として、現在原子力規制委員会による審査が大詰めとなっている六ヶ所再処理工の早期しゅん工に向け引き続き支援していく姿勢を示した。
「原子力産業のますますの発展を祈り」と、車谷暢昭副会長(東芝会長)が音頭を取り、一同は祝杯を上げた。