双葉町・大熊町・富岡町の避難指示区域が3月に一部解除、常磐線が全線復旧へ

今回の避難指示解除(水色箇所)後の概念図(内閣府発表資料をもとに作成、クリックして拡大)

 政府の原子力災害対策本部は1月17日、福島県の双葉町、大熊町、富岡町に設定されていた避難指示区域の一部を3月に解除することを決定した。原子力災害対策現地本部長を務めている松本洋平経済産業副大臣が地元と協議を行い、12月末までに合意されていたもので、双葉町における避難指示解除は初めてとなる。
 双葉町については、75世帯の229人(2019年4月時点)に設定されていた避難指示解除準備区域が3月4日に解除される予定。伊澤史朗町長は、12月に都内で開催されたシンポジウムで、2022年春の帰還開始目標に向けて、雇用の確保を重要課題に掲げ企業立地の取組を進めていることを強調した。
 また、双葉町、大熊町、富岡町に設定されていた帰還困難区域のうち、同区域を通るJR常磐線の線路と、双葉、大野、夜ノ森の各駅と周辺道路などについても避難指示が解除されることとなった。3月4、5、10日にそれぞれ、双葉町、大熊町、富岡町について解除となることを受け、JR東日本は震災後不通となっていた常磐線の富岡~浪江間を同14日に運転再開すると発表。同区間には、都内から仙台までを直通する特急「ひたち」も1日3往復運転される。

新生・双葉駅のイメージ(JR東日本発表資料より引用)

 原子力災害対策本部会合で、安倍晋三首相は、今回の避難指示解除に関し、常磐線の全線開通とともに「Jヴィレッジ」で3月26日にグランドスタートを切る聖火リレーにも触れ、「浜通り地域の利便性が向上することから、多くの方々に訪れてもらいたい」と、観光面も含めた福島復興の加速化に期待。また、田中和德復興相は、「福島復興に向けた大きな一歩」と述べ、今後も産業創生や風評対策など、中長期的課題に鋭意取り組んでいく姿勢を示した。