東京電力「原子力改革監視委員会」、重点課題の改善状況「大きな進捗」と評価
東京電力の諮問機関「原子力改革監視委員会」(デール・クライン委員長〈元米国原子力規制委員会委員長〉)が2月4日に開かれ、同社が行う原子力安全改革の進捗、前回会合でレビューされた自己評価に対する改善状況について報告を受けた。東京電力は、福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、「安全意識の向上」、「対話力の向上」、「技術力の向上」を軸に原子力安全改革プランを進めている。2019年1月の前回委員会会合では、原子力安全改革における(1)組織・ガバナンスの強化、(2)人財育成の強化、(3)コミュニケーションの改善、(4)原子力安全文化の醸成、(5)内部監視機能の向上――の各重点課題に対する自己評価についてレビューし提言を示した。
今回の会合では、提言を踏まえた同社の取組状況について、「より厳しい自己評価を実施し、組織・ガバナンスを強化する上で大きな進捗がみられた」などと評価。また、コミュニケーションについては、「『伝える』から『伝わる』への活動を展開しているが、一層取り組んで欲しい」としている。
会合終了後、記者会見を行ったデール・クライン委員長は、「外部からの指摘を待たずに、自分で気付くことができているかをチェックした」と述べ、自組織を厳しく評価し弱点を見つける重要性を強調。さらに、情報発信については、「『何ベクレル』といった数値だけでなく、誰でもわかるように説明することが大事」と指摘した。
東京電力は、原子力安全改革プランの進捗状況を四半期ごとに取りまとめており、2019年11月に発表した年度第2四半期の進捗報告では、6月の山形県沖地震発生時に柏崎刈羽原子力発電所で生じた通報内容の誤りを踏まえ、通報連絡用紙の見直し、当番体制の強化、訓練実施などの対策を講じ、立地自治体による確認を受けたとしている。
クライン委員長は、12月に柏崎刈羽原子力発電所を訪れており、東京電力が進めている安全対策を現場で視察し、「通常運転および様々な仮想の事故シナリオに対して、大きな安全マージンを加えるもの」などと評価した。