原子力委がIAEA/RCA活動について説明受ける、FNCAとの相乗効果など
原子力委員会は、2月18日の定例会議で、量子科学技術研究開発機構量子医学・医療部門長の中野隆史氏を招き、IAEAの「原子力科学技術に関する研究、開発、および訓練のための地域協力協定」(RCA)による活動について説明を受けた。
RCAは、1972年に発足したアジア・太平洋地域の開発途上国を対象に原子力科学技術の共同研究、開発、トレーニングを推進する協力ネットワークで、日本は1978年に加盟した。現在の締約国は22か国。RCA活動の一環として群馬大学で放射線治療のプロジェクトをリードしてきた中野氏は、2019年9月に外務省よりRCA日本政府代表に指名され、11月にはRCAで実施している農業、保健・医療、環境、工業の各分野の活動を紹介する シンポジウム の日本初開催となった。
一方、日本が主導するアジア諸国との原子力平和利用協力の枠組として、1990年に原子力委員会が立ち上げた「アジア原子力協力フォーラム」(FNCA)があり、現在12か国の参加のもと、主に放射線利用に関するプロジェクト活動が行われている。
18日の会合で、中野氏は、自身が関わってきた保健・医療分野のRCAプロジェクトを中心に、FNCAとの相関性を整理し、「RCAは実用技術の移転/垂直協力、FNCAは相互貢献/水平協力を実施する」と、両者の相違点を示した上で、アジア地域の発展のため「相乗効果を高める」重要性を強調した。例として、アジア地域に患者が多い子宮頚がんの放射線治療技術に関して、FNCAで標準的な治療手順(プロトコル)を確立して臨床試験を実施し、RCAでトレーニングを通じた技術移転を行うなどと説明。
これを受け、佐野利男委員は、RCAプロジェクトについて、プライオリティやFNCAとの調整状況を尋ねたほか、「なかなかメディアで取り上げられない」とも指摘した。FNCAでは、プロジェクト活動の調整のため年1回開催するコーディネーター会合にRCA地域事務所(韓国)からもオブザーバー参加を求め意見交換を行っている。