福島第一、1号機原子炉格納容器内部調査に向けアクセスルートの構築が進む

東京電力は2月27日、福島第一原子力発電所廃炉の進捗状況を発表した。

1号機原子炉格納容器内部調査のイメージ(東京電力発表資料より引用)

 燃料デブリ取り出しに向けては、1号機原子炉格納容器内部調査のためのアクセスルート構築作業で、2月12日に所員用エアロック「X-2ペネ」の内扉に1か所目の孔(直径約0.2m)の切削が完了した。内扉には3か所の孔を施工する予定で、早ければ3月上旬頃から続く2か所目の孔の切削に入る見通し。同機の原子炉格納容器内部調査については、2017年3月に自走式調査装置(形状変化型ロボット)を投入し、ペデスタル(原子炉圧力容器下部)外の画像取得・線量測定を行い堆積物が確認されている。アクセスルートを構築後、原子炉格納容器内に潜水機能付きのボート型アクセス装置を導入し、堆積物の形状・厚さ・燃料成分含有状況の確認、少量サンプリングなどを行う。
 3号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しについては、2月26日時点で566体中84体の取り出しが完了。昨夏に着手した1/2号機排気筒の解体工事は、23ブロックに分けて解体する計画となっており、2月1日に11ブロック目までが完了した。5月上旬の解体完了を目指す。
 東京電力では、プロジェクトマネジメント機能や安全・品質面のさらなる強化を目指し、4月に福島第一原子力発電所に関わる組織改編を実施することとしている。組織改編に伴い東京から現地へ70~90名の要員シフトが計画されており、福島第一廃炉推進カンパニーの小野明プレジデントは2月27日の記者会見で、これまでに発生したトラブルを振り返り、「作業は現場で行われる。東京ではなく現場でものを考える必要がある」と強調した。
 なお、来日中のラファエロ・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長は、26日に福島第一原子力発電所を視察した。同氏は、来日に先立ち、IAEA主催の核セキュリティ国際会議(2月10~14日、ウィーン)の際、政府代表として出席した若宮健嗣外務副大臣より、発電所の処理水に関する資源エネルギー庁小委員会の報告書を受け取っており、27日の梶山弘志経済産業相との会談で、IAEAとして同報告書のレビューを行っていることを述べた。