「福島水素エネルギー研究フィールド」が浪江町に開所、製造される水素は東京五輪にも供用
福島県浪江町で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業が2018年より建設を進めてきた「福島水素エネルギー研究フィールド」(FH2R:Fukushima Hydrogen Energy Research Field)の開所式が3月7日に行われた。〈NEDO発表資料は こちら〉FH2R では、18万平方mの敷地内に設置された2万kWの太陽光発電による電力を用いて世界最大級となる1万kWの水電解装置で年間約200トンの水素を製造する。今後、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、昼間の太陽光発電による余剰電力の発生が見込まれるが、FH2Rではこれを水素に変換し貯蔵・利用する技術の実証を行い、将来的に水電解技術の商用化に向けて、世界最先端の高効率で低コストの水素製造技術の確立を目指す。資源エネルギー庁の水素・燃料電池戦略室では、「再エネの大量導入は調整力確保とともに余剰の活用策が必要。水素利用のポテンシャルは大きい」と期待を寄せている。
また、FH2R で製造する水素は、東京オリンピックの聖火台・聖火リレートーチ(福島県、愛知県、東京都の一部)を始め、大会車両の燃料電池自動車(FCV)500台、選手村の定置用燃料電池などにも供し、日本の技術力発信にも寄与する。FCVは、既存のガソリン車と同程度の機能を持ち、電気自動車(EV)と比べ航続距離が長く(500km以上)充てん時間も短い(3分)ほか、走行中の排出は水のみである。
FH2R開所式には安倍晋三首相他、関係閣僚、内堀雅雄福島県知事らが出席。今回の福島訪問で14日に全線開通する常磐線の双葉駅を視察し常磐自動車道常磐双葉インターチェンジの開通式に出席した後、FH2Rを訪れた安倍首相は、テープカットに臨むとともに施設内を視察し、「被災地の皆様の故郷への思いが大きな力となり、復興は確実に前進している」、「未来を見据えて新しい福島をつくっていく」などと述べた。