国土地理院「自然災害伝承碑」、震災当時の地元生徒らによる「女川いのちの石碑」など追加

2020年3月13日

「女川いのちの石碑」(女川町大石原浜)と活動メンバー(©国土地理院)

 国土地理院はこのほど、過去に発生した地震、津波、火山の噴火などの様相や被害状況を記した「自然災害伝承碑」として、新たに41基を「地理院地図」上に公開した。2011年の東日本大震災の経験を伝える「女川いのちの石碑」(宮城県女川町)他、近世の大洪水を記録した供養塔や安全祈願の地蔵などが含まれている。
 「自然災害伝承碑」は、国土地理院が自然災害に関する石碑やモニュメントなどを地形図に掲載し、それらが刻む教訓を踏まえた的確な防災行動を啓発するもので、2019年6月の開始以降、現在までに全国507基が掲載。2018年7月の西日本豪雨で多くの犠牲者を出した地区では、100年以上前に起きた水害を記録し犠牲者を悼む石碑や供養塔があったものの、これらが伝える災害教訓が十分に活かされていなかったことから、国土地理院では「自然災害伝承碑」として地図記号を定め周知・普及に努めている。
 「女川いのちの石碑」は、東日本大震災直後に中学校に入った地元の生徒たちが中心となって「1000年先の命を守りたい」との想いから取り組んできたもので、今回、津波被災地に建つ15基が女川町より国土地理院に申請され地図上への公開となった。「女川いのちの石碑」は、東日本大震災による津波到達地点より高い場所に設置されており、「大きな地震が来たら、この石碑よりも上へ逃げて下さい」と教えている。