文科省が放射線教育で調査結果を発表、副読本の活用状況も
文部科学省は3月24日、全国の小中高校(特別支援学校を含む)計約4,300校を対象として12~1月に実施した 放射線教育に関する調査 の結果を発表した。2018年に改訂した 放射線副読本 の活用状況についても把握し、授業の実践例を収集し取りまとめるなど、今後の放射線教育の充実化に資するのがねらい。
それによると、授業などで放射線に関する内容を扱ったことや扱う予定のある学校は、小学校で約69%、中学校で95%、高校で80%、実施した教科としてあげられたのは、小学校で社会科、理科、中学校で理科、社会科、高校で理科、公民の順に多かった。また、授業などを準備する際に外部人材を活用していた学校は、小学校が6%、中学校が5%、高校が4%と、いずれも1割に満たなかった。その他、放射線について学ばせる上で工夫した点としては、防災学習での取扱い、修学旅行における広島・長崎訪問や語り部との対話、社会科と理科の学習内容を関連させた教科横断的な取組などがあげられた。
放射線副読本の取扱いとしては、「すべての生徒に配布した」と回答した割合が、小学校で66%、
中学校で62%、高校で52%といずれも半数を超えた。活用した学校は、小学校で52%、中学校で56%、高校で28%だった。また、活用の場としては、小中高校いずれも、「教師の説明」が最も多く、「調べ学習」、「話し合い・発表」がこれに次いだ。有効だった点としては、「絵や写真があることで子供たちにとってわかりやすい」、「内容がわかりやすく教師が活用しやすい」、「放射線についての基礎的な知識だけでなく、風評被害や差別についても触れられているので、多面的に学習できる」、「教科書よりも内容が詳しいため理解を深めるために有効だった」といった意見があった。一方、「教科の学習内容とどのように結び付いているのかを明確にし、授業内容で活用しやすいようにして欲しい」、「小学校低学年の指導で扱うことは難しい」、「危険性を正しく伝えることと同時に、放射線の有用性などについても大きく取り上げて欲しい」といった改善を求める意見もあった。