もうひとつ先の私たちへ。-浪江町のいま 次世代へ引き継ぐ”ふるさと”なみえの再生に向けて
浪江町は、2017年3月31日の「居住制限区域」および「避難指示解除準備区域」の避難指示解除によって町の東側地域への帰還が開始され、役場機能も4月1日から町内の庁舎へ戻りました。2018年4月末現在、全町民の約4%である729名485世帯が町内で生活しています。
2017年12月には、町の総面積の約8割を占める帰還困難区域(1万8千ヘクタール)内の室原、末森、津島の3地区約661ヘクタールを「特定復興再生拠点区域」とする復興再生計画が、国により認定されました。今後、物流拠点や農業拠点の整備等に取り組むこととしています。
本格復興期2年目となる2018年度は、町の北東にある旧浪江・小高原子力発電所建設予定地において、世界最大規模の水素製造拠点施設(約22ヘクタール)および「福島イノベーション・コースト構想」に基づくロボットテストフィールドの滑走路(約5ヘクタール)の建設着工など、大きなプロジェクトが動きはじめています。
なみえ創成小学校・中学校
2018年4月には、浪江東中学校を改修して「町立なみえ創成小学校・中学校が開校し、小学生8人と中学生2人が通っています。
2017年11月から一時預かり保育が開始されていた「浪江にじいろこども園」も同時に開園し、3~5歳の子どもたち13人が入園しました。
幾世橋住宅団地・集合住宅
なみえ創成小学校・中学校のすぐ隣では新規に宅地が造成され、木造平屋戸建の町営災害公営住宅が整備されました。第1期工事分22戸の入居が2017年6月に開始されて全て入居が決定しているほか、第2期工事分63戸についても2018年4月に入居が開始されました。
幾世橋では、旧雇用促進住宅を大規模改修した福島再生賃貸住宅(鉄筋コンクリート造5階建2棟80戸)も整備されており、2017年8月に入居が開始され、2018年2月末現在59戸が入居しています。
まち・なみ・まるしぇ
2016年10月、役場隣にオープンした仮設商業共同店舗施設「まち・なみ・まるしぇ」には、飲食業、コンビニ、雑貨店、コインランドリーなど計10店が出店しています。
お昼時には地元で働く人や浪江町を訪れた人でにぎわっています。毎月第2土曜・日曜は様々なイベントが開催されています。
藤橋産業団地
2018年3月、藤橋産業団地において神奈川県のリチウムイオンバッテリーシステムの開発を行う「フォーアールエナジー(株)」が開所しました。
電気自動車の使用済みバッテリーを再利用・再製品化する国内初の工場です。
(写真提供:フォーアールエナジー社)
請戸漁港
復旧作業が進む請戸漁港では、2017年2月に漁船26隻が戻り、試験操業が行われています。本格的な漁業再開に向け、2019年の魚市場完成を目指すほか、水産加工団地の整備も予定されています。
2018年1月には、震災後初となる漁船の出初め式が7年ぶりに開催されました。
浪江町はこんなところ
photo & text: 加藤芽久美