供給側、研究機関、医学会が モリブデン供給で議論

2010年7月6日

原産協会の量子放射線利用普及連絡協議会(座長=勝村庸介・東京大学院原子力専攻教授)が6月15日に開かれ、三大成人病であるがん・虚血性心疾患・脳血管疾患の検査に使われるテクネチウム99m検査薬の原料であるモリブデン99の安定供給や国産化問題について、日本アイソトープ協会、原子力機構、横浜市立大学の専門家による講演と関係者との質疑応答によって、現状と問題の本質が明らかになった。


モリブデン99(半減期約66時間)から製造するテクネチウム99m(半減期約6時間)薬剤の世界中での使用は、米国が第1位、日本は第2位で年間90万人の患者が検査を受けている。


世界の主なモリブデン99の製造炉は、カナダのNRU、オランダのHFR、ベルギーのBR―2、南アフリカのSAFARI、フランスのOSIRISの5基で、世界の99%を供給。いずれも運転開始から42年〜52年を経過し、かなり老朽化が進んでいる。最近も加NRUと蘭HFRの故障のため、今年2月から8月には世界需要の約64%が供給されない状態が続いている。


日本は100%輸入に頼っており、2009年に加NRUが止まって、モリブデン99の輸入量は通常の40%程度にまで減ったものの、製薬会社から病院への供給方法を工夫することによって、08年の供給量とほぼ同程度の供給が可能だった状況が報告された。