巨大複合災害対策の強化を 事故調・中間報告 「冷却対策が不適切」

2012年1月13日

政府の福島原子力発電所事故調査・検証委員会(委員長=畑村洋太郎・東京大学名誉教授)は12月26日、中間報告を発表した。同委が6月の初回会合開催以降、現地視察、関係者ヒアリング等を通じ、事故・被害拡大の原因究明を行った調査・検証結果について取りまとめたもの。本編だけで約500ページにも及ぶが、調査の途中段階にあり、事実関係の解明が未了の事項もあることから、中間報告では、結び部分を「小括」として、(1)津波によるシビアアクシデント対策(2)複合災害の視点(3)全体像を見る視点――の欠如を問題点として指摘している。畑村委員長は同日官邸を訪れ野田佳彦首相に報告書を手渡した。

中間報告では、福島第一での事故後の対応については、津波到達後、1号機の全電源喪失時に機能不全に陥ったと考えられている非常用復水器(IC)に関して、現場では当初、正常に作動しているものと誤認し、適切な対応がなされなかったため、代替注水や格納容器ベントの実施までに時間を要し、炉心冷却の遅れにつながったなどと分析した上、「原子力事業者として極めて不適切」と戒めている。