東大・研究グループ 事故時の避難行動解明 GPS携帯から解析し 周辺住民の動きなど

2013年5月15日

東京大学理学系研究科の早野龍五教授らは9日、福島第一原子力発電所事故に伴う周辺の人の流れを、GPS機能付き携帯電話による位置情報から解析し、推定結果を発表した。それによると、発電所から20km圏内では、事故前の人数は約7万6000人、放射性ヨウ素濃度が最も高かったとされる3月14日深夜から同15日深夜にかけての人数は最大でも約2000人であることがわかった。地図ナビゲーションアプリの提供サービスを行うゼンリンデータコムの協力により示されたもので、これまでの聴き取り調査や問診票など、記憶に基づくものではなく、客観的データを用いて事故当時の人の流れを明らかにしたのは初めてとみられる。


先般、福島県民の内部被ばく調査結果を発表した早野教授は、事故による初期被ばくの解明には、放射性物質の拡散シミュレーションと、各地点における滞在人数の把握が必要との考えから、携帯電話の位置情報による人数分布解析に着目し、ゼンリンデータコムの協力を得て、GPS付き携帯電話の利用者から許諾を得て提供を受けた位置情報を、同社の「混雑統計®」を用いて解析した。ゼンリンデータコムは、住宅地図で多くの実績を有するゼンリンの関連会社で、「混雑統計®」は、観光流動や交通流動などの解析に用いられている。


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