市場は効率化・・・ されど料金は割高? 自由化の期待と裏腹に 電中研がレポート 米国市場事例を調査

2013年6月12日

電力中央研究所はこのほど、「米国の電気事業者における発送電分離の評価―発電の費用効率性と電気料金への影響―」と題する報告書をまとめた。機能分離による発送電分離を採用する米国の電力自由化について発電部門における費用効率性と電気料金への影響の観点から分析した。


分析の結果から、火力や原子力発電の費用効率が改善したことが確認されたが、電力料金の低下につながり電力使用者にメリットがあったとは必ずしも言えない状況があることがわかってきた。


米国では、送電系統の運用だけを独立系統運用者・地域送電機関(ISO/RTO、以下RTO)に集約する形態と、従来通りの垂直統合形態(発送電一体)の両方が併存している。電中研では、米国型の発送電分離が発電部門の費用効率性と電気料金水準に与えた影響について、RTO導入で発送電を分離している地域とそれ以外との比較により、定量的に検証することを目的に分析を進めてきた。その結果、効率性については、原子力発電では、RTO導入地域・非導入地域とも1990年代に改善しており、規制の合理化で設備利用率が向上したことが要因とみられる。一方で、火力発電も同時期に効率性は改善したが、2000年代の燃料高騰期には悪化している。ただしRTO導入地域では非導入地域に比べて悪化の程度は抑制されていたことがわかった。


<後略>