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2021年09月14日
- 福島の海洋放出水をみなで持ち帰る「放出水シェア運動」を展開しよう
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東京電力・福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出に関して、8月25日、東京電力は海底トンネルをもうけて、陸から約1km離れた沖合に放出することを公表した。何もそこまで大掛かりな対策をとらなくてもよいのではとの思いもあるが、それだけ国民の信頼をつかみたい決意が強いのだろう。では、風評を抑えながら、海洋放出を成功させる最大のポイントは何だろうか。3つの提案をしたい。福島第一原発の敷地内に林立するタンクはすでに1000基を超え、そのタンク水は計約127万トンにも上っている。この水を約30年かけて、少しずつ海洋に放出するのがいまの計画だ。タンクにたまる水は、炉心溶融で発生した核燃料デブリに触れた冷
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2021年08月17日
- 太陽光の発電コストをめぐる新聞各紙に
読者無視の「分断劇」を見た!
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太陽光と原子力の発電コストをめぐる7月と8月の新聞報道をご覧になっただろうか。新聞の世界が自然礼賛派と現実重視派に「分断」された模様が手に取るようにわかるドタバタ劇だったのではないか。記者たちは、国の思惑に沿った報道ではなく、もっと事実をしっかりと掘り下げてほしい。「発電費最安は太陽光 2030年試算 原発優位崩れる」。7月13日の毎日新聞の1面トップの見出しだ(写真1)。そして2面では「政府 割高でも原発延命」の見出しで、これまでコストが安いと言われてきた原発神話が崩れたと解説した。朝日新聞も一面で「発電コスト最安 原子力→太陽光 経産省試算」の見出しだった。原子力発電に理解のある
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2021年07月15日
- 毎日新聞が異例の「太陽光発電の公害」を告発! ただ莫大な国民負担には触れず!
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脱炭素社会に向かう手段として太陽光発電が期待されている中、毎日新聞が6月28日付けの一面トップで「太陽光発電が『公害』 自然破壊・景観の悪化 37府県でトラブル」との大見出しで特集記事を載せた。記事は3面にも載る特集だった。私の知る限り、主要新聞の中で太陽光発電の自然破壊ぶりをここまで大きく取り上げた例はない。「ようやく目覚めたか」と遅きに失した感もあるが、問題を提起した意義は高い。ただし、太陽光発電を支えるために莫大な国民負担が強いられていること、そして太陽光発電が真に自立したエネルギー源になりうるのかという大事な視点は抜けていた。■トラブルは「土砂崩れ」「景観悪化」「自然破壊」毎日新聞が伝
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2021年05月17日
- 「当事者意識」の有無で報道はこんなに違う!
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東京電力福島第一原子力発電所の敷地内にたまる「ALPS(アルプス)処理水」の海洋放出が今年4月13日、決まった。廃炉作業に向けて、大きな一歩を踏み出したといえるが、政権の動向次第では決定が覆される可能性もあり、予断を許さない。カギとなるのはやはり今後の報道だろう。今回は、事態をなんとか前進させようとする「当事者意識」をもっているかどうかで、新聞記事のトーンが大きく異なることを指摘したい。 最初に「当事者意識」を定義しておきたい。ある事柄に直接かかわっているという自覚をもつことを当事者意識というが、もっと言えば、傍観者(評論家)のようにならず、自分の問題として事態を良くしようとするスタ
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2021年03月19日
- 車のEV化は原子力政策に何を求めているか?
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最近の新聞を見ていると、電気自動車(EV)の販売が世界で加速しているというニュースがよく目につく。そこで思い出すのが、2020年12月に行われた豊田章男日本自動車工業会会長(トヨタ自動車社長)の会見内容だ。豊田氏はそこで重大な発言をした。日本中に電気自動車が普及したら、大量に必要となる電気をどう賄うのかという問いかけだった。その問いかけにメディアはまだ応えていない。電気で走る電気自動車は一見環境に良いように見える。確かに走っているときには二酸化炭素などを含む排気ガスを出さない。だが、少し考えればわかる通り、その車が走るのに必要な蓄電池(バッテリー)の電気が、石油や石炭、ガスなどの化石燃料を使っ
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2020年12月01日
- 寿都町の勇気ある一石の行為にどう報いるか
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日本の原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定をめぐって、北海道の寿都町と神恵内(かもえない)村が名乗りを上げた。だれもが避けて通れない難題に、寿都町が果敢な一石を投じたといえるが、新聞をはじめメディアの反応は冷ややかだ。誠に不思議である。だれもが引き受けることを忌み嫌う国家的なプロジェクトに協力の姿勢を見せた人への感謝の念として、20億円はあまりにも少な過ぎる。100億円でもまだ少ない。寿都町町長が投げかけた一石の意義をしっかりと考えたい。いまそこにある危機をどう打開するか核のごみ問題の本質とは何だろうか? それは、だれかがいつかは必ずやらねばならない難題(
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2020年09月25日
- 「脱石炭」は日本経済の破滅への入り口だ(下)
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「みんなちがってみんないい」童謡詩人、金子みすゞ(1903-1930年)が作った「私と小鳥と鈴と」に出てくる有名な一節。いま脱石炭火力問題を考えるうえで大事なのは、この一節である。子育てや人材育成にかかわる人なら、だれしも「そうだ」「そうだ」とうなづくはずだ。国のエネルギー政策にも同じことが言えるはずだ。それぞれの国がそれぞれの地政学的な特徴や条件に応じて、それぞれ自国の利益にかなうエネルギーの組み合わせ(ベストミックス)を選択すればよいという考えに対して、おそらく大半の人は同意するだろう。フランス、ドイツ、英国、米国、中国、ロシアの6国のエネルギー政策を見みてみよう。どの国も自国の利益に従い
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2020年09月02日
- 「脱石炭」は日本経済の破滅への入り口だ(上)
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日本の石炭火力発電を取り巻く状況が厳しくなっている。その象徴的な出来事が昨年12月に日本が受賞した「化石賞」。新聞やテレビの報道では不名誉な賞とされたが、私は「名誉ある賞」だと強く言いたい。これは私の偏見だろうが、環境市民団体から賞賛されたら、むしろそのほうが危うい状況だと思っている。「エネルギー自給率が極めて低く、資源もない日本にとって、石炭火力は絶対に必要だ」との独自の戦略、姿勢を日本国民だけでなく、海外にも向けて訴えていくべきだろう。なぜ中国を批判しないのか不思議なぜ、こんな世論を逆なでするようなことを言うかといえば、長く毎日新聞の記者として取材してきた経験からの直感(皮膚感覚)だ。遺伝
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2020年05月18日
- コロナ報道に見る「見える死」と「見えない死」
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の勢いがようやく収まってきたようにみえる。これまでの報道(以下、略してコロナ報道)を見ていて、死が「平等」に報道されていないことに気づく。ある特定の死だけに過大な関心を向け過ぎると、知らぬ間に他の死亡リスクが増えていることもありうる。新型コロナウイルスによる死亡数は他の死亡リスクと比べて、どれくらい多いのだろうか。「子宮頸がん」の死亡者は新型コロナウイルスより多い若い女性で増加傾向にある「子宮頸がん」はウイルス(ヒトパピローマウイルス)感染で起きる。新型コロナウイルスとは異なるウイルスとはいえ、ウイルスによる感染という点では同じだ。その子宮頸が
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2020年04月06日
- 日本の新聞は科学的な分析よりも政権批判が優先か!
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新型コロナウイルスによる感染が国内外で深刻を極めている。この感染問題に対する日本の新聞報道をどう評価したらよいか、あれこれ考えているうちに、ひとつの重大な特徴に気付いた。科学的なリスクを的確に伝えることよりも、安倍政権への批判が優先している点だ。いわば科学と政治の混同だ。いったいどういうことか。安倍首相を「科学軽視」と批判ここでの考察は日頃、安倍政権に批判的なスタンスを貫く毎日新聞と朝日新聞を対象とする。私がまず驚いたのは、安倍首相が2月27日、全国の小中高校の一斉休校を要請したことに対する毎日新聞社の論調だ。毎日新聞社は3月10日付けの社説で「首相は科学的分析尊重を」の見出しで科学的分析とい
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2019年12月26日
- 危うい「市民ジャーナリズム」 ─ 根拠なき情報に対抗する第三の「プロフェショナル・ジャーナリズム」が必要
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ネットの発達で市民が自由にいろいろな意見やニュースを発信する「市民ジャーナリズム」が活発になってきた。しかし、そこには第三者の査読や校閲の機能はほとんど見られない。そういう危うい市民ジャーナリズムに対抗する第三の「プロフェショナル・ジャーナリズム」が必要なときに来ているのではないだろうか。2019年8月、山田正彦・元農水大臣や国会議員の福島瑞穂さんらが集まって、衆議院会館で記者会見が行われた。国会議員を含む29人のうち19人の髪の毛から除草剤のグリホサート(もしくはその代謝物)が検出されたという内容だった。検出された量は0.1 ppm(ppmは100万分の1の単位なので、1グラムの中に1000
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2019年09月19日
- 農薬をめぐるバイアス記事の好例
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除草剤グリホサートをめぐる恐るべき事態が勃発 ─ 科学者へ、決して他人事ではありません ─悪意に満ちたバイアス(偏った)記事がいまなお健在だという好例の記事を見つけた。知識層が最も好むとされる大手新聞(8月24日付)の朝刊記事だ。グリホサートという除草剤が発がん性や胎児への影響をもたらすと指摘する記事だが、先進国の公的機関は明確に否定している。こういう記事が続く限り、活字メディアはいよいよ専門家から見放されるだろうとの思いを強くする。記事の冒頭の前文は、記事全体の顔だ。まずは、記事の冒頭を以下に記す。──発がん性や胎児の脳への影響などが指摘され、国際的に問題になっている農薬が、日本では駐車場や