遊べば分かるこの『ラドラボ』の面白さ、奥深さは、どうやって生まれたのだろうか?
このゲームを生んだ京都へ飛び、原案者の角山(ツノヤマ)先生と、ゲームデザイナーの吉田昌乘(マサノリ)さんにお会いした。
吉最初は角山先生と一緒に『ラドラボ』試作品を持って東京へ乗り込みまして(笑)
東京へ??
吉うち(タンサン株式会社)から販売するというのも1つの方法ですが、それよりも大手の出版社さんから発売された方が世の中に広がると考えました。社会貢献的な意味合いも大きいですし。
角吉田さんが東京へ行くおカネがないって言うから、ボクがクルマを用意して。そしたら今度は運転免許もないって言うからボクがずーっと運転して(笑)
吉出版社の担当の方々はみな感触が良かったのですが、それぞれ社内で上げていただく段階になると、「放射線という繊細なテーマなのでウチからは出せない」と断られてしまって。
角あれはくやしかったなぁ。でもこの子らはそこからがスゴイのよ。こうなったら自分たちで世に出したいと言って、一所懸命おカネを用意して作ってくれたのよ。
吉そんなに数は作れなくて、細々と売っていたのですが、すでに在庫はなくなってしまいました。先日も海外向けの放射線関係のイベントで紹介したいというありがたいお話を頂いたのですが、モノがないものですからお断りせざるをえず残念でした。
それで今回クラウドファンディングを?
吉はい。前回と同じものを作るのではなく、学校教材として使いやすいようにリニューアルを考えています。これまでのボックス入りのパッケージ版ではどうしても嵩張るんです。学校で使うにしても在庫としてうち(タンサン株式会社)で保管するとしても大きなスペースが必要になります。ですから教材に特化した形にして、冊子版にしようと考えました。ルール説明や解説書をA4サイズの冊子にして、カードも冊子に綴じ込んで、昔の雑誌付録のように自分で切り取って遊ぶ。ゲーム商品として考えるとクオリティ面で気になる点もありますが、教材として考えたときに1冊の冊子で済むことは大きいです。コストもだいぶ下がりますし。
教材化ということですがこれまでも学校関係へプロモーションを?
角学校の先生方が集まるイベントなどで遊んでもらったりしていますが、オトナはテレがあるのでなかなかこのゲームに入り込んでくれない。この面白さにまだ気づいてもらえてないですね。子供がやれば一発なんですけどね。特に、子供と一緒に遊んだ父親が「これいいね!」と喜んでくれるの。
吉いろいろな学校からまとまった注文を頂いたりしたのですが、価格と物理的なボリュームがネックになることがありました。それで冊子にしようと思いました。ゲームではなく冊子ですと学校に持ち込む言い訳もたちますし(笑) なんとか学校に持ち込みたいなと思いまして。子供たちに学校で遊んでほしいんです。
角最初から吉田さんに言ってるのは、この世界では爆発的に売れることは考えられないから、細く長く売ってほしいとお願いしてて。
吉パッケージ版ですとどうしても在庫がかなりのスペースを占めてしまうので、あまり数を作れなかったのですが、冊子版にすればかなりスペースが節約できますのでたくさん作れます。目標金額は60万円以上です。All or Nothing方式で、目標金額に到達しないと実施できません。4月末まで募集してますので、原子力産業新聞をお読みの皆さんも是非ご協力ください。お友達と、お子さんと、『ラドラボ』で遊んでください! よろしくお願いいたします。
番外編
タンサン株式会社はこんなところ
同社の代表作であり一番売れたゲームは「ヒットマンガ」。グッド・トイ2019受賞。amazonでも買える。
読み手が空白のフキダシに合うセリフを考えて読み上げ、他の人たちはそのセリフから推理してカードを取るというカルタのようなルール。日本語と英語の説明書は入っているが、絵だけなので何語でも遊べる。先日も「日本で買って母国で遊んでいる」というフィンランドの先生からメールを頂いたそうだ。
朝戸一聖さん(代表取締役) 吉田昌乘さん(取締役)
ボクらの時期は就職が難しい時期だったので「就職活動頑張るよりも自分たちで」って若気のイタリで思ったんです(笑)22歳の時に株式会社化しまして、今31です。
京都造形芸術大学の同級生3人で立ち上げたのでタンサンです。二酸化炭素って毒にすらなりますが、それが溶け込んだ炭酸飲料ってシュワシュワ美味しいじゃないですか。そんなあそびを作りたいなと思ってタンサン株式会社にしました。