
英国に本拠を置くウラン濃縮大手、ウレンコ社(Urenco)は10月20日、オランダ・アルメロのウラン濃縮工場において新たな能力拡張計画を発表した。今回の計画は、2023年12月に発表された第1段階(約75万SWU/年の増強)に続くもので、同規模となる約75万SWU/年の能力をさらに追加し、2030年の運転開始を目指す。両段階を合わせると、合計で約150万SWU/年の増強となり、同社にとって最大規模の拡張となる見込みだ。アルメロ工場では現在「SP4」と「SP5」の2つの濃縮プラントが稼働している。このうち生産能力の約8割以上を担うSP5は2000年に開設され、2012年まで段階的に拡張された。現在7棟が稼働しており、2024年からは8棟目の建設が進む。今回の拡張では、これと同規模を新設し、生産能力のさらなる向上を図る。ウレンコ・アルメロのマネージングディレクター、A.ルーター氏は「このプロジェクトは当社にとって最大規模の能力拡張であり、燃料供給の安定化と地域の雇用創出の両立を図るものだ」と述べ、将来的な追加拡張の可能性にも言及した。ウレンコはアルメロに加え、独グローナウおよび米ニューメキシコ州ユーニスの各拠点でも能力拡張を進めている。ユーニス工場は北米で唯一の商業規模のウラン濃縮施設として2010年に操業を開始。2025年5月には増設した新型遠心分離機カスケードの運転を開始し、濃縮ウランの生産を拡大している。これらを合わせ、ウレンコは世界全体で約250万SWU規模の新たな濃縮能力の確保を目指している。関連して、9月30日にはウレンコUSAが、ユーニス工場でU-235濃度最大10%以下のウランを生産する認可を米原子力規制委員会(NRC)から取得した。これにより、米国で初めて商業用の低濃縮ウランプラス(LEU+)を生産可能な施設となった。LEU+の生産は年内に開始され、初回納入は2026年を予定。LEU+は、小型炉向けの先進燃料HALEU(濃縮度5~20%)の原料としても活用できることから、将来的なHALEUの生産への布石となる。一連の拡張の背景にはロシア製原子燃料への依存低減やエネルギー安全保障の強化、脱炭素化に伴う原子力の再評価などがある。欧州委員会(EC)は2022年3月、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア産化石燃料からの脱却を目指す「REPowerEU」計画を発表。2025年5月には新たなロードマップを策定し、ロシア産ウランや濃縮ウランなどの新規契約締結を制限した。欧州や北米では安定かつ多様な原料供給体制の確立が急務となっており、ウレンコがその中核的役割を果たしつつある。
28 Oct 2025
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米国のホルテック・インターナショナル社は10月10日、エディ・リー・エネルギー同盟(ELEA)とのサイト購入契約を相互の合意により解約したことを明らかにした。ホルテック社はニューメキシコ州のELEA所有サイトで、使用済み燃料の中間貯蔵施設「HI-STORE CISF」の立地を計画していたが、今後は他の自治体との交渉が可能になる。ELEAとのサイト購入契約では、他自治体との協力が禁止されていた。ホルテック社は、ニューメキシコ州南東部のエディ郡内のカールズバッド市、およびその東側に隣接するリー郡と同郡内のホッブス市が設立した有限責任会社であるELEAと2015年に協力覚書を締結。ELEAが州の南東部、リー郡内に共同保有するサイトで、ホルテック社製の「HI-STORM UMAX」((地下部分に使用済み燃料を安全に乾式貯蔵するためのシステム))を備えたCISFを建設・操業することを目的に、2017年3月に同施設の建設・操業許可申請書を米原子力規制委員会(NRC)に提出。NRCは2023年5月に許可を発給した。同サイトから約19kmの場所には軍事利用で発生した超ウラン元素の高レベル・長半減期放射性廃棄物を処分する米国初の地層処分施設「放射性廃棄物隔離試験施設(WIPP)」がある。HI-STORE CISFでは、その建設から廃止措置に至るまで全20段階の工程が設定されている。その第1段階として、ホルテック社は合計8,680トンの使用済燃料を封入したキャニスター500台を発電所から輸送して同施設で受け入れ、最終処分場が完成するまで貯蔵するため、40年間有効な許可を取得。残りの19段階で最大1万台のキャニスターを暫定貯蔵する計画だった。その一方で、ニューメキシコ州のM. グリシャム知事(2019年~、民主党)は同施設の建設・操業に反対し、2023年3月、恒久的な処分場が存在しない限り、州による承認のない貯蔵・処分施設の建設を禁止する州法案に署名。さらにHI-STORE CISF建設に対する反対派からの訴えにより、米国第5巡回区控訴裁判所は2024年3月、NRCに対し、ホルテック社のHI-STORE CISFに対する許可を取り消すよう指示した。ホルテック社は、控訴裁の決定は使用済み燃料貯蔵施設の認可と規制に対するNRCの権限を含む、連邦法と明らかに矛盾しているとし、NRCおよび連邦政府と共同で米最高裁判所に対し、2024年3月の控訴裁の判決を覆し、HI-STORE CISFに対する許可を回復するよう求める請願書を提出していた。今年6月には最高裁において、Interim Storage Partners(ISP)がテキサス州アンドリュース郡で計画するCISF建設・操業に反対するテキサス州の主張が却下されたため、ホルテック社は、ニューメキシコ州においてもHI-STORE CISFの建設および操業許可の回復に期待を表明していた。
27 Oct 2025
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英国発の先進炉開発企業ニュークレオ社(Newcleo)と、米国の先進炉・燃料サイクル開発企業オクロ社(Oklo)は10月17日、米国内での先進燃料製造・供給インフラ開発に関する共同契約を締結し最大20億ドル(約3,000億円)規模を投資する計画を発表した。スウェーデンの先進原子力技術企業ブリカラ社(Blykalla)も、今後の参画を検討している。欧米が連携することで西側主導の燃料サイクル確立を目指す動きと言えるだろう。ニュークレオ社は2033年までに小型の鉛冷却高速炉(LFR、電気出力20万kWe)の商業化を目指しており、フランスでMOX燃料製造工場の建設計画も進めている。今回の提携では、米国における燃料製造施設への共同投資や立地検討、余剰プルトニウムの米国安全基準に基づく再利用の取り組みなどが盛り込まれる見通しだ。オクロ社の共同創業者兼CEO、J.デウィット氏は、「余剰プルトニウムを再利用することは、過去の負債を解消しつつ、豊富な燃料源を確保する最良の方法」と期待を寄せた。オクロ社は2025年9月、米エネルギー省(DOE)の先進燃料製造AFFプログラムに採択され、DOEの支援を受け燃料製造施設の建設を進めている。今回の提携の背景には世界のウラン濃縮能力の約44%をロシア企業が占め、特に先進炉向け燃料加工分野でロシアが市場を独占している現状がある。こうした状況に対応するため、2025年5月、トランプ政権は原子力産業の活性化を目的とした大統領令に署名し、燃料供給拡大や余剰プルトニウム処理方法の見直しを柱とした政策を打ち出した。ニュークレオ社とオクロ社は政策の後押しも受けながら、自前の燃料供給網を整備してエネルギー安全保障強化を図っている。
24 Oct 2025
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スウェーデン政府は10月9日、より多くの沿岸地域と群島で新規原子力発電所の建設を可能にするため、特定の沿岸地域と群島で原子力施設の建設を禁止している規定の撤廃に向けて環境法の改正を提案した。現在、この法改正に関してパブリック・コンサルテーション(意見公募)が進行中である。政府は、国内の電力システムを強化し、カーボンフリー電力を必要な時に必要な場所で供給できるようにするため、同国全沿岸で原子力施設の建設を認めることを提案しており、今回の法改正の提案により、環境法の原子力施設の建設を禁止・制限している規定(第4章第3節および第4節)の撤廃を目指す。法改正は、原子力施設の許認可プロセスそのものを変更するものではなく、沿岸地域の自然・文化遺産の保護は維持しつつ、「自然が比較的手つかずの地域」および「高度に開発された沿岸地域」において新たにサイト適地と判断される場所での原子力施設の建設を可能にするものと強調している。原子炉、研究炉、バックエンド施設など、政府の許認可審査対象となるすべての原子力施設が対象となる。R. ポルモクタリ気候・環境相は、「原子力施設は、適切な条件を備えた場所に建設される必要があるが、現行法では立地の適地となり得る場所を排除している。法改正によって、事業者が沿岸部での原子力施設の建設・投資を検討する新たな機会が生まれる」と期待を表明。N. ウィクマン金融市場担当大臣は、「経済成長と雇用創出、エネルギー移行の実現には、堅牢でカーボンフリーのベースロード電源への投資が不可欠」と強調した。政府は法改正の施行日を2026年7月1日と提案。パブリック・コンサルテーションの意見提出の締め切りは今年12月15日としている。スウェーデンでは、新規建設に向けた事業環境整備が進められているが、原子力発電はリードタイムが長く、原子力の役割が時間の経過とともに政治的に変化し、投資が実施されなくなるリスクを伴う。これに対応するため政府は10月2日、将来の政治的決定により原子力発電の段階的廃止が余儀なくされる場合(いわゆる政治リスク)、国からの補償金をどのように支払うべきかを調査・提案する特別調査官(A. ニルソン氏)を任命した。特別調査官は、補償を受ける対象、補償を受ける権利となる政治的決定、政治的決定によって稼働前に中止されたプロジェクトへの投資に対する補償金の支払い、補償金の計算モデル、補償金の調達方法、必要な法改正案やその他の規制に関する事項などについて調査・提案を行う。中間報告を2026年6月29日までに、最終報告を遅くとも2026年12月1日までに提出することになっている。ブッシュ副首相兼エネルギー・企業・産業担当相は、「原子力発電所の所有者が、政治が新しい原子力発電所の下から敷物を引き抜くことを心配する必要はない。補償制度の確立は、原子力発電への投資拡大につながる可能性がある」と、今回の新規建設への投資を確保するさらなるイニシアチブの決定を評価した。
24 Oct 2025
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ロシア国家院(連邦議会下院=Duma)は10月8日、米政府との余剰兵器プルトニウム処分に関する協定から正式離脱する法案を採択した。同協定は2000年に両国によって署名され、米ロ双方でそれぞれ34トンの余剰兵器プルトニウムを軍事目的に利用できないように並行して処分することを目的とするもの。ロシア政府は2016年10月、米政府が協定に基づく義務を履行できないことを理由に、連邦法により同協定の履行を停止していた。同協定は、2000年9月に米ロ両国により署名され、2011年7月に発効。2010年4月の議定書により、両国ともMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料に加工して原子炉で燃焼処分するとしていたが、米国は、サウスカロライナ州にあるエネルギー省のサバンナリバー・サイトにおけるMOX燃料製造施設建設のコスト増加と計画遅延から方針を転換し、不活性物質で希釈して埋設処分する計画を提案した。協定では、両国で合意があれば処分方法の変更が可能であるとされていたが、ロシアは米国の示す方法では不可逆的な処分にはならないと主張し、2016年に同協定の履行を停止した。今後、連邦院(上院)で法案を承認後、大統領の署名を経て、協定からの正式離脱となる。一方で、露大統領は来年2月の期限後も新戦略兵器削減条約(新START)の1年延長を提案し、米大統領が興味深い考えだと述べたことから、一部の議員からは何らかの軍備管理に関する対話が再開され、状況の変化によっては、本協定に関する再検討の可能性があるかもしれないとする見方が示された。米ロ間では余剰兵器プルトニウム処分の他に、ロシアの解体核兵器から生じた兵器級ウラン(高濃縮ウラン、濃縮度90%)500トンを20年にわたり原子力発電所向けの低濃縮ウラン(濃縮度4.4%)に希釈し、原子力発電所の燃料として米国に販売する、いわゆる「メガトンからメガワットへのプログラム」が、1993年2月に締結された協定に基づき実施され、2013年末に完了。15,000トン以上の低濃縮ウランが米国に納入された。
23 Oct 2025
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米国の原子力スタートアップ、ラディアント(Radiant)社は10月13日、テネシー州オークリッジにマイクロ炉「Kaleidos」の製造工場を建設すると発表した。建設地はかつての米国の原子爆弾開発計画「マンハッタン計画」跡地で、現在は原子力研究施設が集まる場所として知られる。建設費は約2億8,000万ドル(約420億円)で、操業時は約175人の常時雇用が見込まれる。テネシー州はB.リー知事のもと2023年に「原子力基金」を創設し原子力関連企業の誘致や研究機関による人材育成を支援しており、ラディアント社はこの基金から200万ドル(約4億円)の助成を受ける予定。製造工場「R-50」の着工は2026年初頭、2028年にKaleidosの初号機納入、その後は年間12基の量産体制を構築し、長期的には年間最大50基の製造を目標としている。ラディアント社の最高執行責任者(COO)、T.シヴァナンダン氏は「州の規制上の確実性や優秀な労働力を考慮し、オークリッジを選んだ」と説明。同社は当初ワイオミング州での建設も検討していたが、規制環境を理由にテネシー州を選定した。ラディアント社は米スペースX社でロケットの電気系統設計担当エンジニアだったD.ベルナウアー氏により2020年に設立された。開発中のKaleidosは電気出力約0.12万kWのヘリウム冷却マイクロ炉で、TRISO燃料(3重被覆層・燃料粒子)を採用、運転サイクルは5年を想定。トラックなどによる輸送を可能にし、ディーゼル発電機の代替を目指している。Kaleidosは、2025年8月に米国エネルギー省(DOE)が開始した「原子力パイロットプログラム」で選定された先進炉11炉型のうちの1つ。プログラムへの参加により、DOEの技術・安全審査を経て迅速な実証ルートを確保している。2026年春にはアイダホ国立研究所(INL)で試験運転を行い、2028年の実用化を目指す。ヘリウム冷却システムの商用規模での信頼性は実証段階にあり、試験結果が今後の展開を左右する重要な節目となる見通しだ。同社は2025年7月、米空軍向けKaleidosの納入契約を締結し、2028年の引き渡しを予定している。このほか、遠隔地施設や災害対応電源などへの供給も見据え、分散型エネルギー市場での事業拡大を狙っている。
23 Oct 2025
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フィリピンのエネルギー省(DOE)のS. ガリン長官は10月3日、マニラで開催されたフィリピン国際原子力サプライチェーンフォーラム(PINSCF)2025において講演し、国内のエネルギーミックスに原子力を組み入れる包括的枠組みに関する省令に、前日に署名したことを明らかにした。この枠組みの下、商業的に開発・運転される同国初となる原子力発電所は、導入される原子力技術に係わらず、ベースロード電源となり、優先的な送電が認められるなど、大統領令に基づく優遇措置と迅速な手続きの対象となる国家重要エネルギープロジェクトに認定されるという。DOEは、原子力発電所への競争力ある投資環境を整備し、先行開発事業者による円滑な電力販売を促進させ、国の長期的なエネルギー安全保障を強化したい考え。省令の公布から90日以内に、DOE職員と財務省、経済計画開発省、政府系ファンドのマハルリカ投資公社、その他関連機関が、政府参加モデルや資金調達オプションを検討。エネルギー規制委員会が、規制資産ベース型モデルまたは類似の資本回収メカニズムを実施する任務を負っているという。さらに送電システムへの原子力発電の円滑な統合を確保するため、送電網整備の作業を優先するとしている。ガリン長官は、「原子力をエネルギーミックスに組み入れる明確なルールを確立することで、投資家、パートナー、関係者に対して、フィリピンがクリーンエネルギー移行の一環として原子力を責任ある戦略的導入の準備が整っているという確信を与える。原子力は信頼性が高く安定したベースロード電源となって再生可能エネルギーを補完し、気候目標を達成しながら、経済成長に必要なエネルギー安全保障を確保するものだ」と述べた。また同長官は、政府による支援政策と投資家の強い関心から、2032年までに国内初の原子力発電所の運転に期待を寄せつつも、その実現は投資家の決定など多くの要因に左右されると言及。さらに地域社会の受け入れが原子力発電所を建設する際の主要な要件の一つであると強調した。PINSCF 2025には、米国、韓国、カナダ、UAE、アルゼンチン、フランス、フィンランド、ハンガリー、フィリピンの政策立案者、原子力技術部門や規制当局の専門家が参加し、フィリピンのエネルギー転換を支える戦略的かつ適応性のあるサプライチェーン構築に焦点を当て、議論された。昨年11月に開催された第1回フォーラムでは、国際的に活躍する原子力専門家、政策立案者、エネルギー関係者、外交官らが出席。原子力産業における最新の動向、ベストプラクティス、安全とセキュリティ、および資金調達メカニズムなどについて協議されている。フィリピンでは2022年2月、大統領令により原子力をエネルギーミックスに加えるという方針が確定し、昨年には原子力ロードマップが発表された。2032年までに同国初の原子力発電所の稼働を目指し、少なくとも出力120万kWeをエネルギーミックスに組み入れ、2035年までに240万kWeに倍増、2050年までに480万kWeまで増強する方針である。今年9月には、国家原子力安全法を制定。原子力の平和利用を規定し、原子力安全および放射線活動を監督する、独立した原子力規制機関(PhilATOM)の設立を定めており、原子力の導入にむけた諸準備が本格化している。なお同国では、1985年に東南アジア初の原子力発電所となるバターン原子力発電所(=BNPP、米ウェスチングハウス社製PWR、62万kWe)がほぼ完成したが、1986年に発足したアキノ政権は、同年のチョルノービリ原子力発電所事故の発生を受け、安全性及び経済性を疑問視し、運転認可の発給を見送った。その後、急速なエネルギー需要が国産エネルギーの開発や輸入エネルギーの増加でも賄えない場合に備え、1995年から原子力発電の導入について検討が始まったが、2011年3月の福島第一原子力発電所事故により、再度原子力発電開発を断念した。現在、韓国水力・原子力の支援を受け、BNPP稼働に係わる包括的な実行可能性調査を実施中である。
22 Oct 2025
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ルーマニア国営原子力発電会社のニュークリアエレクトリカ(SNN)は10月8日、仏電力大手フランス電力(EDF)グループ傘下の2社と、チェルナボーダ原子力発電所(CANDU6、70万kW級×2基)の運転期間延長ならびに医療用ラジオアイソトープ(RI)製造にかかる協力協定を締結した。SNNの発表によると、原子力発電所向けの蒸気タービン事業を手掛けるアラベル・ソリューションズ社とはチェルナボーダ1号機の改修・運転延長プロジェクトで協力し、燃料製造大手フラマトム社とは医療用RIの製造で協力する。SNNは、同1号機(1996年運転開始)の運転期間を30年間延長する改修工事を計画しており、2027年に運転を停止。2029年の再稼働を目指して、現在は、設計や資金調達、インフラ整備などを進めている。アラベル社はこれまでも1、 2号機の保守や部品改修を手掛けており、長年の協力関係をさらに発展させる形で協力関係を結ぶ。改修作業は工学研究から製造、既存システムの解体、新設備の設置、長期的な保守作業まで多岐にわたる。1号機の改修が完了し運転再開すれば、年間約50億kWhの発電が可能となり、年間約500万トンのCO₂排出削減に寄与する見通し。一方、フラマトム社とは、同発電所での医療用RIの一つであるルテチウム177の製造の協力体制を構築する。ルテチウム177はがん治療に不可欠なRIで、欧州では年間約1,500万件の治療で使用されている。医療用RIの提供はSNNの長期戦略の一環。2024年にはフラマトム社と覚書(MOU)を締結しており、今回の契約は2028年のサービス開始に向けた実施段階への移行を意味する。なお、SNNは2024年にもカナダ、イタリア、韓国の企業と1号機改修のための協力契約を締結するなど、国際協力を強化している。今回のフラマトム社との協力が実施段階に入ったことで、1号機の改修プロジェクトの進行とともに、エネルギー供給にとどまらない原子力利用の拡大の動きが本格化している。
22 Oct 2025
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ウズベキスタン東部のジザク州ファリシュ地区において10月9日、ロシア製SMR建設プロジェクトの初号機の原子炉建屋の基礎掘削工事が開始された。同サイトでは2基のSMRに加えて、大型炉2基を建設する。ウズベキスタン原子力庁(ウザトム=Uzatom)のA. アフメドハジャエフ長官とロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁が、オンラインで掘削工事開始の式典に参加した。建設されるロシア製SMRはRITM-200N。舶用炉を陸上用に改良したPWRで、熱出力19万kW、電気出力5.5万kW。設計運転年数は60年。ロシア製SMRの海外輸出プロジェクトは、これが初めて。ロシア国内では、サハ共和国北部のウスチ・クイガ村で建設プロジェクトが進行中である。ジザク・サイトでの建設作業では、広範囲に地元企業が参画している。掘削工事では、150万㎥の土砂が掘削され、掘削深度は13mに達するという。並行して、エンジニアリング調査や設計、準備作業が進行中。今年末までにSMRの設計文書が作成され、2026年3月には初号機の初コンクリート打設を予定している。同プロジェクトは段階的に実施され、SMRに続いて大型炉の稼働を計画しており、今後、大型炉の設計作業にも取り掛かる予定である。当初、ジザク州には2024年5月の建設契約に基づき、RITM-200N×6基の建設を予定していたが、9月26日、モスクワで開催されたロスアトム主催の国際フォーラム「世界原子力ウィーク」(WNW)において、RITM-200N×2基ならびに大型炉VVER-1000×2基を建設する原子力発電所プロジェクトとし、同プロジェクトへの燃料供給も含めて合意された。近代的な低出力の先進炉と実績ある高出力の原子炉の両方が同じサイトで稼働することになる。
21 Oct 2025
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米エネルギー省(DOE)は9月30日、先進燃料製造ラインを構築する新たなパイロットプログラムの対象として、4社を選定した。原子燃料の国内サプライチェーン強化に向けたトランプ政権の取組みを、さらに一歩前進させた。今回の選定により、米国の国家安全保障を強化し、海外の濃縮ウラン資源への依存を低減させ、2026年7月4日(独立記念日)までに少なくとも3基の先進試験炉を臨界状態にすることを目指すDOEによる原子炉パイロットプログラムを支援する。選定されたのは、以下の4社。Oklo(カリフォルニア州サンタクララ): オーロラ(Aurola)炉とプルート(Pluto)炉、および場合によってはその他の高速炉を支援するための3つの燃料製造施設の建設と運営。Terrestrial Energy(ノースカロライナ州シャーロット): 段階的アプローチで熔融塩製造プロセスを実証するTerrestrial Energy燃料ラインの開発。TRISO-X(テネシー州オークリッジ): 商業用TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料製造施設TX-1を支援する燃料製造実験施設の建設と運営。Valar Atomics(カリフォルニア州ホーソーン): Ward 250炉およびその他の高温ガス炉のためのTRISO燃料製造を支援。今回の措置は、DOEによる先進試験炉向けの燃料製造ラインのパイロットプログラム下において2度目となる条件付き選定となる。DOEは今年8月、テネシー州オークリッジに拠点のある、Standard Nuclearを先行して選定済み。同社は独自の原子炉開発事業を持たない国内唯一の独立系TRISO燃料製造事業者で、製造施設をテネシー州ならびにアイダホ州に建設、運営する計画である。上記5社は、DOEによる原子炉パイロットプログラムの参加対象として初回に選定された11種の原子炉の研究、開発、実証に向けて、DOEの認可プロセスを活用して、確実に燃料を供給していく方針だ。なお今回の選定企業のうち、Oklo、Terrestrial Energy、Valar Atomicsの3社は、今年8月にDOEの原子炉パイロットプログラムの対象として選定された10社に含まれている。今回の選定により、設計のテストに必要となる高度な燃料の供給力が拡大し、実証から配備への移行が加速することが期待されている。選定企業は、燃料製造施設の建設、運転、廃止措置に関連するすべてのコストを負担し、核物質の原材料を調達する。またDOEのHALEU利用可能プログラムを通じて、HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)の割り当ての申請が可能。これらのパイロット事業は、民間投資の呼び込みと、商業化に向けた規制認可の迅速化を後押しすると見込まれている。DOEのJ. ダンリー副長官は、「国内の燃料供給体制を確実に立て直し、先進炉の設計段階から建設・運転へと迅速に移行できるようにする。先進炉向けの燃料製造能力は、原子力分野での米国のリーダーシップを維持し、信頼性の高い電力需要に応えるために不可欠だ」と述べた。
21 Oct 2025
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OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)は9月18日、石炭火力発電所から小型モジュール炉(SMR)へ移行する可能性について、市場規模や導入課題、政府と産業界の役割などを分析した報告書「SMRs for Replacing Coal―― Opportunities and Challenges for Small Modular Reactors」を公表した。報告書は、老朽化や脱炭素化の進展に伴い石炭火力が段階的に廃止されるなか、SMRが石炭火力発電所のインフラや立地許可など、既存の許認可を可能な範囲で活用できる有力な代替手段になり得ると指摘。ベースロード電源として系統インフラや労働力を維持しつつ、今後数十年にわたり、手頃な価格でクリーンかつ信頼性の高い電力供給を支えることができるとしている。まず、対象市場や実現可能性について、報告書は、石炭火力から原子力への移行可能性は地域によって異なると分析。最大の要因は石炭火力発電所の老朽化で、さらに政府の政策方針や既存の原子力インフラ、石炭火力の段階的廃止計画も導入を左右する要素とした。なかでも北米、特に米国は老朽化した石炭火力が多く、原子力の経験も豊富なことから、SMR導入の先行地域として位置付けられた。欧州もまた、石炭火力から原子力への代替によって大きな恩恵を受ける地域と分析されている。NEAによると、世界の石炭火力発電設備容量(約22億kWe)のうち、2035年までにSMRによるリプレースが見込まれる潜在市場は1億4,300万kWe に達し、主に米国を中心に市場が形成される見通し。さらに2040年には潜在市場が3億8,100万kWeへと拡大し、欧州やアジアでも移行が本格化するとみられる。報告書は、2050年までに世界全体で4億5,000万kWeの石炭火力が原子力へ移行する可能性が高いと結論づけた。なおアジアでは、インドネシアや日本、韓国、フィリピンが潜在市場として挙げられている。また、報告書は電力会社や大規模ユーザーなど専門家への調査やインタビューも実施。その結果、多くが石炭火力から原子力への移行に関心を示す一方で、「ファーストムーバー(先駆者)」として初めて建設に取り組むことには慎重な姿勢を見せた。初号機建設のリスクや、他社の実績を見極めてから導入する姿勢が背景にあり、こうした状況をふまえ回答者は、リスク軽減やリプレースの加速・実証において、政府が重要な役割を果たすべきと強調している。そのうえで報告書は、石炭火力から原子力への持続可能な移行には、原子力の開発・導入を後押しする効果的な政策枠組みと強力な国内政策が不可欠と強調。具体的には、明確な脱炭素方針や直接的な財政インセンティブ、合理化された規制プロセスを通じて、原子力導入が促進できるとした。さらに、官民パートナーシップにより、初期の原子力プロジェクトに伴うリスクを共有し、石炭火力がもたらしてきた地域経済への貢献を維持するための財政支援を提供し、移行を支援することも可能としたほか、職業訓練や地域経済支援の政策は、石炭火力依存地域の「公正な移行」を後押しするものと指摘している。
20 Oct 2025
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英国で建設が進むサイズウェルC(SZC)原子力発電所プロジェクト(欧州加圧水型炉EPR-1750×2基、各172万kWe)を手掛けるサイズウェルC(SZC)社は10月12日、ウラン濃縮を手がける英ウレンコ社および仏の燃料製造大手フラマトム社と、長期燃料供給契約を締結したと発表した。運転開始に備え、燃料の安定調達に向けた重要な一歩となった。ウレンコ社とのウラン濃縮サービス契約は、原子炉2基の運転開始から6年間を対象としており、運転初期段階の燃料供給を担う。英国北西部チェスター近郊カーペンハーストにあるウレンコ社の濃縮施設では現在約1,000人の熟練技術者が働いており、今回の契約が地域の雇用維持にもつながると見込まれている。一方フラマトム社との契約は、発電所の運転開始時に必要な燃料とその後の定期的な燃料交換に使う分までを長期的に製造・供給する内容となっている。またフラマトム社は2023年11月、SZCを含む英国の原子力発電所向けに燃料を供給する計画の一環として、英国内での原子燃料製造施設の建設計画を発表している。燃料は当初、仏・ロマンの工場で製造されるが、英国の新施設が稼働すれば、将来的に国内生産に切り替わる見通しだ。SZCの共同マネージングディレクターであるJ. パイク氏は、今回の契約が「英国のエネルギー安全保障と原子力サプライチェーンを強化する重要な節目」と強調した。SZC発電所は、稼働後に最大600万世帯分の電力を60年以上にわたり供給できる見込みで、英国の電力システム全体で年間平均20億ポンド(約4,000億円)のコストが節約できると期待されている。建設のピーク時には約1万人の直接雇用を生み出し、サプライチェーンを含めると数万人規模の雇用創出が期待される。
20 Oct 2025
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米国の投資銀行JPモルガン・チェースは、10月13日、米国の国家安全保障および経済のレジリエンス(回復力・弾力性)を強化するため、今後10年間で総額1.5兆ドル(約225兆円)規模の資金支援と投融資を実行する計画を発表した。この計画には、自社資金による最大100億ドル(約1.5兆円)の直接投資も含まれており、対象には原子力分野も含まれることが明らかになった。同社のJ.ダイモン会長兼CEOは、「米国は国家安全保障に不可欠な鉱物や製品、製造能力を信頼性の低い供給源に過度に依存してしまっていることが明らかになった」と述べ、米国の安全保障と経済のレジリエンスを確保するためには、より迅速な行動と積極的な投資が不可欠であると強調している。計画では、以下の4分野を重点課題として掲げており、これらに対して助言、資金提供、時には投資を通じて支援を行うとしている。サプライチェーンと先進製造業:鉱物・製造部材、医療原料、ロボティクス等防衛・宇宙産業:防衛技術、自律システム、ドローン、次世代通信、セキュア通信等エネルギー自立とレジリエンス:送電網強化、分散型エネルギー、蓄電池、再生可能エネルギー等先端・戦略技術:AI(人工知能)、サイバーセキュリティ、量子コンピューティング等このうち「エネルギー自立とレジリエンス」分野では、送電網のレジリエンス強化のほか、分散型エネルギー、太陽光発電、蓄電池もサブ領域として明記されている。またダイモン氏は、AIの進展に伴う電力需要の急増に対応するため、半導体やデータセンターを支える強固なエネルギーシステムの構築が不可欠であると指摘した。これらの取り組みを推進するため、同社は今後、銀行や投資部門の人員を拡充するとともに、官民の有識者による外部諮問委員会を設置し、専門知識を結集して支援体制を強化する方針だ。
20 Oct 2025
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米X-エナジー社傘下のX-エナジー・カナダ社は9月25日、加アルバータ州にあるTransAlta社の火力発電所のサイトにX-エナジー社が開発する小型モジュール炉(SMR)「Xe-100」を導入する実現可能性を確認できたことを明らかにした。これにより、さらなる計画策定および規制当局との協議の基盤が築かれたとしている。実現可能性調査は、アルバータ州政府のTIER(Technology Innovation and Emissions Reduction)基金を原資に、州政府系機関ERA(Emissions Reduction Alberta)から助成を受け、カナダを拠点とする電力事業者のTransAlta社、エネルギー・エンジニアリング会社のHatch社、建設会社のPCL社、原子力サービス会社のKinectrics社と共同で実施した。調査の結果、アルバータ州特有のエネルギーおよび産業構造とXe-100の特性との間に高い親和性があることが確認され、同州のエネルギー経済と長期的な競争力強化に直接貢献できる分野を特定できたという。Xe-100は、出力8万kWeの高温ガス冷却炉。電力供給に加え、565℃の熱および蒸気を安定供給可能で、同州の産業や石油・ガス分野で幅広く応用できる。また、Xe-100では空冷システムの効率的利用により、水使用量が大幅に削減できる見込みで、従来の軽水炉と比較して立地選定の柔軟性を高めるという。燃料には、米エネルギー省から「地球上で最も堅牢な燃料」とされるTRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料を使用。運転時や事故時を含むあらゆる状況での極端な高温にも耐えられるよう設計されており、次世代型の固有安全性を確保する。アルバータ州にはサプライチェーンが確立されており、X-エナジー社の技術の製造および建設を支える体制が整っている。X-エナジー社のB. レインキ上級副社長は、「Xe-100の利点を最大限に活かせる地域である」と指摘している。X-エナジー社は、電力会社、産業顧客、ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)向けにXe-100を系統連系と同規模のエネルギーソリューションとして推進しており、米国の大手化学メーカーであるダウ(Dow)社、大手テック企業のAmazon社や英国のエネルギ―供給会社のセントリカ(Centrica)社とすでに導入や投資、電力購入をめぐって合意している。X-エナジー社の最初の計画としては、ダウ社のテキサス州シードリフト・サイトにXe-100×4基の発電所を建設。北米で初めて産業サイト向けに導入され、クリーンな電力と高温蒸気を供給する。ダウ社とのプロジェクトに続き、Amazon社と2039年までに合計500万kWeの導入を計画しており、その一環としてワシントン州の電気事業者であるエナジー・ノースウェスト社と協働。同社が運転するコロンビア原子力発電所(BWR、121.1万kWe)の傍に「カスケード先進エネルギー施設」と称するSMRの施設を建設する。その第1フェーズでXe-100を4基(合計32万kWe)設置し、続く第2、第3フェーズと併せて、最大12基(合計出力96万kWe)を設置するオプションを有する。2020年代末までに建設を開始し、2030年代に運転を開始したい考えだ。今年8月にはAmazon社とともに、米国内でのXe-100展開の加速を目的に、韓国水力・原子力(KHNP)および斗山エナビリティ社と協力合意を交わし、翌9月には、英国のセントリカ社とイングランド北東部のハートルプールにXe-100を最大12基建設することで合意している。燃料部門では、自社開発のTRISO-X燃料の製造施設TX-1をテネシー州オークリッジに建設するプロジェクトを進めており、米原子力規制委員会が許認可の審査中である。
17 Oct 2025
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インド原子力発電公社(NPCIL)は、9月29日、バーラト小型炉(BSR、バーラトはヒンディ語で「インド」の意)の建設に向けた民間企業からの提案依頼書の提出期限を、2026年3月31日まで延長すると発表した。より多くの企業からの参加を促すことが狙い。この募集は2024年12月から始まり、当初の締め切りは2025年3月末だったが、6月末、9月末と延長を重ね、今回で3度目の延期となる。NPCILによると、参加を検討している企業から「建設候補地の評価や設備投資、運転保守管理コストの算定などに時間が必要」との声が寄せられたほか、新たに参入を希望する企業も増えているため、期限を延長したという。これまでに提案書を提出したのは、ヒンダルコ・インダストリーズ、ジンダル・スチール・アンド・パワー、タタ・パワー、リライアンス・インダストリーズ、JSWエナジー、アダニ・パワーの6社。すでにそれぞれが建設候補サイトを選び、16サイトの予備調査報告書を提出している。NPCILは、候補地として挙がったうちのグジャラート州、マディヤ・プラデーシュ州、オリッサ州の3州に対し、現地調査や土地・水資源の確保などで協力を求めている。BSRは出力22万kWの小型加圧重水炉(PHWR)で、自家発電用に設計されている。インド政府は2047年までに原子力発電設備の容量を今の10倍以上に拡大し、2070年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする(ネットゼロ)目標を掲げ、これまで国の独占だった原子力部門の民間参入を進めている。
17 Oct 2025
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スロバキアのR. フィツォ首相は10月7日、欧州委員会(EC)、産業界、エネルギー業界の代表者が参加した第18回原子力エネルギーフォーラム(ENEF)で講演を行い、スロバキアと欧州の将来にとって競争力を維持し、増加するエネルギー需要に対応するために原子力が重要な役割を果たすと強調。また、ボフニチェ原子力発電所に米国製炉を増設することを念頭に、政府が米国との政府間協定本文を承認したことを明らかにした。スロバキアでは、電気自動車、データセンター、バッテリー貯蔵施設の発展に伴い、電力需要が増加。フィツォ首相は、2040年までにエネルギー需要が40~60%増加すると予想される中、新たなエネルギー源とインフラの近代化が必要になるとし、「安定かつ安価で、環境に優しいエネルギー源を望むならば、原子力を維持するだけでなく、さらに発展させなければならない」と語った。そのうえで、ボフニチェ発電所に出力100万kWe以上の原子炉1基の新設に向けて、政府が米国との政府間協定を9月10日に承認したと紹介した。今年8月には欧州委員会(EC)が同政府間協定について承認しており、これに合わせ、同首相は自身のソーシャルメディアで、新設には米ウェスチングハウス社製AP1000を採用する考えを表明している。なお政府は、2024年5月に同発電所5号機(最大120万kWe)の新設を承認している。今年9月中旬の国際原子力機関(IAEA)総会の会期中、スロバキアのD. サコバ副首相兼経済大臣は、米エネルギー省のC. ライト長官と、エネルギー分野における両国間の協力の可能性について協議。サコバ大臣は会談後、両国間の交渉は進んでおり、協定の署名に徐々に近づいていると明らかにした。新設プロジェクトには、スロバキアの産業界とサプライヤーが参加し、多くの雇用と機会の創出が期待されるという。またフィツォ首相はENEFでの講演の中で、モホフチェ3-4号機のプロジェクトとボフニチェ1-2号機の廃止措置の進捗を紹介。スロバキアの廃止措置会社JAVYS社と先進炉開発企業の英ニュークレオ社との、小型鉛冷却高速炉の開発および使用済み燃料を再利用するための処理プロジェクトについても触れ、「このプロジェクトが成功すれば、スロバキアは原子力分野におけるイノベーションのリーダーとなるだろう」と述べた。一方で同首相はECに対し、エネルギー価格に対処し、欧州産業の競争力を維持するための条件を整えるよう求め、ECのロシア産化石燃料や原子燃料依存からの脱却を推進する政策コミュニケ「REPowerEU」について、「EU加盟国のエネルギー安全保障を脅かす無意味なイデオロギー的措置」と批判した。EUの決定は、政治的な動機ではなく、合理的かつ技術的に実現可能なものでなければならず、経済に悪影響を与えるイデオロギー的な決定をしてはならないと訴え、スロバキアは今後も、エネルギーの安定供給、利用可能性、競争力を確保する主権的で現実的なエネルギー政策を推進していく方針を示した。スロバキアは、エネルギー調達先や輸送ルートの多様化に取組むもののその進展は遅く、ロシアの化石燃料への依存度(特に原油)は今なお高い。スロバキアでは現在、モホフチェ発電所で3基(1~3号機、VVER-440)、ボフニチェ発電所で2基(3~4号機、VVER-440)の計5基が運転中で、同国の電力需要の約6割を賄う。建設中は、モホフチェ4号機(VVER-440)の1基。両発電所の運転者はスロバキア電力で、2024年3月には石炭火力発電所をすべて閉鎖し、原子力発電、水力発電、太陽光発電による脱炭素電源100%を達成している。
16 Oct 2025
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米グローバル・ニュークリア・フューエル(GNF、GEベルノバ社が主導する日立製作所とのアライアンス)は10月6日、次世代の原子炉燃料「GNF4」を発表した。これは、60年にわたる沸騰水型炉(BWR)燃料設計を基盤に開発されたもの。11×11構造の「GNF4」は、これまでの「GNF2」および「GNF3」で培われた運転実績を踏まえ、米原子力規制委員会(NRC)によって認可された2つの先進的な構成要素―「ザイロン(Ziron)製被覆管」と「アルミナシリケート(Aluminosilicate)を添加した二酸化ウランペレット」を備えている。ザイロン製被覆管は、腐食への耐性を高めるために開発され、これまでに世界中で17万5,000体以上のGNF燃料集合体に使用されてきたジルカロイ(Zircaloy)-2被覆管の改良版。アルミナシリケート((アルミニウムとシリコンを含む化合物で耐熱性や化学的安定性に優れる。))を添加した二酸化ウランペレットで、さらに高い信頼性を実現。このほかGNF4では、GNF独自のNSF(Zr-Nb-Sn-Fe合金)チャンネルボックスおよびDefender+異物除去フィルターも採用している。GNF4は、ノースカロライナ州ウィルミントンのGNF製造施設で製造。性能と信頼性の向上により、メガワット時あたりの燃料コストを低減できるよう設計されている。先行使用の燃料集合体は2026年に配備予定で、2030年には全面的に利用可能になる予定であるという。
15 Oct 2025
1008
インドのN. モディ首相は9月25日、ラジャスタン州のバンスワラで、アヌシャクティ・ヴィデュット・ニガム(Anushakti Vidhyut Nigam Ltd = ASHVINI)社のマヒ・バンスワラ原子力発電所建設プロジェクトの定礎式のほか、太陽光発電、送電プロジェクトなどを含む、総額1兆2210億インドルピー(約2.1兆円)以上のインフラ開発プロジェクトの開始を記念する式典を開催した。ASHVINIは、原子力発電所を所有・運転するインド原子力発電公社(NPCIL)とインド国営火力発電会社(NTPC)による合弁会社(NPCIL: 51%、NTPC: 49%)。両社の財務、技術、プロジェクトの専門知識を統合し、原子力発電所を建設、所有、運転することを目的に設立され、2024年9月に政府が承認。政府はPHWR技術に基づくマヒ・バンスワラ建設プロジェクトの実施権を、NPCILからASHVINIへの移転することも承認した。2025年5月には、原子力規制委員会(AERB)から同発電所のサイト許可が発給されている。ASHVINI社は今後、国内の様々な地域で他の原子力プロジェクトも推進していくとしている。マヒ・バンスワラ発電所建設プロジェクトは、雇用と投資の機会を提供し、ラジャスタン州内の電力不足を緩和し、地域を活性化することを目的としている。同プロジェクトには約4,200億インドルピー(約7,140億円)が投資され、国内最大級の原子力発電所の1つとなる。同発電所は、原子力発電所を所有・運転するインド原子力発電公社(NPCIL)が設計・開発した70万kWe級加圧重水炉(PHWR)4基で構成。いずれも2031~2032年にかけて稼働させる予定である。サイト面積は約600 ha、マヒ川から冷却水を取水する。ラジャスタン州では、すでにラジャスタン原子力発電所でPHWR×7基(計188万kWe)が運転中で、1基(PHWR、70万kWe)が建設中である。マヒ・バンスワラ建設プロジェクトは、インド全土に70万kWe級PHWRを10基建設する計画の一環。マヒ・バンスワラのほか、カイガ5-6号機(カルナータカ州)、ゴラクプール3-4号機(ハリヤナ州)、チャッカ1-2号機(マディヤ・プラデシュ州)が計画されている。これらシリーズ建設により、コスト効率の向上、迅速な導入、運用ノウハウの習得を目指している。現在のインド国内の原子力発電設備容量は、25基の計888万kWe。総発電電力量に原子力が占める割合はわずか3.3%である。政府は戦略的な政策介入とインフラ投資を実施、特に国産原子力技術の開発・導入と官民連携に重点を置き、2047年までに原子力発電設備容量を1億kWeに拡大、2070年までに排出量ネットゼロの達成を目指している。
15 Oct 2025
579
スウェーデンのブリカラ(Blykalla)社、Evroc社、スタズビック(Studsvik)社の3社は10月6日、同国初となる原子力発電を利用したデータセンターの開発を検討するため、覚書(MOU)を締結した。これら3社の技術、インフラ、サイト運営の専門知識を組み合わせ、原子力発電所を併設したデータセンターの導入を目指している。本プロジェクトは、スタズビック社がスウェーデン南部バルト海沿岸ニショーピング(Nyköping)に所有する原子力施設の認可済みサイトを活用して進められる。サイトには原子力に適したインフラがあり、2005年まで研究炉が稼働していた。MOUにより、同サイトにデータセンターと小型モジュール炉(SMR)を併設する商業的・技術的な実現可能性を評価、自治体や土地所有者との協議を行い、将来的な電力購入契約(PPA)の枠組みを定義。共同運営委員会を設立し、サイトおよびビジネスモデルを評価、年内に正式なパートナーシップ交渉に入ることを目標としている。ブリカラ社は、SMRの鉛冷却高速炉「SEALER」(5.5万kWe)を開発中。出力拡大が可能なコンパクトなモジュール設計を特徴とし、2030年までに初号機の臨界を達成し、2030年代に量産を開始する計画である。経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)のSMR年次ダッシュボードでは、同社は欧州で最も成熟した先進炉コンセプトを有する企業として評価されている。今年9月には、米国で先進炉と燃料リサイクルの開発を進めているオクロ社と共同技術開発、材料、コンポーネント、非原子力サプライチェーンの構築や許認可のベストプラクティスに関する知見を共有し、高度な原子力の商業化を加速するための戦略的パートナーシップを締結。オクロ社は米国のサイトへの展開に重点を置き、最大出力7.5万kWeのナトリウム冷却高速炉のオーロラ発電所を開発中だ。Evroc社は、ヨーロッパのハイパースケールクラウドおよび重要AIインフラ構築を手掛けており、2030年までに欧州各地で10のハイパースケールデータセンターを運営し、数千人規模の雇用を創出することを目指している。スタズビック社は、世界の原子力発電業界向けに、燃料・材料技術、炉解析ソフトウェア、除染および放射線防護、そして放射性廃棄物の処理・減容化などの技術サービスを提供している。AI利用と電化による需要拡大で、原子力発電を活用したデータセンターへの関心が国際的に高まる中、これら3社は、スタズビック社のライセンスサイト、Evroc社のデジタルインフラ、ブリカラ社の先進的SMR技術を活用して、スウェーデンをデジタルインフラ分野の世界的リーダーに押し上げることを目指している。ブリカラ社のJ. ステッドマンCEOはMOU締結に際し、「3社の連携は、スウェーデンがデジタルインフラ分野のリーダーとなるための大きなチャンス。SMRがAI革命に必要な安定した化石燃料フリーのエネルギーを提供できることを実証できる。スタズビック社のサイトとEvroc社のビジョンは、画期的なプロジェクトを実現するための理想的な条件を備えている」と語った。
14 Oct 2025
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米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は9月30日、2024年のウラン市況年次報告書(Uranium Marketing Annual Report)を公表した。報告書によると、米国の民間原子力発電事業者によるウランの調達量と価格はともに上昇傾向にあり、価格は2012年以来の高値を記録した。海外依存は依然として高いが、国内供給の割合がやや回復している。2024年に米国の民間原子力発電事業者が購入したウランは、U₃O₈換算で5,590万ポンド(約2万5000トン)。前年の5,160万ポンド(約2万3000トン)から約8%増加した。平均購入価格は1ポンドあたり52.71ドル(約7,996円)と、前年の43.8ドル(約6,644円)から約20%上昇し、2012年以来の最高水準となった。ウランの最大の調達先はカナダで、全体の36%を占めている。次いでカザフスタン24%、オーストラリアが17%。2024年の総供給量に占める米国産の割合は8%で、前年の5%から増加した。依然として海外依存が高いものの、国内生産の回復傾向が見られる。ウラン燃料の製造過程で必要な濃縮役務については、全体の81%が海外起源だった。このうちロシアが20%を占め、304万SWUを供給。米国内の濃縮量(289万SWU)を上回り、ロシア依存が依然として続いている。2024年、米国の民間原子力発電事業者が結んだ新規ウラン購入契約は21件だった。実際に納入されたウラン量は300万ポンド(約1,361トン)で、加重平均価格は1ポンドあたり86.20ドル(約1万3,000円)に上った。2023年は契約数26件、納入量549万ポンド(約2,490トン)、平均価格61.93ドル(約9,400円)だったことから、価格が上昇傾向にあることがうかがえる。また、報告書では今後10年間に見込まれる潜在的なウラン需要も示されており、2025年から2034年までの最大総需要は約4億1,800万ポンド(約19万トン)に達すると推計している。
14 Oct 2025
565
米国の先進原子力エネルギー企業であるナノ・ニュークリア・エナジー(NANO Nuclear Energy)社は10月7日、イリノイ州商務省経済機会局(DCEO)と連携し、米イリノイ州に製造・研究開発施設を新設すると発表した。イリノイ州のクリーンエネルギー政策支援プログラムより680万ドル(約10億円)の支援を受け、総額1,200万ドル(約18億3,000万円)以上を投資する計画だ。同社は7月にシカゴ近郊に約2万3,500平方フィート(約2,200平方メートル)の実証施設とオフィスを取得している。新施設では約50人のフルタイム雇用が新たに創出される見通しで、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)と共同で進める小型モジュール炉「KRONOS MMR」の構築・実証・商業化に向けた拠点として機能する。また、原子力技術者をはじめ部品メーカー、研究者らの人材育成・技術支援にも活用される見込みとなっている。今回のプロジェクトは、イリノイ州が推進する「REVイリノイ法(Reimagining Energy and Vehicles in Illinois)」プログラムの一環。ナノ・ニュークリア・エナジー社は対象企業に選定されており、制度を通じて680万ドル(約10億円)の奨励金を受ける見込みとなっている。なお、REVイリノイ法は、電気自動車や再生可能エネルギーなど次世代クリーンエネルギー産業のサプライチェーン強化を目的としている。同社のジェームズ・ウォーカーCEOは、「本施設を活用して全米から優秀な人材を惹きつけ、目標達成に向けて全力を尽くしていきたい」とコメントした。また、イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は、「イリノイ州はクリーンエネルギー生産への投資企業にとって最適な州である。この重要な投資は、州民に新たな雇用を創出し、クリーンエネルギー産業における革新的な進歩を促進するだろう」と述べ、歓迎の意を示した。
10 Oct 2025
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カザフスタン原子力庁(KAEA)のA. サトカリエフ長官は10月1日、アルマティ州の2サイトで原子力発電所の建設が計画されていることを明らかにした。同長官によると、原子力産業の発展に関する省庁間委員会において、2番目の建設候補サイトが特定され、第1発電所と同じく、アルマティ州のジャンブール地区に決定されたという。同国南部に2サイトを設置し、電力不足に対応する方針。現在は国際南北連系線を介して同地域に電力が送電されているが、これにより、エネルギー供給の信頼性と安定性が生まれる、と記者会見で述べた。長官は、競争に参加するすべてのベンダー候補者との交渉が現在進行中であると述べる一方で、「最終決定ではないが、提出された提案に基づいて、我々は中国核工業集団公司(CNNC)を優先契約者と考えている」と語った。ロシアの国営原子力企業ロスアトムが建設プロジェクトを進める、同地区の第1発電所サイトでは今年8月、エンジニアリング調査が開始されている。K.-J. トカーエフ大統領は今年3月の国民会議における演説で3サイトでの原子力発電所の建設について言及。先のベンダー選定作業における潜在的な候補には、露ロスアトム、CNNC、フランス電力(EDF)、韓国水力・原子力(KHNP)が含まれており、KAEAはロスアトムの提案の採用に次いで、CNNCの提案を2番手とした。サトカリエフ長官は、「中国は間違いなく必要な技術をすべて備えており、完全な産業基盤を持っているため、次の優先事項は中国との協力だ」と述べ、中国側との交渉が行われることを強調。カザフスタンのR. スクリャル第一副首相は今年7月末の合同記者会見で、第2および第3発電所のサイト候補を評価中であり、今年後半にも評価結果が明らかになるとし、CNNCが第2発電所に続き、第3発電所も建設するだろうと述べている。
10 Oct 2025
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米国の新興企業ディープ・フィッション(Deep Fission)社は9月18日、自社が開発する小型モジュール炉(SMR)を地下1マイル(約1.6km)、幅30インチ(約76cm)のボーリング孔に設置する最初の3サイトとして、テキサス州、ユタ州、カンザス州を選定。共同開発プロジェクトを推進するために各拠点のパートナーと基本合意書(LOI)を締結したことを明らかにした。ディープ・フィッション社の開発する原子炉「DFBR-1」(PWR、1.5万kWe)は、原子力、石油・ガス、地熱分野での実証をベースに設計。発生した熱は地下深部にある蒸気発生器に伝わり水を沸騰させ、非放射性の蒸気が急速に地表に上昇、そこで標準的な蒸気タービンを回して発電する。検査が必要と判断された場合、原子炉に取り付けられたケーブルにより、原子炉を地表に持ち上げることが可能。モジュール設計により、出力を最大150万kWeまで拡張可能で、産業現場、データセンター、遠隔送電網、成長する商業ハブ全体を対象に柔軟に展開できるという。また既製部品と低濃縮ウラン(LEU)を利用し、サプライチェーンの合理化を追及。原子炉は地下1マイルに設置され、地下深部の地質が自然封じ込めの役目を果たす、革新的な立地アプローチにより、安全性とセキュリティを強化、地表フットプリントを最小限に抑え、コストの削減をねらう。同社のコストモデルでは、オーバーナイトコスト(金利負担を含まない建設費)の比較で、従来の原子力技術の70~80%減となり、発電コスト(LCOE)はkWhあたり5~7セントと見込んでいる。2026年にはライセンスを申請予定。2028年には取得し、想定6か月の建設期間を経て、2029年秋には営業運転の開始を予定している。ディープ・フィッション社は今年8月、米エネルギー省(DOE)の先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象に選定され、DFBR-1の2026年7月4日(独立記念日)までの臨界達成を目指している。なお同社は、現CEOのエリザベス・ミュラー氏とリチャード・ミュラー氏の父娘が共同で2023年に設立。E. ミュラーCEOは以前、深部ボアホール放射性廃棄物処理事業を手掛けるディープ・アイソレーション(Deep Isolation)社の共同創設者兼元CEOを務めていた。ディープ・フィッション社はディープ・アイソレーション社と今年4月、先進的な地下原子炉の使用済み燃料と放射性廃棄物の管理で協力するための覚書(MOU)を締結。ディープ・アイソレーション社が特許取得済みの地下処分技術の使用許諾などについて検討する。両社は、ディープ・アイソレーション社の革新的な深部ボアホール処分技術をディープ・フィッション社の最先端の原子炉技術と統合し、顧客に長期的に実用的かつ拡張性のある廃棄物ソリューションを提供したい考え。ミュラーCEOは、「深地層処分は世界的に好まれるアプローチで、海外諸国は地下処分場の計画を進めているが、米国はこの方向でさらなる進展を図る」と指摘。ディープ・アイソレーション社のR. バルツァーCEOは、「新たな原子力技術が登場する中、廃棄物処理に対する先見的なアプローチが不可欠。原子力発電設備容量は2050年までに3億kWe以上増加すると予測されているが、過去70年間に発生した使用済み燃料を未だ永久処分していない。信頼性が高く恒久的な放射性廃棄物の処分方法の確立は、業界の長期的な成功に必要」と強調し、放射性廃棄物を地下深くに安全かつ永久に処分する深部ボアホール技術がソリューションとなるとの考えを示した。
10 Oct 2025
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米GEベルノバと日立製作所の共同出資会社である米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)と、韓国の建設大手サムスンC&T社(サムスン物産)は10月7日、北米を除くグローバル市場での「BWRX-300」(BWR、出力30万kWe)の導入推進に向けた戦略的提携を発表した。GVHによると、両社は小型モジュール炉(SMR)であるBWRX-300のサプライチェーンの構築や、プロジェクト実施に向けたソリューションなどの共同開発に取り組む。GVHは今年4月、カナダ・オンタリオ州のダーリントン原子力発電所でBWRX-300初号機についてカナダ原子力安全委員会(CNSC)から建設許可を取得しており、2030年末までの運転開始を目指している。一方、サムスンC&T社も今年4月、エストニアの新興エネルギー企業フェルミ・エネルギア社とSMR導入で提携し、同国でのSMR2基の配備に協力するなど、欧州での小型原子炉導入事業を加速させている。GVHの電力部門CEO、M.ジンゴーニ氏は、「当社はカナダでBWRX-300の初号機を建設中であり、SMR産業の展開と規模拡大をリードする立場にある」と述べた。サムスンC&T社の原子力分野とインフラ建設プロジェクトにおける豊富なプロジェクト実施経験を活かし、両社はSMR産業分野での世界的な地位確立を目指すという。両社はスウェーデンで計画されている5基のBWRX-300導入計画についても協力することになっている。
09 Oct 2025
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