
米テラパワー社は5月19日、同社が開発するNatrium炉および併設するエネルギー貯蔵プラントの迅速な商用化と展開に向けて、韓国のHD現代ならびにHD現代建設(HDEC)と契約を締結した。HD現代との供給枠組み契約では、その傘下にあるHD現代重工業(HHI)をNatrium炉の原子炉格納構造物(Reactor Enclosure System, RES)の優先製造者に指定。大規模製造能力や精密加工技術を有するHHIを戦略的製造パートナーとし、将来のNatrium炉の量産に対応できる供給体制を構築したい考え。また、HD現代に加え、国内外で大型炉の豊富な建設実績を有するHDECを含む3者間契約を締結し、Natrium炉の複数炉展開、製造、サプライチェーン、建設、事業スキームの構築までを含む包括的な協力を進める方針。部品供給だけではなく、複数炉のフリート展開や資金調達の仕組みづくりまで視野に入れている。HD現代は2022年の3,000万ドルの投資を皮切りに、Natrium炉の技術開発に共同で関与し、米ワイオミング州でテラパワー社が建設中のケンメラー発電所初号機の原子炉容器の製造やサプライチェーンの拡大に取組むなど、協力を強化している。テラパワー社は、米国の先進技術と韓国の製造・建設能力を結び付けることで、先進炉の本格展開へ向けた新たな段階に入る、と期待感を表明。HD現代も、今回の提携を世界の原子力市場への本格参入に向けた重要な足掛かりと位置付け、原子炉機器の安定供給と量産体制の確立を目指す考えを示した。Natrium炉は34.5万kWeのナトリウム冷却高速炉。熔融塩蓄熱システムを併設し、通常時は安定した出力を維持しながら、需要のピーク時には迅速に50.0万kWeまで増強できる。ケンメラー発電所の初号機は2030年に完成予定。2026年1月にはIT大手のMeta社と、2035年までに最大8基の導入に向けた開発支援契約を締結。また2026年2月には、英国における包括的設計審査(GDA)が開始されており、海外展開も進みつつある。今回の提携により、テラパワー社は米国で建設中の初号機を起点に、韓国企業の製造・建設能力を活用しながら将来的なフリート展開を見据えた供給体制の構築を進める考えだ。
04 Jun 2026
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国際エネルギー機関(IEA)は5月28日公表の「世界エネルギー投資2026(World Energy Investment)」で、世界の原子力投資額が2025年に続き2026年も800億ドルを超えるとの見通しを示した。AIの普及による電力需要の増加やエネルギー安全保障への関心の高まりを背景に、各国で原子力開発を支援する政策が広がっており、IEAは原子力投資の拡大基調が続くと分析している。IEAのF.ビロル事務局長は、現在の状況について「世界はこれまで経験した中で最大級のエネルギー安全保障上の危機に直面しており、世界の投資戦略を根本的に変える可能性がある」と指摘した。そのうえで、1970年代の石油危機後に見られたようなエネルギー投資構造の大きな転換が再び起こり得る、との見方を示している。2026年の世界のエネルギー投資額は3.4兆ドルのうち、約3分の2に当たる2.2兆ドルが送電網や蓄電池、低排出燃料、原子力、再エネ、省エネ、電化などのクリーンエネルギー関連分野に向かう。一方、石油・天然ガス・石炭への投資は約1.2兆ドルにとどまる見込みである。再エネへの投資額は、2026年に約6,650億ドルに達すると見込まれており、このうち太陽光発電向けが約3,650億ドルを占める。再エネ投資の伸びは、ここ数年の急拡大を経て鈍化しているものの、世界の発電分野への投資全体に占める低排出電源の割合は、依然として7割を超えている。原子力投資額は2025年に続き、2026年も800億ドルを超える見通しだ。現在、15か国で計7,800万kWが建設中であり、中国が世界の原子力投資の約3分の1を占める。IEAは、1970年代のエネルギー危機後と同様、現在の供給不安が小型モジュール炉(SMR)など、多様な原子力技術への投資拡大を後押しする可能性があると指摘。既に40か国以上が原子力導入を支援する政策を整備しており、原子力に対する評価が世界的に見直されつつあるという。IEAは報告書で、原子力投資拡大を後押しする各国・地域の政策や事業の動向についても紹介している。米国では、データセンターや人工知能(AI)による電力需要増加を背景に、テクノロジー企業による原子力開発への関心が高まっている。IEAによると、構想段階のものも含めると、新たな原子力発電設備容量は5,000万kW超に達するという。米政府も、資金面や規制面で大型炉やSMR開発への支援を進めている。一方、各炉型の規制面での進展度には差があり、米原子力規制委員会(NRC)の承認を取得しているSMRは米企業1社にとどまる。設計認証を受けた炉型も限られ、多くの契約が法的拘束力を伴わないことから、計画実現にはなお不確実性が残ると指摘している。欧州でも投資促進策が進展している。欧州委員会(EC)は最新の「原子力実証プログラム(PINC)」で、大型炉新設や既設炉改修に2050年までに累計2,410億ユーロの投資が必要と試算したほか、SMR開発向けに2億ユーロ規模の保証基金創設を発表した。英国ではロールス・ロイスSMR社の初号機建設、フランスでは総事業費730億ユーロとされるEPR2×6基の建設計画が、ともに政府支援の下で進められている。こうした動きは中国や日本、新興国にも広がっている。中国は毎年約10基の新規建設を承認しており、第15次五か年計画では2030年までに原子力発電設備容量を1億1,000万kWへ拡大する方針を掲げ、輸出も視野に入れている。日本でも原子炉の再稼働が進展しているほか、新設に向けた資金調達や投資回収などの事業環境整備の検討が進められている。さらに、これまで原子力融資に慎重だった世界銀行グループやアジア開発銀行(ADB)も方針を見直し、原子力導入検討国への支援に向けた取組みを開始した。IEAは原子力投資の拡大基調は続くとの見方を示す一方、新設炉やSMR初号機では依然として建設リスクが大きく、各国による制度支援が成否を左右すると指摘している。
04 Jun 2026
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スウェーデンの原子力技術サービス企業スタズビック(Studsvik)社は5月25日、同国南部ニショーピング(Nyköping)の自社原子力サイトおよび周辺地域に、合計出力60万~140万kWe規模の原子力発電所を建設する計画を政府に申請した。2030年代の初号機運転開始を目指す。同国では電力需要の増加や既設原子力発電所の老朽化を背景に、新規原子力建設に向けた動きが活発化しており、SMRを中心とした複数の計画が進展している。今回の申請についてスタズビック社は、長期にわたる許認可プロセスの第一段階に過ぎないと強調。今後は土地・環境裁判所やスウェーデン放射線安全局(SSM)による審査に加え、自治体の承認も必要となる。同社は今年5月、SMR開発企業シャーンフル・ネキスト(Kärnfull Next, KNXT)社の買収を完了しており、今回の計画は同社グループが進める「ReFirmプログラム」の一環に位置付けられる。3月にはKNXT社が南部ヴァルデマルスヴィークで30万kW級SMRを4~6基建設する計画を申請しており、スタズビック・グループとしては2件目の新規建設申請となった。スウェーデンでは、鉄鋼や化学産業の電化に加え、データセンター需要の増加により電力需要の拡大が見込まれている。一方、現在の電力供給を支える既設原子力発電所の多くは今世紀半ばに運転寿命を迎えるとされ、新たなベースロード電源の確保が課題となっている。こうした状況を受け、同国政府は5月、新規原子力発電設備約500万kWの建設を支援するため、総額2,200億スウェーデンクローナ(約3.8兆円)規模の融資制度とCfD(差金決済取引)制度を導入した。また、国営電力会社バッテンフォール(Vattenfall)が進めるSMR計画や、先進炉開発企業ブリカラ(Blykalla)による鉛冷却高速炉「SEALER」の建設計画なども申請段階に入っており、スウェーデンでは新規原子力建設に向けた動きが加速している。
03 Jun 2026
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米国では近年、電力需要の増加や脱炭素化の進展を背景に、原子力発電所の新設を制限してきた州レベルの「原子力モラトリアム(禁止・制限措置)」を見直す動きが広がっている。米エネルギー省(DOE)は5月19日、全米の原子力モラトリアムの現状を整理した資料を公表し、近年相次ぐ規制撤廃の動向を紹介した。米国では1970年代以降、使用済み燃料の最終処分問題などを理由に、16州が何らかの形で新規原子力開発を制限してきた。しかし近年は、AIの急速な普及にともなう電力需要の増加に加え、エネルギー安全保障や脱炭素化への対応を背景として、原子力を再評価する動きが強まっている。実際に2016年以降、ウィスコンシン州、ケンタッキー州、モンタナ州、ウェストバージニア州、イリノイ州、ニュージャージー州の6州がモラトリアムを撤廃した。このうちイリノイ州は2023年に30万kW以下の先進炉に限定して新設を認めた後、2026年1月には出力制限そのものを撤廃し、大型炉を含む新規建設を可能とした。また、ニュージャージー州も2026年4月、約50年間続いた新規原子力発電所建設禁止措置を解除している。一方で、カリフォルニア州、ハワイ州、メイン州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州の8州では現在も州全域を対象としたモラトリアムが維持されている。ただし、これらの州でも原子力への姿勢に変化がみられる。3月にはニューイングランド 6 州(コネティカット州、メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州、バーモント州)の知事らが共同声明を発表し、電力需要の増加への対応策として先進炉導入の可能性を共同で検討する方針を打ち出した。また、ニューヨーク州では州全域のモラトリアムは存在しないものの、一部地域に制限が残る一方で、ホークル知事が州営ニューヨーク電力公社(NYPA)に対し、州北部で少なくとも100万kW規模の先進炉建設を検討するよう指示している。さらに同州は今年1月、「Nuclear Reliability Backbone」構想を公表し、州内の新規原子力発電設備を500万kW規模まで拡大する方針を示した。DOEは、全米で電力需要の拡大が見込まれる中、先進的原子炉実証プログラム(ARDP)や国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)などを通じて先進炉の実証・商業化を支援している。トランプ政権も原子力産業の拡大を掲げており、州レベルの規制見直しと合わせて、米国では新規原子力開発に向けた環境整備が進みつつある。
03 Jun 2026
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カザフスタン政府は5月22日、原子力発電所建設プロジェクトの実施に向けた国内産業基盤の構築を目的とした「2026~2030年原子力産業向け現地化(ローカライゼーション)総合計画」を発表した。同計画は5月14日付で承認されており、カザフスタン原子力庁(KAEA)が、有限責任会社カザフスタン原子力発電所(KNPP)、関係省庁および全国企業家会議所と共同で策定した。カザフスタンでは必要な資材や設備を生産する国内企業の数が限られ、生産工程の一部が国際的な安全・品質基準を満たしていないこと、有資格者の不足、原子力産業における経験不足、品質管理システムの整備が不十分など、現地化の進展を阻害する要因がある。総合計画は、国際的な安全基準および品質基準を考慮し、国内企業が原子力関連プロジェクトに参加できるよう段階的に準備を進めることを目的としている。特に、必要な法規制基盤の整備に加え、原子力産業のニーズと供給能力の分析、既存設備の近代化と新規生産拠点の開発、デジタルシステムの導入を強化していく方針である。具体的には、原子力発電所建設プロジェクトの品質、安全性、および透明性を確保するため、製品・工事・サービス供給業者の登録制度(サプライヤー登録簿)の導入を予定し、登録がプロジェクト参加の必須条件となる。これにより、資格と信頼性を備えた企業の事前選定、中小企業を含む国内メーカーの支援、手続きの公開性および参加企業の継続的モニタリングによる汚職リスクの低減が可能になると期待されている。カザフスタンで今年4月に制定された原子力産業の国家戦略によると、2050年までに少なくとも3サイトで原子力発電所の稼働を想定。小型モジュール炉(SMR)の導入に加え、第4サイトの検討も行うとしている。こうした原子力開発の拡大を見据え、政府は現在20~22%とされる現地調達率を、初号機建設完了までに30%へ引き上げたい考えである。総合計画の実施により、原子力産業向けの持続可能な生産エコシステムの構築、産業分野への投資誘致、新たな製品分野の開拓、国内の大規模インフラ事業への国内企業の参画拡大の実現を見込んでいる。同国初の原子力発電所となるバルハシ発電所は、ロシア国営原子力企業ロスアトムの協力により、アルマティ州のジャンブール地区、バルハシ湖近くのウルケン村にVVER-1200(PWR、120万kWe)×2基の建設が予定されている。2025年8月から、建設予定地でエンジニアリング調査が実施されている。KAEAのA. サトカリエフ長官は5月15日、モスクワでロスアトムのA. リハチョフ総裁とバルハシ発電所の建設プロジェクトを含む、原子力産業の発展に関する幅広い協力事項について協議した。原子力分野の人材育成、科学技術協力の発展、生産の現地化(ローカライゼーション)、ならびに原子力関連プロジェクトへのカザフスタン企業の参画についても重点的に討議。リハチョフ総裁によると、進行中の地質・工学的、自然・気候条件の調査については90%以上が完了しており、その結果に基づき、あらゆる安全要件を考慮したうえで、原子力発電所の正確な設置場所を決定することとしている。これに続く5月28日には、V. プーチン露大統領によるカザフスタン訪問を機に、両国大統領の立会いの下、バルハシ発電所の建設に関する政府間協定が締結された。この文書では発電所運転に係わる保守点検や燃料供給などの協力分野について定めている。
02 Jun 2026
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米NANOニュークリア社は5月20日、同社製マイクロ炉「KRONOS MMR」について、米原子力規制委員会(NRC)が建設許可申請(CPA)を受理したことを明らかにした。建設サイトは、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校。イリノイ大学は今年3月末、KRONOS MMRを研究炉として導入するためにNRCにCPAを提出。今回の受理により、CPAに安全審査、環境審査、および技術審査を開始するために必要な情報が含まれていることが確認され、NRCによる本格的な審査段階へ移行する。NANO社は審査が2027年中に完了し、早ければ、2027年後半に建設を開始する見通しを示している。また同社はKRONOS MMRがNRCの正式な認可手続きにおいて、CPA段階へ到達した初のマイクロ炉であるとの認識を示している。同社のF. エイデ最高技術責任者(CTO)は、「NRCによるCPA受理は、長年の技術開発、規制当局との協議などの膨大な作業の成果。実用化へ向けて着実に前進している先進炉開発企業と、まだ初期開発段階にある企業との差別化要因になる」と強調。NANO社は規制手続きを進める一方で、サプライチェーン企業との連携強化、主要原子炉システムおよび長納期部品の調達協議など、将来の導入準備に向けた活動を進めていく計画である。イリノイ州オークブルックに新設した技術開発施設では、小型・非原子力型KRONOS MMR実証機の開発にも注力し、設計の改良と技術検証を継続的に進めているという。イリノイ大学グレンジャー工科大学のC. ブルックス原子力・プラズマ・放射線工学教授は、「大学がイノベーションの加速、次世代の原子力技術者の育成、エネルギーや国家的重要課題の解決に貢献できる技術実証において重要な役割を担っていくと考えている」と述べた。KRONOS MMRは、熱出力4.5万kW、電気出力1.5万kW。HALEU(高純度低濃縮ウラン)利用のTRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料とヘリウム冷却の第4世代小型モジュール式の高温ガス炉である。データセンター、産業施設、遠隔地コミュニティ、鉱山開発プロジェクト、軍事基地などに電力供給を行うほか、多様な産業用途向けのプロセス熱供給にも対応する。
02 Jun 2026
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韓国水力・原子力(KHNP)は5月29日、新ハヌル4号機(改良型PWR「APR1400」, 140.0万kWe)の原子炉建屋基礎への初コンクリート打設を開始、着工した。新ハヌル3-4号機(旧名称: 新蔚珍3-4号機)は、2024年9月には規制当局である韓国原子力安全委員会(NSSC)から建設許可を取得し、サイトの土木工事を開始。2025年5月には、新ハヌル3号機が着工した。KHNPは2032年に新ハヌル3号機、2033年に同4号機の完成を目指している。両機は、慶尚北道地域の年間電力需要の約46%を供給すると見込まれている。新ハヌル3-4号機は、すでに運転中のセウル1-2号機(旧名称:新古里3-4号機)、新ハヌル1-2号機(旧名称:新蔚珍1-2号機)および建設中のセウル3-4号機(旧名称:新古里5-6号機)を含めると、韓国国内における7、8基目のAPR1400。海外では、韓国が初めて海外に輸出したアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所で同炉(計4基)が採用され、全基が運転中である。
01 Jun 2026
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英会計検査院(NAO)は5月20日、イングランド東部のサフォーク州で建設準備作業が進む、サイズウェルC原子力発電所(SZC)に関する報告書を公表した。SZCの資金調達・事業実施モデルについて、投資家のリスク負担が限定される一方、納税者と消費者がより多くのリスクを負う可能性があるとして、政府に厳格な監視を求めた。SZCプロジェクトは、既存のサイズウェルB原子力発電所サイトに欧州加圧水型炉(EPR-1750、各172万kWe)を2基建設する計画。現在、サマセット州で建設中のヒンクリーポイントC(HPC)のEPR×2基のレプリカ版であり、HPCプロジェクトで得られた知見や教訓を活用し、建設遅延やコスト超過のリスク低減を目指している。SZCプロジェクトは、2022年7月に開発合意書(DCO)、2023年3月に環境許可、2024年5月にはサイト許可がそれぞれ発給されており、英エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)は2025年7月、最終投資決定(FID)を行った。英政府(44.9%)のほか、フランス電力(EDF, 12.5%)、カナダ・ケベック州の公的年金投資機関のラ・ケス(20%)、英エネルギー企業のセントリカ(15%)、英インフラ資産運用会社のアンバー・インフラストラクチャー(初期出資7.6%。後にDESNZから2.4%追加オプションあり)が出資する。SZCプロジェクトは、公共投資と民間資本の両方を使用する規制資産ベース(RAB)モデル((規制資産ベース(RAB)のコスト回収スキーム。個別の投資プロジェクトに対し、総括原価方式による料金設定を通じて建設工事の初期段階から、需要家(消費者)から費用(投資)を回収する。これにより投資家のリスクを軽減でき、資本コスト、ひいては総費用を抑制することが可能になる。))を適用。建設期間中から需要家(消費者)がコストの一部を電気料金に上乗せされる仕組みで、HPCに適用された差金決済取引(CfD)とは異なる。CfDでは、開発者が建設費を負担し、発電開始後にあらかじめ定められた価格で収益を得る。SZCプロジェクトの建設コストの見込額は382億ポンド(2024年価格ベース)と予測されており、2039年夏までに建設完了を予定。完成後は、60年間にわたり英国の600万戸分相当の電力供給が可能とされている。DESNZは、ネットゼロ達成のための他の電源と比べて電力システム全体のコストを下げられると主張している。一方、NAOは、同型炉で遅延やコスト超過なしに完成した例はまだないと指摘。HPCでは工期が7年遅れ、建設費も当初見込みの約2倍に膨らんでいることから、SZCにも重大な実施リスクが残るとした。DESNZの試算では、SZC運用期間中に消費者に最大180億ポンドの純利益をもたらす可能性がある。ただしNAOは、少なくとも2064年以降にならないと発生しないと指摘。将来的には、他の代替のネットゼロ技術がより安価または優れている可能性もあり、SZCのコスト低減効果には大きな不確実性があるとした。消費者は2025年11月からRABモデルのもとで電気料金を通じて建設費用の前払いを始めている。2025~26年度には1世帯あたりの負担増は年間約4ポンドとなり、2039年の完成予定までに年間17〜19ポンドに上昇する見通し。NAOはまた、政府がSZCに資金の大部分を提供しているにもかかわらず、44.9%の少数株主にとどまり、プロジェクトへの管理権を意図的に限定している点にも着目した。DESNZは同プロジェクトが完全に政府管理下に置かれた場合、建設コストは規制の上限シナリオ(477億ポンド)に達し、民間投資家の関与により建設コストの削減と納期の迅速化が可能になると説明する。しかしNAOは、民間投資家の期待利回りが年10.8~13%程度とされ、投資家の財務リターンが消費者に40~45億ポンドの負担をもたらすと指摘。投資家がその負担に見合うだけのコスト削減や工程短縮を実現できるかは不透明だとした。建設費が規制上限に近づいた場合でも、投資家は他の公益事業投資と同程度のリターンを得られる可能性があり、コスト抑制へのインセンティブがDESNZの想定どおりに働くかは明確でないとしている。さらにNAOは、SZCの建設コストはHPCより安く抑えられるはずだが、HPCの電力価格はコスト超過(EDFが負担)前に設定されており、借入コストもそれ以降上昇しているため、消費者はより多くの電力料金を支払う可能性が高いと指摘した。NAOのG. デービス長官は、SZCについて「安全で手頃なクリーン電力供給に向けた政府計画の重要な一部」と位置づけた上で、過去の原子力建設プロジェクトや大規模インフラ事業の教訓を踏まえた新たな資金調達構造であるからこそ、DESNZは納税者と電気料金負担者のリスクを厳格に監視する必要があると述べた。
01 Jun 2026
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米ホルテック・インターナショナル社とルワンダ原子力委員会(RAEB)は5月19日、ルワンダの首都キガリにおいて、ホルテック社製小型モジュール炉のSMR-300(PWR, 30万kWe)の導入に向けた共同開発協定を締結した。ルワンダがエネルギーミックスの多様化やインフラ強化、信頼性の高い電力供給を目指す中、両者は本協定に基づき、建設サイトの調査、資金調達計画の策定を進める。ホルテック社が先進的な技術とノウハウを提供する一方、RAEBは現地での開発や地域社会との連携を主導する。同協定は、ルワンダ政府主催の「原子力エネルギー・イノベーション・サミット」(NEISA2026)で署名された。同サミットは、2025年にキガリで開催された第1回サミットに続く2回目の開催となる。署名したホルテック・ヨーロッパ社のR. マリン代表は、「ルワンダに最大で計約500万kWeのSMR-300の導入を計画する。ルワンダが、長期的に経済成長の原動力となる原子力発電へのエネルギー移行を実現し、アフリカにおいてSMR導入の先駆者となることを支援していく」と語った。また同サミットでルワンダは、米国と民生用原子力協力に関する覚書に署名した。米J. ヘルバーグ国務次官(経済担当)は、「米国はホルテック社とRAEBと協力してこの革新的なSMRプロジェクトを実現し、エネルギー安全保障と経済開発の目標を達成しようとする国々を支援し続けていく」と語った。ホルテック社のR. スプリングマン社長は、「SMR-300の導入に際し、EPC(韓ヒュンダイE&Cとの提携による)、使用済み燃料管理、運転支援、廃止措置を含む統合的な供給モデルは、ルワンダにおける包括的な商用原子力プログラムの加速に不可欠」と強調した。ルワンダはエネルギーミックスの60〜70%を原子力発電で供給することを目指しており、SMR初号機を2030年代初めに稼働させる計画である。SMR-300は、2基構成のツインユニットで、所要面積はわずか0.15㎢。事故時に運転員が現場を離れても安全性が保たれる特性(walk-away safe)を持つ。ホルテック社は米ミシガン州パリセード原子力発電所に2基のSMR-300をパイオニア1および2の名称で展開する計画。2025年12月、パイオニア発電所の建設許可申請(CPA)の第一部を米原子力規制委員会(NRC)に提出している。
29 May 2026
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米原子力規制委員会(NRC)は5月18日、ダウ・ケミカル社がテキサス州メキシコ湾沿いにあるシードリフト・サイトにおいて建設を計画するロング・モット(Long Mott)発電所の環境アセスメントを予定より前倒しで完了し、「重大な影響なし(FONSI)」と判断したことを明らかにした。米国の大手化学メーカーであるダウ社とX-エナジー社は2025年3月末、X-エナジー社製SMRの高温ガス炉(HTGR)「Xe-100」(電気出力8万kW)を採用したロング・モット発電所の建設許可をNRCに申請した。シードリフト・サイトで、運転期間満了間近の既存の発電・蒸気設備をリプレースし、化学製品の生産に必要な電力・産業用蒸気を供給する。申請書には、1年間の現地調査や地下水モニタリング(水質測定を含む)、複数の州機関との連携による1,000ページ以上の環境報告書が含まれていた。Xe-100 は、米エネルギー省(DOE) の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)で支援対象に選定された2設計の一つ。5~7年以内の実証運転開始を目指している。NRCは、既存の工業地帯における本プロジェクトの環境への影響が限定的であることから、より詳細な環境影響評価(EIS)ではなく、環境アセスメント(EA)が適切と判断した。環境アセスメントは2025年6月10日に開始され、1年未満で完了した。このアプローチにより、厳格な環境基準を維持しつつ、審査期間の短縮につながった。NRCは、「NRC改革に関する大統領令」で定められた18か月の期限に沿い、今年後半に建設許可申請の安全性審査を完了する見込み。その後、許可に関する最終決定となる。運転認可については別途申請を行う必要がある。
27 May 2026
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ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は5月16日、ロスアトムがイランで建設中のブシェール原子力発電所2号機(VVER-1000, 105.7万kWe)の建設作業が再開されたことを明らかにした。ロスアトムは、ブシェールの建設事業は優先事項としながらも、イラン戦争が続く中、作業を中断し、ロシア人スタッフの多くを段階的にイランから退避させていた。現在、現地に残る少数のスタッフ約20名がイラン側との対話を進めており、技術コンサルティング支援もリモートで展開中。イラン側請負業者の作業員約2,200人がすでに建設現場に戻ってきており、2号機の補強とコンクリート施工を中心に作業が再開された。イラン人作業員の数は増え続けているという。リハチョフ総裁によると、2号機の原子炉の完成度はすでに60%以上、蒸気発生器なども50%完成しており、2027年から主要機器の出荷を開始する予定。3号機(VVER-1000採用)の設備用金属部材が鋳造および鍛造中であるという。ブシェール1号機(VVER-1000, 100.0万kWe)は、原子力発電開発会社(NPPD)が2013年9月に営業運転を開始。ロスアトムによると、同機は100%出力で運転を続けているという。同2号機もVVER-1000を採用し、2019年11月に着工した。2024年9月の国際原子力機関(IAEA)通常総会において、イラン原子力庁(AEOI)は2号機を2029年に稼働する目標を示し、2040年までに計2,000万kWeの原子力発電設備容量を達成する意向を表明している。2025年9月、ロスアトムとAEOIはイランにおける小型モジュール炉(SMR)建設に関する協力に関する覚書を締結した。さらにAEOIは、同国南部のホルムズガーン州にロシア製大型炉4基を採用した原子力発電所を新たに建設する計画を明らかにしている。
27 May 2026
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スウェーデンの先進炉開発企業であるブリカラ(Blykalla)社は5月18日、首都ストックホルムの北約200kmに位置するノルスンデット(Norrsundet)に、同国初となる先進炉を採用した商用発電所を建設するため、スウェーデン政府に申請書を提出した。同社製鉛冷却の先進モジュール炉(AMR)「SEALER(5.5万kWe)」を6基、合計33.0万kWeを設置する計画だ。ブリカラ社は、イェヴレ市(Gävle)にある産業遺産の地であるノルスンデットを建設地として選定。既存の港湾、重要なインフラを活用し、地域の電力不足への対応も視野に入れている。計画は、土地・環境裁判所やスウェーデン放射線安全局(SSM)などによる審査を経るほか、イェヴレ市の承認も必要となる。SEALERはブリカラ社が開発を進める鉛冷却高速炉。小型のモジュール設計を採用し、出力拡張にも対応する。同社は、独自開発したアルミニウム添加鋼材により、液体鉛環境下での耐腐食性を向上させたとしている。鉛冷却方式については、高い冷却性能や柔軟な立地対応が可能で、産業施設との併設にも適すると説明している。ブリカラ社は、米先進炉開発企業オクロ社とも協力関係にあり、米国市場での展開も視野に入れている。両社は中性子解析や熱水力解析などで連携している。
26 May 2026
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米原子力規制委員会(NRC)のH. ニー委員長ほか委員4名は5月13日、上院環境・公共事業(EPW)委員会の公聴会に出席し、規制改革や2027会計年度予算案について説明した。先進的な原子力展開の加速化法(ADVANCE法)や大統領令を背景に進められている許認可審査の効率化や組織改革の成果が示される一方、委員や民主党議員からは、人員減少や独立性低下による安全性への影響を懸念する声も上がった。ニー委員長は許認可審査の効率化により、H.B.ロビンソン原子力発電所の運転認可更新を12か月未満で完了したほか、テラパワー社のSMR「Natrium」炉の建設許可を予定より数か月前倒しで発給したと説明。2年前と比べ、許認可業務や原子炉監督活動に要する時間・コストを大幅に削減したと述べた。一方で、改革の加速に対する懸念も示された。B.クロウェル委員は、過去16か月で510人が離職した一方、新規採用は59人にとどまっていると指摘。短期間での改革推進により、スタッフへの負担増加や専門人材流出が進み、安全性や国民からの信頼に影響を及ぼす可能性があると警告した。2027年度予算案については、S. カピトEPW委員長ならびにニー委員長は、規制合理化や組織再編によるコスト削減の成果を反映したものだと説明。一方、クロウェル委員は、今後増加が見込まれる先進炉審査への対応力低下を懸念した。
25 May 2026
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西欧原子力規制者協会(WENRA)は5月13日、原子力推進を利用する商船について、各国で一貫した安全審査を可能にする国際的な規制枠組みが必要だとする声明を発表した。国際海事機関(IMO)が「原子力商船の安全コード(Code of Safety for Nuclear Merchant Ships)」の改定に着手する方針を示したことを歓迎しつつ、国際原子力機関(IAEA)との緊密な連携を求めた。同コードは1981年に策定されたもので、当時の主流であった加圧水型炉(PWR)を前提としている。その後、気候変動対策への関心の高まりや、小型モジュール炉(SMR)、高温ガス炉、熔融塩炉など先進炉の開発が進展したことから、現行コードでは新技術への対応が十分ではないとの指摘が出ている。IMOは2025年6月、同コードが時代遅れとなっており、先進的な原子力技術の船舶利用に向けた障害となっているとして、改定を進めることで合意している。一方、IAEAは、商船や浮体式原子力発電所など海上での民生用原子力技術の安全・セキュリティ・保障措置に関する枠組みづくりを目的とした「ATLAS(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea)」プロジェクトを立ち上げる予定。WENRAは、IMOによるコード改定とIAEAのATLASの整合性は不可欠とし、改定後のコードを最新のIAEA安全基準に沿ったものとするよう求めている。WENRAは、海上での原子力利用には、陸上の原子力施設とは異なるリスクが伴うと指摘。特に、開発中の炉型には技術成熟度に差があることから、原子炉設計、安全解析、事業者の能力が十分に成熟していることが確認されない限り、海上利用を認可すべきではないとの考えを示した。そして、商船は国境を越えて運航されるため、各国ごとにばらつきのある規制ではなく、国際的に調和した安全要件の整備が不可欠だとしている。そのうえでWENRAは、IMOに対し、IAEAと連携しながら安全目標を明確化し、各国当局が原子力推進船の航行認可を判断する際に活用できる、包括的で詳細な安全要件をコードに盛り込むよう促した。WENRA加盟国も、それぞれの専門分野でコード改定に協力していく方針を示している。
25 May 2026
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スイス連邦政府は5月13日、同国で運転中のゲスゲンおよびライプシュタット各原子力発電所について、最大80年間の長期運転が技術的に可能であり、大半のケースでは経済的にも成り立つとの報告書を採択した。連邦議会上院からの要請を受けて、連邦エネルギー庁(BFE)がとりまとめたもの。政府は現時点で、長期運転に対する財政支援は不要との見解も示した。報告書では、両発電所を80年まで運転する場合に必要となる技術的改修費について、発電所あたり約7億~12億スイスフラン(約1,414億~2,424億円)と試算。現実的な電力価格やコストを前提とすれば、経済的に採算が取れる可能性が高いと指摘。一方で、原子力発電所の早期閉鎖や安全基準の強化など、政治的・規制上の不確実性はリスク要因であり、安定した規制環境や専門人材の維持が重要と指摘している。また報告書は、既設原子力発電所の長期運転と再生可能エネルギーの拡大を組み合わせることで、冬季の電力輸入依存を低減し、供給安全性は大きく向上すると評価。再生可能エネルギーの拡大が十分に進まない場合には、原子力新設も将来の供給力確保の選択肢になりうるとしている。スイスでは現在、4基の原子炉が運転中。ゲスゲン発電所はPWR単機、出力106.0万kWe、1979年11月に営業運転を開始している。ライプシュタット発電所はBWR単機、出力128.5万kWe、1984年12月に営業運転を開始している。スイスでは、2011年の福島第一原子力発電所事故後、脱原子力の方針が示され、2018年施行の改正エネルギー法により原子炉の新設は禁止された。ただし、既設炉については、安全性が確保される限り運転継続が認められている。近年は、気候変動対策や電力需要の増加、冬季の供給不安を背景に、原子力をめぐる議論が再燃。政府は原子力発電所の新設禁止を原子力法から削除する改正法案を示しており、議会上院は今年3月にこれを可決、8月までに下院でも決議される見込み。
21 May 2026
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韓国では、米原子力関連企業との協力拡大の動きが相次いでいる。韓国水力・原子力(KHNP)は、米国の原子力発電運転会社であるサザン・ニュークリア社と覚書(MOU)を締結し、原子力エンジニアリング体制の強化に乗り出す。一方、小型モジュール炉(SMR)開発企業の米ニュースケール・パワー社は、米国の原子力セクターへの投資の可能性について、韓国政府との協議が進行中であることを明らかにした。KHNPは5月12日、韓国・慶州にあるKHNP本社にて、サザン・ニュークリア社と、原子力発電所の運転、設備の保守・点検、設備信頼性およびエンジニアリング全般にわたる協力体制の構築を目的とする覚書を締結した。両社は今後、技術交流プログラムの運営、ワークショップや良好事例の共有などを通じてパートナーシップを強化し、エンジニアリング能力の向上と運転パフォーマンスの改善を図る方針。KHNPのY. キム・エンジニアリング本部長は、「当社のエンジニアの視野を世界へと広げ、国内の技術体制を飛躍的に強化する契機になると期待している」とし、「今後も海外の運営会社や国際機関と緊密に協力し、韓国型エンジニアリング体制の完成に向けて尽力する」と述べた。一方、ニュースケール・パワー社は、5月7日に開催した2026年第1四半期の決算説明会で、今年3月に韓国国会で承認された米国に対する総額3,500億ドル規模の戦略的投資公約に言及。同社のJ. ホプキンスCEOは、同公約のうち2,000億ドルが、両国間の経済的結びつきの強化と関税の引き下げを目的に、小型モジュール炉(SMR)を含む原子力の新規建設、AI、半導体などの分野に充てられるとし、前週にワシントンD.C.で韓国政府と行った協議において確認されたと説明した。R. ハマディ最高財務責任者(CFO)は、韓国および日本の企業が出資者やサプライチェーンパートナーとなり、長きにわたり非常に強固な関係を築いてきたと補足し、プロジェクトにおいて出資面でも重要な役目を果たしうるとの考えを示した。
20 May 2026
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米運輸省海事局(MARAD)は5月7日、商業船舶へのSMR搭載の実用化に向け、産業界からの意見募集(8月5日締切)を正式に開始した。D. トランプ大統領令に基づく取り組みで、長年構想にとどまってきた船舶の原子力推進に関し、政策的な検討が本格化しつつある。今回公表した情報提供依頼(RFI)では、SMR技術の技術的・商業的な実用性を評価するとともに、商業化に向けた政府支援の方向性を検討する。意見募集の範囲は、船体・機関への統合設計から、責任・保険の法的枠組み、寄港受け入れ体制、人材確保・育成、規格の標準化まで広範にわたる。背景にあるのは、D. トランプ大統領が署名した「Unleashing American Energy」(2025年1月)と「Restoring America's Maritime Dominance」(2025年4月)の2つの大統領令だ。海事産業強化を目的とする大統領令を直接的な契機としつつ、エネルギー政策面での原子力推進方針とも連動する形で、政府として原子力船の実用化検討を進める構図が鮮明となっている。過去にも原子力船の建造・運航は試みられている。米「サバンナ号」、独「オットー・ハーン号」、日本の「むつ」などがあるが、商業的採算性や制度面、社会受容性などの課題から普及には至らなかった。SMRは従来の特注設計型原子炉と異なり、小型化とモジュール化により既存船型への搭載を現実的なコストで実現できる可能性があると期待されている。MARADは寄港間隔の延長、航続距離の拡大、GHG排出削減を原子力推進の利点として挙げる。S. M. カーメル海事局長官は「SMR導入の成功のためには、技術実証だけでなく、制度・インフラ・運用を含めた包括的な取り組みが必要」と述べた。近年、海運業界では脱炭素化とエネルギー安全保障への関心を背景に、英国・韓国でも船級協会や大手造船所を中心に原子力推進船を想定した整備制度や概念設計が進められている。国際的な動きも加速しており、MARADはRFI終了後、公開ワークショップや技術交流を通じ、課題の具体化を進める方針だ。
20 May 2026
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米国家核安全保障局(NNSA)は5月7日、日本の文部科学省、日本原子力研究開発機構(JAEA)と協力し、日本から米国へ1.7トンのHALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)を輸送したことを明らかにした。NNSA史上、最大規模の国際輸送であり、米政権による先進炉の推進とエネルギー安全保障の強化に資するとともに、核拡散防止においても大きな成果とされている。今回輸送されたHALEUは、JAEAにある「高速炉臨界実験装置(Fast Critical Assembly: FCA)」の廃止措置に伴い不要となったもの。テネシー州オークリッジにあるY-12国家安全保障複合施設で、民間利用できる形に再加工され、DOE原子力局のHALEU利用プログラムを通じて供給される。HALEU は多くの先進炉で利用が想定されており、高燃焼度化や長期運転サイクルなどを可能にすると期待されている。一部用途では、HEU 使用低減につながる可能性がある。NNSAは、今回の輸送が日米間の長年の核セキュリティと核不拡散協力の延長線上にある取り組みであるとの認識を示した。なお海上輸送にあたっては、英原子力廃止措置機関(NDA)傘下の原子力輸送を専門とするニュークリア・トランスポート・ソリューションズ(NTS)が支援している。NNSAのM. ナポリ防衛核不拡散担当副長官は、「この節目は、安全で独立したエネルギーの未来への進展を加速させ、核拡散防止へのコミットメントを再確認するもの。日本との連携により、次世代原子力を推進し、米国のエネルギー主導権を確固たるものにする」と語った。2025年5月に発令された大統領令「国家安全保障強化のための先進炉技術の導入」では、エネルギー省(DOE)長官に対し、DOEの管理下において民間セクターが使用する20トン以上のHALEUを容易に入手可能な燃料バンクに放出するよう指示。米国では、HALEU 供給の多くをロシアに依存してきた経緯があり、近年は国内サプライチェーン構築が重要課題となっている。
19 May 2026
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米コンサルティング大手のマッキンゼー社は5月4日、米国の原子燃料サプライチェーンの国内整備に関する報告書を公表した。米国が2050年までに原子力発電設備容量を現在の約1億kWから約4億kWへ拡大し、原子燃料供給網を全面的に国内で整備した場合、サプライチェーン全体で最大1,700億ドル(約25兆円)の投資が必要になると試算した。報告書では、連邦政府が掲げる2050年時点での原子力発電設備容量4億kW規模の実現を前提に、①採掘・精錬、②転換、③濃縮、④燃料製造、⑤再処理――の各工程について必要投資額を分析。100%国産化は、投資規模を試算するための仮定上のケースであり、実際の達成可能性を前提としたものではないとしている。投資額の内訳では、転換に300億~450億ドル(約4.4兆~6.5兆円)、濃縮に300億~400億ドル(約4.4兆~5.8兆円)を見込み、この2工程だけで全体の過半を占める。各工程では、供給力の不足や設備制約が課題となっている。採掘・精錬分野では、米国のウラン需要に占める国内鉱山からの供給は1%未満にすぎない。転換分野では、国内で稼働する施設はコンバーダイン社が運営するイリノイ州メトロポリスの1か所のみで、現在の国内需要の約半分を賄う能力にとどまっている。濃縮分野では、2023年時点で需要の27%をロシアからの供給に依存しており、米エネルギー省(DOE)は2026年1月、アメリカン・セントリフュージ・オペレーティング社、ゼネラル・マター社、オラノ社の3社に総額27億ドル(約4,000億円)を助成し、ウラン濃縮能力の拡充を支援している。ただ、報告書は、これらの計画が実現しても国内供給だけで需要を満たすことは難しく、海外への依存が当面続くとみている。燃料製造分野では、TRISO燃料や金属燃料など、先進炉向けの新たな燃料形態への対応が課題と指摘。高温ガス炉や溶融塩炉などの次世代炉が新設容量の20%を占めると仮定した場合、100億~200億ドル(約1.5兆~2.9兆円)の投資が必要になると試算している。また米国は、使用済み燃料を直接処分するワンススルー方式を採用しており、現在では商業用再処理は行っていない。再処理を導入すれば輸入依存の低減につながる可能性があるが、既存の使用済み燃料を含めた処理には200億~450億ドル(約2.9兆~6.5兆円)の投資が必要と見込まれる。報告書は、政策対応として許認可手続きの効率化、海外ウラン資産への投資、長期供給契約による需要確保、レーザー濃縮や再処理など次世代技術への研究開発投資などを提言した。また、各工程の整備には許認可や建設に長期間を要することから、早期の投資判断が重要になると指摘している。
19 May 2026
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ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は5月12日、インドネシアを訪問し、同国のS. プラボウォ大統領と原子力発電プロジェクトの開発、人材育成、原子力の非エネルギー分野への応用など、原子力の平和利用における両国間協力の有望な分野について協議した。リハチョフ総裁は、「現在、インドネシアは原子力開発において野心的な目標を掲げており、技術面だけでなく、同国における新産業の育成、国内人材の育成、新たな専門能力の創出、そして同国の技術力の強化に焦点を当てた長期的なパートナーシップの構築についても議論している」と指摘。ロスアトムがインドネシアに対し、大規模な原子力発電施設から小型モジュール炉(SMR)や浮揚型原子力発電までを含む、同国の国家原子力プログラム開発に向けた包括的なアプローチを提供する用意があると強調した。両者はまた、群島国家というインドネシアの地理的特性を踏まえ、原子力発電をいかに電力システムに組み込むかについて特に注意を払った。このほか、リハチョフ総裁は、エネルギー・鉱物資源相、国家研究・イノベーション庁(BRIN)および国営電力会社PT PLNの幹部らとの会談も実施した。今年は両国の原子力産業における二国間協力の基礎となる「原子力の平和利用に関する協力に関する政府間協定」締結から20周年という節目となる。同協定は2006年12月1日に署名されている。2025年5月にエネルギー・鉱物資源省が発表した「電力供給事業計画(RUPTL)2025-2034」では、発電設備容量を6,950万kWe増強し、そのうち4,260万kWe(約61%)を再生可能エネルギーでまかなう計画で、総出力50万kWeの2基の原子力発電プラントの建設を盛り込んでいる。
18 May 2026
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カナダのオンタリオ州政府は5月7日、独立電力系統運用者(Independent Electricity System Operator: IESO)に対し、ブルース・パワー社が進める「ブルースC原子力発電計画」について、初期開発費の分担および電気料金を通じた費用回収に関する契約を締結するよう指示した。初期開発作業には3億加ドル(約347億円)が見込まれ、2030年までに完了する予定。同契約によりIESOは、先住民、地域社会、建設業界、サプライヤーとの協議、労働力計画、建設前準備やサイト整備計画などの重要な事前開発活動の費用をブルース・パワー社と分担する。なお同作業は、現在進行中の連邦環境影響評価(IA)および加原子力安全委員会(CNSC)によるサイト準備許可(LTPS)の審査と並行して進められる。同プロジェクトはオンタリオ州にとって、30年以上ぶりとなる大規模原子力発電プロジェクト。ブルースC単体で最大480万kWe規模の増設が実現すれば、オンタリオ州の大規模電源になると期待されている。オンタリオ州のS. レッチェ・エネルギー・鉱業相は、同計画について「カナダ国内産業と雇用を支える重要プロジェクト」と強調。オンタリオ州の再工業化や安定電源確保につながるとの認識を示した。オンタリオ州では、2050年までに電力需要が最大90%増加すると見込まれており、州政府は停電や電力不足を防ぎ、電気料金を抑えるため、必要な発電設備容量の確保を急いでいる。ブルース・パワー社は、ヒューロン湖畔にある既存サイト内の932ヘクタールのスペースでブルースCの最大480万kWe規模の増設を計画している。同サイト内では、ブルースA(1~4号機)とブルースB(5~8号機)の各サイトで80万kWe級のCANDU炉が運転中。ブルースCプロジェクトは、60年以上にわたる原子力技術とイノベーション、熟練労働力、強固な国内サプライチェーンを基盤としている。現在、ブルース・パワー社の支出の95%はカナダ国内に留まっている。ブルースCは、既存インフラを活用することで、開発期間とコストの削減を図りつつ、オンタリオ州の原子力発電設備容量の拡大が期待されている。オンタリオ州では、ダーリントン発電所改修やSMR建設計画など、原子力関連プロジェクトが相次いで進められている。
18 May 2026
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仏フラマトム社は5月6日、米国ワシントン州で操業するリッチランドの施設で、LEU+(5%超の低濃縮ウラン燃料)の燃料製造を可能にするライセンス変更を米原子力規制委員会(NRC)が承認したことを明らかにした。2027年の製造開始を目指している。フラマトム社は同承認を、同社が取り組む米国の既存原子力発電フリート向けに先進燃料技術を導入するAFM(Advanced Fuel Management: 先進燃料管理)プログラム上、重要なマイルストンと位置付ける。フラマトム社は今回のNRC承認により、LEU+燃料を導入し、燃料交換サイクルを18か月から24か月へ延長し、燃料利用の最適化と廃棄物の削減を図りながら、運転効率を向上させることを目指す。同社のL. ガイフェ燃料事業部門上級副社長は、「今回の承認は、より高い濃縮度を持つ燃料ソリューションを原子力市場に導入するための次なるステップ。従来の濃縮度を超えることで、次世代燃料導入を加速する」と語った。リッチランドの施設では、より高い濃縮度の燃料を安全に製造するために必要な設備変更が2022年から進められており、2027年初めには改訂ライセンス要件が施設に適切に導入されたことを確認するため、米NRCによるORR(Operational Readiness Review: 運転準備審査)が予定されている。ORRが承認され次第、初回の製造を開始する。なお今回の承認は、最近のNRCによる以下の承認に続くもの。GAIAおよびHTP燃料設計((GAIA: フラマトムの最新世代PWR燃料設計、HTP: その前世代の高性能PWR燃料設計))における燃焼度上限の引き上げ高い燃焼度を支えるPWR用解析コードをU-235濃縮度が5%を超える運転条件への適用U-235濃縮度が最大8%のPWRおよびBWR用未使用燃料集合体の国内輸送これらの技術革新上のマイルストーンは、高燃焼度・高い濃縮度の燃料を実現するために必要な技術開発を支援する、米エネルギー省(DOE)のATF(Accident Tolerant Fuel: 事故耐性燃料)プログラムの支援を受けている。
15 May 2026
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ベルギー政府は4月30日、フランスの電力会社エンジー(Engie)社ならびにその傘下にあるエレクトラベル(Electrabel)社と、国内原子力発電事業の取得に向けた独占交渉に入る意向表明書(LOI)に署名した。ベルギーの全原子力発電所は、仏エンジー社が傘下企業のエレクトラベル社を通じて所有・運転している。今回のLOI署名により、ベルギー政府は、国内にある全7基を管理下に置くことで国内の原子力部門の再活性化を図る考えだ。取得対象は、7基の全原子炉、関連する人員、すべての原子力子会社、および廃止措置および解体義務を含むすべての関連資産および負債。ベルギー政府は施設および資産について包括的なデューデリジェンスレビュー(企業買収調査)を実施し、2026年10月1日までに合意することを目標としている。交渉の結果を待つ間、ベルギーの原子力産業におけるすべての廃止措置および解体作業は一時停止される。ただし、この意向表明書は取引を成立させる法的拘束力のあるものではなく、取引の完了は最終契約の交渉および締結、ならびに必要な第三者および規制当局の承認を条件としている。政府はこの取組みを通じて、既存炉の運転期間を延長、新規建設を実施し、エネルギー供給の安定性や気候目標の達成、産業競争力の維持に資する、持続可能な事業体制の構築を目指すとしている。今回の政府の措置を受け、ベルギーの原子力産業団体であるベルギー原子力フォーラムのS. ドービーCEOは、「政府内の政治的決意とビジョンを示すもの。ベルギーのエネルギー供給の安定性に対する新たな前向きな展望を強固にする」と歓迎した。ベルギーにはドール発電所に4基、チアンジュに3基、計7基の原子炉がある。現在稼働しているのはドール4号機(PWR, 108.6万kWe)とチアンジュ3号機(PWR, 108.9万kWe)の2基のみ。2003年の連邦法(脱原子力法)では、原子炉の運転期間を40年に制限。新規建設は禁止され、すべての原子炉の最終的な廃止措置が求められた。ドール1号機と2号機は当初、運転期間が40年となる2015年に閉鎖される予定であったが、エネルギーの安定供給やCO2排出抑制の観点から、2015年6月の法律の一部改正により運転期間が10年延長された。また、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を契機としたエネルギー不足への懸念から、ドール4号機とチアンジュ3号機の運転期間は2035年まで10年延長された。さらに、ベルギー連邦議会は2025年5月、原子力発電の段階的廃止の終了と新規建設を認める政府法案を可決、脱原子力政策は撤回されている。
15 May 2026
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中国の広東省恵州市で5月10日、中国広核集団(CGN)の太平嶺(Taipingling)原子力発電所4号機(PWR=華龍一号「HPR1000」、120.0万kWe)が着工した。太平嶺原子力発電プロジェクトは、広東・香港・マカオ大湾区で初めて「華龍一号」を採用。中国が独自開発した第3世代炉である同炉型の、昨年の平均稼働時間を基に試算すると、4号機の年間発電量は90億kWhを超えると見込だという。太平嶺原子力発電所プロジェクトでは、3期に分けて建設が進められており、最終的に6基の華龍一号を建設する計画。総投資額は1,200億元(約2.8兆円)を超えると見込まれている。太平嶺サイトでは、1号機が4月20日に営業運転を開始。同2-3号機がそれぞれ、2020年10月、2025年6月に着工しており、2号機では、5月3日に初となる燃料装荷作業を完了した。
14 May 2026
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