第2回 原子力サプライチェーンシンポジウム 三村会長挨拶
日程:2024年3月14日13時
場所:イイノカンファレンスセンター
日本原子力産業協会会長の三村でございます。開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
本日は、ビデオメッセージをいただいた齋藤経済産業大臣をはじめ、ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長(IAEA)、オリヴィエ・バールCEO(GIFEN:仏原子力産業協会)など、多数の方々のご列席、並びにオンラインでのご参加をいただき、誠にありがとうございます。
さて、ご承知の通り、原子力発電を積極的に活用する機運は、国内外にて極めて高まっています。昨年12月のCOP28では、原子力発電が温室効果ガス排出削減の重要な手段であると、初めて成果文書に明記されました。加えて、米国、フランス、英国、日本など25か国は、パリ協定で示された1.5℃目標の達成に向けて、世界の原子力発電設備容量を2050年までに3倍に増加させる閣僚宣言を共同で発出いたしました。
一方、わが国でもCOPに先立つ昨年5月、原子力が確立された実績のある脱炭素発電技術であり、エネルギー安全保障や、経済安全保障に寄与するものとして、その最大限の活用に向け、数々の法改正が行われました。足もとでは「今後の原子力政策の方向性と行動指針」に基づき、技術開発、事業環境整備、教育・人材育成など、原子力の最大限の活用に資する産・官・学による活動が進められています。
今年改定が予定されている第7次エネルギー基本計画では、国際競争力を備えた2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、原子力の役割がより具体的に示される必要があり、そうなるものと固く信じております。
さて、わが国では、これまでに57基の原子力発電プラントが建設されましたが、原子炉圧力容器や発電タービンといった主要機器の多くが国内サプライチェーンによって供給され、その比率は9割にも達しております。さらに、プラント保守の経験も50年を超えております。
わが国にこうした強固な原子力サプライチェーンが存在していることは、既存炉の最大限の活用にとどまらず、新設炉の建設においても大いに力を発揮するものと考えております。このサプライチェーンを将来にわたって維持していくためには、国内における原子力発電所の新規建設が必要不可欠ですが、個別具体的な計画まで結びついていないのが実情でございます。このまま現状を放置し続ければ、事業撤退する企業も出かねず、人材の払底や技術の低下といった産業基盤の劣化が進行することも懸念されます。
原子力事業者並びに政府は、現在および将来における電力供給に対する責任を負っております。したがって、国を挙げて新規建設に向けた具体的な行動を起こすことで、この責任を果たさなければなりません。
原子力産業界としては、昨年3月に経済産業省と立ち上げた「原子力サプライチェーンプラットフォーム」にて、その強化に向けた様々な取り組みを行っております。
サプライチェーンの維持・強化は、わが国のみならず世界各国でも大きな課題となっておりますので、本日のシンポジウムでは、そうした海外の様々な取り組みをご紹介いただき、今後の日本の取り組みに最大限活かしてまいりたいと思います。また、本日は、学生の皆様にもご参加いただいております。これからの原子力産業界を背負って立つ可能性のある皆さんに世界の原子力利用推進の熱量を感じ取っていただくと同時に、わが国の原子力産業の実績と実力、そして国際展開への展望を知っていただく場としてご活用いただければ幸いです。
最後に、本日のシンポジウムを機に、わが国の原子力サプライチェーンの強化と、海外産業界との国際原子力サプライチェーンの連携が、ますます深まることを祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
以上
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