2022年度定時社員総会 今井会長挨拶

2022年6月17日

日時:2022年6月16日(木)15:00~
場所:日本工業俱楽部

日本原子力産業協会会長の今井でございます。定時社員総会の開会にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

新型コロナウイルスの感染状況については、未だ予断を許さない状況ではありますが、こうして本年度の社員総会を開催することができ、大変嬉しく思っております。
これまで、二年余りに及ぶコロナ禍において、原子力発電所の安全な運営や、原子力産業界全体を支えてこられた皆さま方に、この場をお借りして、敬意と感謝を申し上げます。

さて、昨今、化石燃料の需給見通しが世界的に不安定化し、急激な価格高騰などをもたらしております。
さらに、本年2月末に始まった ロシアのウクライナ侵攻に伴う、各国の脱ロシア依存政策によって、さらなるエネルギー需給のひっ迫が懸念されています。
こうした状況の中、エネルギー安全保障の観点から、安定した非炭素電源である原子力に期待する声は、世界各国で益々高まっております。

翻って我が国の状況を見たとき、エネルギー自給率は約11%と、 OECD諸国の中でも最低クラスにあります。
エネルギーは、国民生活や産業・経済活動の基盤であり、国の根幹を左右するものであります。
我が国も、こうしたエネルギーの危機的な状況を原子力の最大活用によって、一刻も早く改善していかねばなりません。

本年5月、クリーンエネルギー戦略の中間整理がとりまとめられました。
そこでは、昨今の世界的な情勢変化も踏まえ、エネルギーの安定供給の確保があらゆる経済・社会活動の土台であり、エネルギー安全保障なしには、脱炭素の取組みもなしえないことが再確認されました。
また、その上で、エネルギー安全保障と脱炭素の両輪を実現する電源として、再生可能エネルギーと並んで、原子力を最大限活用することが明記されました。
こうした状況の変化に対応して、当協会といたしましても、再稼働の着実な進展や、 既設炉の徹底活用、将来の新増設・リプレースなど、原子力の最大活用について 強く訴えて参りたいと思います。

さて、原子力発電を最大限活用するためには、他にも重要なことがございます。一つはバックエンド事業をしっかり進めることであります。
一昨年、北海道の 寿都町と、 神恵内村に文献調査を受け入れていただき、NUMOによる調査が順調に進んでいると伺っております。今後、地元のご理解がより深まることを期待いたします。

もう一つの重要事項は、原子燃料サイクル事業でございます。本年、六ヶ所村の日本原燃再処理工場が竣工の予定でありますが、今回こそは無事に竣工することを願っております。
また、適切なプルトニウムバランスを保つためには、プルサーマル発電の進展が 必須となります。各電力会社の一層の取り組みにも期待しております。
当協会としても、各事業者の皆さんと密接に連携し、我が国における原子燃料サイクルの一日も早い確立と、最終処分事業の着実な進展に一層の努力をして参りたいと思います。

将来にわたって原子力を持続的に、かつ、安全に活用していくためには、高品質なサプライチェーンの維持と共に、優秀な人材の育成と確保が不可欠であります。
次世代大型炉や、SMRなどの革新炉開発につきましても、国際連携のもと、 産・官・学の総力を結集することが必要です。
新たな技術開発により、若い方々が原子力に興味を持つという、良い循環に繋げていけるよう、当協会として、引き続き原子力人材育成ネットワークの取り組みを充実させて参ります。

最後となりますが、原子力が社会に貢献し続けるためには、立地地域はもとより、社会全体の理解が必要です。
産業界や、関係各機関がそれぞれの役割を果たし、原子力の有する価値について国民の理解が進むことが、最も重要であります。

当協会は、引き続き、
・「国民理解の促進」
・「人材の確保・育成の推進」
・「国際協力の推進」
この3つを柱に、放射線利用も含めた原子力産業の再生に向けた取り組みを積極的に展開して参ります。

今後とも 一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。ご清聴有難うございました。

以上

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