MOX燃料加工の事業変更許可決定に寄せて
一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗
昨日開催された原子力規制委員会において、日本原燃(株)における核燃料物質の加工の事業の変更許可(MOX燃料加工施設)が決定された。ここに至るまでの日本原燃および原子力規制委員会をはじめとする関係者のご尽力に敬意を表したい。
MOX燃料加工施設は、原子力発電で使用された燃料から再処理により回収したプルトニウムを新たな燃料に加工する施設であり、この施設で製造された燃料を、すでに再稼働している4基を含む全国16~18基の原子炉で使用することを目指している。
エネルギー資源の大部分を海外からの輸入に依存している我が国は、原子力開発の当初から、資源を有効利用しエネルギーセキュリティを向上させることを目的として原子燃料サイクルの確立を基本方針としてきた。これまでは仏国と英国に使用済燃料の再処理や燃料加工を委託し、製造されたMOX燃料を輸入してきたが、先の日本原燃(株)再処理施設に続き、今回MOX燃料加工施設の事業変更が許可されたことは、国内における原子燃料サイクルの確立に一歩前進したことを意味し、我が国のエネルギーセキュリティの観点から大変意義のあるものである。
我が国は利用目的の無い余分なプルトニウムを持たない方針であり、このためにも、再処理施設に伴うMOX燃料加工施設は重要である。日本原燃には引き続き、安全第一で工事を着実に進めていただくとともに、地元の皆さまへの丁寧な説明をお願いしたい。
大量の電気を安定的に長期間継続して供給することが可能で燃料の備蓄性にも優れている原子力発電は、我が国のエネルギーシステムを強靭なものとするためには欠くことのできない電源であり、電力の低炭素化にも大きく貢献している。原産協会は、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献する原子力発電の価値、エネルギーセキュリティを向上させ、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度の低減にも貢献できる原子燃料サイクルの意義について国民の皆さまにご理解を深めていただけるよう努めて参りたい。
以 上
<参考>
資源エネルギー庁がお答えします!~核燃料サイクルについてよくある3つの質問(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/qa_kakucycle.html
「使用済燃料」のいま~核燃料サイクルの推進に向けて(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/shiyozuminenryo.html
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