島根原子力発電所2号機の原子炉設置変更許可決定に寄せて
一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗
本日、原子力規制委員会において、中国電力(株)島根原子力発電所2号機(以下島根2号機 沸騰水型炉:BWR、出力82万kW)の原子炉設置変更許可が決定された。2013年12月の申請から許可まで約8年を要したが、BWRの発電所としては2020年2月の女川2号機に続き5基目*1、全国全ての原子炉で17基目となる。
審査では184回(2021年6月末時点)の会合が開かれ、新知見や調査データなども取り込みながら地震・津波の想定等の見直しを含め、慎重に議論がなされた。こうした会合の結果を踏まえ、基準津波を9.5mから11.6mに引き上げるなど安全対策がより強化された。許可に至るまでの中国電力と規制当局の取り組みに敬意を表したい。
島根2号機の発電電力量により、約27万世帯に電気の供給が可能である。その分火力発電所の稼働を抑えることができるため、中国電力は二酸化炭素(CO2)排出量で、年間260万トン(19年度排出量の約9%)を削減できる見込みとのことである。
先日出された第6次エネルギー基本計画案では、2030年度に2013年度比でCO2を46%削減するために、原子力発電は総発電電力量の20-22%を担うことが期待されている。その達成のためには27基以上の原子炉の再稼働が必要であり、島根2号機は、その貴重な戦力となる。また、島根2号機の再稼働により中国地方の安定供給がより強固なものになる。
9月7日には島根2号機の住民避難計画が政府の原子力防災会議で了承されたが、中国電力には引き続き、安全第一で安全対策工事を着実に進めていただくとともに、地元の皆さまへの丁寧な説明・情報提供をお願いしたい。
*1柏崎刈羽原子力発電所6、7号機、女川原子力発電所2号機、東海第二発電所および島根原子力発電所2号機。
以上
<参考>
〇島根2号機の設備概要(中国電力HP)
https://www.energia.co.jp/atom/atom6-2.html
〇審査の状況(中国電力HP)
https://www.energia.co.jp/judging/itiran.html
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