第28回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長発言内容

2022年6月30日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

2022年6月30日開催の第28回原子力小委員会において、立地地域との共生と国民理解の促進について、新井理事長より専門委員として以下の発言を行いました。

1.まず、地域との共生について申し上げます。

日本原子力産業協会の会員は、電気事業者やメーカーなどの企業のほか立地自治体も入っており、会員向けの視察会や講演会への参加を募り、情報提供や意見交換の場を設けています。

電力消費地と立地11道県のオピニオンリーダーで構成される「JAIF地域ネットワーク」と呼ばれる組織を運営し、地域の組織と連携し、産地、消費地間の対話にとどまらず、立地地点相互の情報共有も図れるよう努めています。

原子力発電所の運営では、地域の企業が多く関わっています。原子力発電所の安定稼働は、関連企業の技術、品質の向上にとどまらず、地域産業全体の技術力向上や経済波及効果があります。政府には、こうしたメリットも踏まえ再稼働、新増設など原子力を推進する政策を明確に打ち出して欲しいと考えます。

2.次に、国民理解促進について二点申し上げます

一点目は、原子力に関する世論についてです。事務局資料33-34ページにあるように、原子力への理解が近年高まっており賛成が反対を上回る結果も出てきています。当協会では引き続き、3Eなど原子力の持つ価値について国民の皆さまに分かりやすく伝えていきたいと考えます。

岸田首相から「原発を1基動かすことができれば、世界のLNG市場に年間100万トンを新たに供給する効果がある」と非常に分かりやすい発言がありました。こうした政府からの力強い発信は、国民の原子力に対する意識を大きく変える力があると思います。これからも積極的な情報発信の継続をお願いしたいと思います。

二点目は、理解促進活動についてです。事務局資料51ページ「今後の方向性に向けた主な論点」の論点1について、38ページにあるように、政府や事業者が行う広報活動はあまり目にされておらず信頼もされていないという厳しい現実があります。一方、多く活用されかつ信頼できる情報源としてテレビ、新聞を挙げる人が多くなっています。このような事実を踏まえ、当協会では、私どもの情報発信の内容が新聞やテレビなどのメディアで取り上げられること、すなわち記事化を重視しています。これにより私どもの発信内容がマスメディアを通じて広く国民に伝わることを目指しています。マスメディアの方々には、定例記者会見という形で毎月参集いただき、文字情報だけでなく、対面・対話形式で最新情報の提供を行っています。また、記者の方々からは日々多くの問い合わせや海外情報の提供依頼などがありますが、それらに丁寧に対応することで良好な信頼関係を築き、正しい情報を正しい理解に基づいて報道してもらうよう努めています。

論点3、4について、当協会では、大学・高専でのエネルギーに関する出前講座を行っており、受講後に、学生の原子力発電の利用や、再稼働への理解・賛同が大幅に改善することが分かっています。原子力の国民理解に関する様々な調査結果を見ると、原子力の価値と放射線の健康への影響を正しく理解していただくことが原点だと感じます。出前講座の経験から、答えの押し付けではなく「データを提供して、考えてもらう」という双方向の取組みが理解の向上につながるものと考えています。

以上

<参考> ・第28回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(METI/経済産業省)

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