第29回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長発言内容

2022年8月9日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

2022年8月9日開催の第29回原子力小委員会において、原子力小委員会の中間論点整理について、新井理事長より専門委員として以下の発言を行いました。

論点を整理いただき感謝いたします。原子力サプライチェーンの状況にも鑑み、国、関係機関と連携して環境を整える事務局提案について、整理の方向性に異論はありません。

原子力産業団体として3点申し上げます。

一点目は、原子力の持続的活用、長期的な利用に関する政府・国による原子力利用継続の明確なメッセージが必要という事です。

原子力は、運転期間だけでも40年から60年の長期事業です。「長期的な事業継続の予見性」がなければ参入できません。企業は、政策の意思を、投資、人材確保、技術開発に反映していくものですので、原子力利用継続の強い意思表示をお願いしたいと思います。

二点目は、建設中を含め未だ再稼働していない原子力プラントの早期稼働の実現と、新増設・リプレースの早期検討開始です。

ウクライナ情勢に直面し、天然ガス、石油、石炭の供給がひっ迫する状況ですが、新規制基準審査申請した発電用原子炉は27基あります。既に稼動できる状態になった10基に加え、17基が投入できれば、さらに年間おおよそ1700万トンのLNGに相当する電力を供給でき、CO2排出量も確立された技術をもって効率的に削減することができます。

また、長期的にわが国のエネルギー安全保障を確保し、カーボンニュートラルを達成するためには、新増設・リプレースが不可欠です。計画から着工までのリードタイムを考えると、早期に検討を開始する必要があります。

三点目は、原子力発電への国民の理解と信頼の獲得に関係者一丸となって取り組むことです。

将来にわたって原子力を活用するためには、安全・安定な運転、安全なプラントの設計・建設、燃料サイクル、廃止措置、廃棄物の処分など、どれをとっても国民の理解なくして進めることはできません。また、原子力に対する理解や期待が高まれば、優秀な人材も自ずと集まってくると考えます。原子力は、技術をもってわが国に不足するエネルギー資源を作り出してきました。次の世代に引き継ぐためにも、若い人たちに、原子力を学んでみたい、研究してみたいと思って貰えるよう、理解増進・信頼獲得は不可欠なものと考えます。

当協会としても、中高等教育現場への支援、高専・大学への授業の支援など教育現場との連携、人材育成ネットワーク活動での産官学の連携等を通じて尽力して参る所存です。

以上

<参考>・第29回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(METI/経済産業省)

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