第30回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長発言内容
一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗
2022年8月25日開催の第30回原子力小委員会において、原子力小委員会における中間論点整理について、新井理事長より専門委員として以下の発言を行いました。
事務局には、中間論点整理(案)の適切な取りまとめに感謝いたします。
中間論点整理(案)の「原子力の価値」、「ものづくり基盤」、「コミュニケーション」の3点に関連して、原子力産業団体として申し上げます。
1つ目は、「原子力の価値」と予見性の観点です。
国際情勢がどのように変わっても、日本が資源小国であるという事実は不変です。これを踏まえ原子力の価値を再確認しておくことは、政策の安定性を図る意味で重要と考えます。
電力自由化政策の下では、原子力の非化石価値、エネルギー・経済安全保障の価値に鑑み、政策的措置によって投資回収の予見性が確保されることが必要ではないかと考えます。
2つ目は、「ものづくり基盤」あるいはサプライチェーンに関してです。
産業界は、多数の未稼働プラントについて、これまでの10年の長期停止がさらに継続することに不安を感じています。停止が継続し事業離脱につながると、その回復には長い時間がかかります。
停止の長期化に伴い現場ではOJT機会が減少しています。経験豊かな技術者が高齢化するなどで、我が国の建設経験での技術優位性は徐々に失われていきます。このような産業競争力の観点からも早期再稼働や早期の建設開始が重要です。
また、当面国内受注が低迷する見通しの中、海外プロジェクトへの参画は目前に迫った商機です。機器・部品の輸出振興に関する政府支援も望まれます。
3つ目は、「コミュニケーション」に関してです。
現下のエネルギーや国際政治の情勢により、原子力の価値への理解は進んでいると感じますが、これを一過性のものとせず、とりわけ今後の原子力技術・産業の担い手となる学生など若年層への浸透を図ることが重要だと考えます。
若年層には、原子力技術により地球環境問題の解決や経済・社会の発展に貢献でき、原子力産業が有望な職業である事などを確信してもらえるよう、情報発信していくことが大事です。
また、電力需要地においては、原子力による安定的な電力供給の背景に発電所の地元の皆様方のご協力があることをしっかりと発信していくことが必要と考えます。
以上
<参考>・第30回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(METI/経済産業省)
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