三菱原子燃料株式会社の生産再開に寄せて
一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗
三菱原子燃料(株)は、8月19日新規制基準(*1)に適合した安全対策工事および検査を完了し、この度 国内の原子燃料生産会社3社の先陣を切って原子燃料の生産を再開する運びとなった。約3年9ヶ月ぶりの生産再開は、国産原子燃料の安定供給を通じて原子力発電所の安定運転に寄与するもので、三菱原子燃料(株)および関係者のこれまでの燃料生産再開に向けた努力に敬意を表したい。
国内の原子力発電所で使用されるウラン燃料の大部分は、国内3社4工場(*2)で成型加工が行われている。三菱原子燃料(株)では成型加工に加えて、その前段である六フッ化ウランを二酸化ウランに転換し、粉末に加工する工程も行われている。
原子力発電用の原子燃料を生産する3社は、新規制基準が施行された後、5年の猶予期間を経た2018年12月に生産を停止し、新規制基準の要求する耐震等の設計基準の強化や重大事故対策等の対応(*3)を進めてきた。
三菱原子燃料(株)は2014年1月に審査申請以降、約8年7か月の間に、計29回の審査会合と約300回の原子力規制委員会との面談等を実施、認可に基づき安全に工事および検査を進め、原子力規制委員会より8月19日付で使用前検査合格証と使用前確認証を受領し、この度燃料生産を再開した。
昨年10月閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、燃料の安定供給を含むS+3Eの重要性が再確認された。とりわけ、厳しさを増す化石燃料の国際調達環境の中、サプライチェーンの重要な部分である原子燃料生産の大部分が国内で行われることは、エネルギーセキュリティー上非常に大きな意味がある。
三菱原子燃料(株)および、(株)グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、原子燃料工業(株)の関係各位には、燃料生産にあたりこれまで通り安全第一、安定操業でわが国のエネルギーの安定供給を支えていただきたい。
以 上
*1 東京電力福島第一原子力発電所事故の反省や国内外からの指摘を踏まえて策定された新しい規制基準
*2 三菱原子燃料(株)本社/東海工場(PWR用燃料製造)
(株)グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン久里浜工場(BWR用燃料製造)
原子燃料工業(株)東海事業所(BWR用燃料製造)および熊取事業所(PWR用燃料製造)
*3 実用発電用原子炉及び核燃料施設等に係る新規制基準について(P23、P26)(原子力規制委員会)
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