第36回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長発言内容

2023年7月26日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

2023年7月26日開催の第36回原子力小委員会において、新井理事長より専門委員として以下の発言を行いました。

「GX実現に向けた基本方針」及び「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の閣議決定、そして「GX脱炭素電源法」の成立は、原子力発電利用の価値が明確化され、積極的に原子力を活用していく方針が明示されたものと認識しています。

私からは3点申し上げます。

1点目は、既設炉の早期再稼働と最大限活用についてです。

 原子力の最大限活用には、まず再稼働基数を増やしていく必要があります。
 この意味で「GX実現に向けた基本方針」で「再稼働加速」が、また「今後の原子力政策と行動指針」で真っ先に「再稼働への総力結集」が示されました。再稼働については、事業者が努力する事が勿論ですが、政府からの力強い発信、例えば岸田首相や西村経産大臣のご発言などは、国民の原子力に対する理解を大きく進める力があると思います。これからも引き続き積極的な情報発信をお願いしたいと思います。

 また、安全性を確保しながら既設炉を最大限活用することは、最も経済的なCO2削減対策です。運転期間の延長は、それを実現するものとして大変有効であり、今般40年プラス20年の運転期間を利用政策側の制限と位置付けた上で、一定の停止期間に限り追加的な延長が認められる事は意義あるものと考えます。
 さらに、長期サイクル運転の導入や定期検査期間の短縮による稼働率の向上、また出力向上等も、最大限活用には有効と考えられます。

2点目は、電力市場自由化の中での事業環境整備です。

 自由化された電力市場では、初期投資額が大きく資金回収に長期間を要する原子力発電プラントの建設は敬遠される傾向があります。事業者が原子力を選択する為には、原子力の持つ非化石価値、エネルギー安全保障などの価値を考慮し、投資回収の予見性をしっかり高める事業環境整備が必要と考えます。

3点目は、サプライチェーンの維持・強化です。

 原子力発電プラントの建設では、およそ9割を国内で調達しており、技術は国内に集積しています。 「原子力の持続的活用」の観点から、高品質の機器製造・工事保守の供給は必須であり、そのためには早期の再稼働や新規建設着手が必要です。

 しかしながら、当面国内受注が低迷する見通しですので、産業界としては、輸出振興に関する政府の支援を得ながら、海外プロジェクトへの機器・部品の供給等にチャレンジして参りたいと考えております。

以上

<参考>

第36回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(METI/経済産業省)

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