第37回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長発言内容

2023年12月19日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

2023年12月19日開催の第37回原子力小委員会において、新井理事長より専門委員として以下の発言を行いました。

私からは2点申し上げます。

1点目は、サプライチェーンの維持・強化についてです。

資料1の「国内外の直近の動向」にあります通り、海外では、エネルギー安全保障、脱炭素の観点から原子力への期待が高まっています。

紹介された通り、COP28で「原子力3倍」の共同宣言の公表や、またCOPの合意文書において、原子力が気候変動に対する解決策として初めて明記されたことは画期的なことだと思います。

またこれに加え、先月フランスで世界最大の原子力産業の見本市である「世界原子力展示会」が開催され、当協会もブースを出展いたしましたが、約780者の出展と88の国と地域から約2万4千人が参加しており、大変活況を呈しておりました。ただ、残念ながら日本からは数社の出展にとどまりました。隔年開催ですが、日本企業にとっても海外の企業とチャンネルを作る良い機会であると思います。

当協会が毎年会員企業を中心に行っている「原子力産業動向調査」でも、海外事業への関心を示す企業は回答者の半数を超えています。

当協会では、会員企業を海外に紹介する「Nuclear Industrial Directory of JAPAN」というウェブサイトを開設していますが、ウェブサイトの海外関係者からの認知度も高まっていますので、引き続き会員企業の海外市場展開を支援していきたいと思います。

一方国内では、新規制基準申請済みのプラント27基中、12基が再稼働しましたが、未だ半数を超える15基が未稼働です。特にBWRは1基も再稼働していません。

当協会の原子力産業動向調査では、原子力発電所の運転停止に伴う影響として、「技術力の維持・継承」が最も懸念されており、その影響として「OJT機会の減少」が一番に挙げられています。

技術・技能の維持・継承、特に技能の維持・継承には、実際の現場が必要です。再稼働の進展とともに、次世代革新炉の開発・建設がロードマップに沿って具体的に進展するよう、産業界として期待するとともに努力していきたいと考えます。

2点目は、自主的安全性の向上についてです。

ATENAは事業者とメーカーで構成される組織であり、専門性の高い事業者共通の安全課題について、自ら対策を立案し規制当局との対話を行ってきたと認識しています。規制に先んじて自主的に安全対策を講じることで、現場の実態に即した効果的な対策を立案することができると考えます。

リスク情報も活用しながら、安全性の維持・向上と、プラントのパフォーマンス向上の両立を目指して頂ければと思います。

以上

<参考>第37回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(METI/経済産業省)

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