第7次エネルギー基本計画の閣議決定について

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 増井 秀企

2月18日、第7次エネルギー基本計画が閣議決定された。経済安全保障に対する要請の高まりや、DXやGXの進展による電力需要増加の見込みを受けて、政府が原子力の最大限活用の方針を示したことは大変意義深い。原子力産業の明確な意思決定の指針になると受け止めている。特に以下の点を高く評価する。

  1. 原子力を最大限活用する方針が示されたこと
    「原子力などのエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」と記載されたことで原子力産業への期待感が高まり、サプライチェーンの維持・強化や原子力分野の人材確保に好影響が期待できる。
  2. 既設炉の最大限活用に関する方針が示されたこと
    再稼働の加速、60年を超える新たな運転期間制度の執行、効率的な定期事業者検査、運転中保全の導入拡大、運転サイクルの長期化など、最大限活用に関する具体的方策の記載がある。事業者の蓄積された知見と経験を活かした既存炉の最大限活用は、経済性のある脱炭素対策として確実な効果が期待できるものである。
  3. 次世代革新炉の開発・設置に取り組む方針が示されたこと
    新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置について、
     ・将来の既存炉の減少と長期の建設リードタイムを考慮した対応が必要なこと
     ・次世代革新炉への建て替えを対象として具体化を進めていくこと
     ・革新軽水炉の新たな安全メカニズム等について規制当局と共通理解の醸成を図ること
    などの方針が初めて記載され、新規プラントの開発・設置への動きが加速化される。
  4. 原子力発電の持続的な活用への環境整備に関する方針が示されたこと
    大規模かつ長期にわたる投資、事業期間の長さ、規制基準、バックエンド事業など原子力事業の特徴を考慮し、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても安定的に事業運営できるような事業環境の整備の必要性を政府が示し、必要な検討を進めることが新たに記載された。これにより、資金調達や投資回収の課題に対して、政府による具体的な対策が打たれることを期待する。

原子力を持続的に、最大限活用していくためには、国民の皆様から信頼していただくことが何より重要である。原子力産業界は福島第一原子力発電所事故の教訓と反省を片時も忘れることなく、福島の復興・再生、福島第一原子力発電所の廃炉の着実な推進と同時に、高レベル放射性廃棄物の最終処分の進展にも努めなければならない。関係者が連携・協力して、必要な取り組みを着実に進めることが求められる。

当協会は第7次エネルギー基本計画に示された原子力発電への期待に応えられるよう、国民理解促進、人材確保・育成、国際協力に取り組んで参りたい。

以上

<参考>
 第7次エネルギー基本計画
 https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218001/20250218001.html

 GX2040ビジョン
 https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218004/20250218004.html

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