敷地内破砕帯の審査にあたって

2016年2月24日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 高橋 明男

 先日、東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所の敷地内断層に関する結論が出され、北海道電力(株)泊発電所3号機の基準地震動が決まるなど新規制基準に基づく適合性審査が着実に進みつつあると感じている。
 一方、旧原子力安全・保安院時代に敷地内破砕帯について追加調査指示が出された6サイトに関しては有識者会合を経た議論がなされているが、複数の事業者から意見書が提出されたことからも双方が納得できる議論とは言い難かったように思う。その為、今後の議論に向けて次の2点を是非お願いしたい。

1.議論の更なる徹底により規制当局・事業者共に納得が得られることを望む
 2014年12月の原子力規制委員会において、新規制基準に基づく申請がなされたプラントについては、適合性審査の中で有識者会合による評価を重要な知見の一つとして参考にすること、および事業者からの追加調査等による最新の知見も含めて厳正に確認を行っていくという方針が明確にされた。
 有識者会合において、原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれかは将来活動する可能性のある断層等であると結論づけられた日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機については、昨年11月の適合性審査申請後の本年2月に行われた審査会合において、原子力規制庁より適合性審査を進めるに当たっての13の論点(うち9項目が敷地内破砕帯などを含む地盤・地震関係)が示されている。今後の審査会合において、原子力規制委員会の上記方針のもと、示された13の論点に沿って議論が深まることを期待したい。
 一方、北陸電力(株)志賀原子力発電所については、これから有識者会合による評価書がとりまとめられる。既にピア・レビュー会合が行われており、レビューアーから評価書(案)に対する異論とも言える意見・指摘が出されている。今後の適合性審査に資するためにも、こうした意見・指摘事項を評価書に反映させることが重要である。
 規制当局と事業者は、審査においてコミュニケーションをより一層深め、科学的・技術的で双方が納得する議論を目指して頂きたい。

2.国民への分かり易い説明を望む
 断層や破砕帯の問題は、数ある原子力安全のポイントの中でも、国民の皆さまの不安につながる大きな要素の一つであるが、内容が専門的で非常に難しい。原子力の安全確保に向けた取組に対する理解は、国民の安心に必要不可欠であり、事業者はもちろん規制当局には、審査の透明性、公平性はもとより、その結論だけではなく、そこに至った過程についても、立地地域をはじめ広く国民の皆さまに分かり易く説明し、理解につなげて頂きたい。

以 上

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