「3月11日」から5年目を迎えて~原産協会の今後の取り組み~

2016年3月11日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 高橋 明男

東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故から、5年が経過しました。
今なお、10万人近い方々が不自由な避難生活を余儀なくされていることに、あらためて心よりお見舞いを申し上げます。

事故発生以来、被災地において復旧、復興に向けた多くの取り組みがなされ、全町避難となっていた楢葉町の避難指示解除をはじめ、常磐自動車道の全面開通、さらには除染土壌等の中間貯蔵施設予定地内保管場への搬入開始など復興に向けた環境整備が進められてきました。
福島第一の廃止措置においても、サブドレンの運用開始による汚染水対策をはじめ大型休憩所の運用開始や全面マスク解除範囲の拡大などによる作業環境改善、さらには周辺地区における楢葉遠隔技術開発センターの一部竣工など様々な進展が目に見えてくるようになりました。
これらの施策が地域の皆さまのご理解のもとに進められていることを忘れずに、引き続き取り組んでいかなければなりません。

一方で地域の方々の視点に立ちますと、放射線に対する不安により帰還がなかなか進まないことや、未だに続く農林水産物への不安など復旧、復興に向けた課題は山積しています。
また30~40年の長きにわたる福島第一の廃止措置には、まだまだ長い道のりが残されており、増え続ける汚染水の問題や燃料デブリの取り出しなど、多くの課題があります。

当協会では、引き続き福島の復興のお力になれるよう、以下の活動を中心に全力で取り組んでまいります。

〇地域の方々に寄り添った活動
当協会では、放射線に対する不安の解消につながるよう専門家を囲んだ小規模の勉強会を各地で開催し、幅広い支援につながるよう皆さまの率直な疑問やご意見を取り纏めて関係団体と共有する取り組みを行ってきました。
さらに双葉郡の自治体が復興に向けて個別に取り組んでいる様々な活動や課題を共有し、連携した活動にもつながるよう意見交換できる場作りに努めています。
今後も地域の方々の声に耳を傾け、地域の復興に向けた取り組みを支援してまいりたいと思います。

〇「事故を風化させない」取り組み
 当協会では事故以降、福島第一の廃止措置の進捗状況や福島の復旧、復興に向けた取り組みなどの情報を様々な機会を捉えて国内のみならず世界に向けて発信してきました。また年に一度の原産年次大会では福島に関する特別セッションを設け、地元の声を中心に国内外の原子力関係者に届けてきました。
引き続き、国内外の皆さまに福島第一の状況や復旧、復興に向かっている「福島の今」について正しくご理解いただけるよう、タイムリーでわかりやすい情報発信に努めてまいります。

〇福島第一の廃止措置のための人材確保と育成
福島第一の廃止措置は、これまでに経験したことのない困難かつ長期にわたる取り組みであり、世界の叡智を結集した対応が不可欠です。この取り組みを安全に、そして着実に進めるためには、世界の科学者と連携して新たな技術開発に取り組む若い世代の人材確保、育成が欠かせません。
当協会では、引き続き原子力人材の確保、育成の重要性を訴えるとともに、原子力の将来をも見据えた人材の確保、育成策に産官学の関係機関と協力して取り組んでまいります。

我々原子力産業界は、福島第一の廃止措置を安全、かつ着実に進めるとともに、進捗状況等の情報発信に努め、地元をはじめ広く国民の皆さまのご理解とご安心につなげてまいります。

以 上

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