原子力発電所の安全対策への理解にむけて~原子力規制委員会による新規制基準の考え方に関する解説資料の公開~

2016年9月13日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 高橋 明男

(原子力発電所の安全対策に対する理解)
 一般の方々にとって原子力発電所が新規制基準の適合性審査に合格したという報道を目にしても、どのような規制基準に合格し、どれだけ安全性が高まったのかについては十分には理解されていない。
これまでにも原子力事業者は、ホームページ、説明会等で安全対策の説明を行ってきているが、当協会が昨年度、全国の一般の方々を対象に実施したアンケートでも、「原子力発電所の安全対策に関心はあるが、内容についてはよく知らない」との結果が得られている。このような現状を踏まえ、関係者は安全対策についてご理解いただけるよう工夫して取り組んでいかなければならない。

(新規制基準の解説資料の公開)
 安全対策の理解を得るためには、まず新しい規制基準がどのような考え方で、どのように安全強化を図り、どのように確認を行っているのかを知っていただくことが大切である。
原子力規制委員会は、2016年6月29日に実用発電用原子炉に係る新規制基準の内容や根拠となる考え方の解説書をホームページで公開した。さらに8月24日に「地震、津波、火山の各対策」に加え、「規制全体の体系」や「立地審査指針」に係る記載などを充実させると共に、しおり機能の追加など見やすさを配慮した改訂版を公開した。今なお19基の原子力発電プラントならびに多様な核燃料施設等の新規制基準への適合性審査を行っている中での解説書作成であり、原子力規制委員会および原子力規制庁の本取り組みに敬意を表したい。

(規制当局への更なる期待)
 解説書の記載内容については、今後も地盤・断層関係の追加など引き続き見直されていくとのことであり、更なる充実に期待したい。
一方、この解説書について一般の方々に広く知っていただくことが大切であるが、現在のホームページ上では、すぐには見つけにくいので、表示の仕方に工夫をお願いしたい。
また、この解説書はQ&A形式で作成されており、Qを想定する程度の問題意識と専門知識が必要である。さらに300ページ超の分量があることから、一般の方々が内容を十分に理解するのは難しいのではないかと思われる。より平易な解説書やサマリー版の作成についても前向きに検討いただきたい。

(一般の方々の理解と信頼獲得に向けた産業界の取組み)
 今般、原子力規制委員会が新規制基準の考え方を整理・公開したことを踏まえて、原子力事業者には、個々のプラントが新たな規制に対し、どのような安全対策を行い、どのように安全性を向上させたのかということと合わせて自主的安全性向上の取り組みについても具体的に説明することで、一般の方々のご理解につなげていただきたい。当協会としても、安全対策の理解にむけた情報発信、対話活動などにこれまで以上に取り組んでいく所存である。

以 上

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