Jヴィレッジの一部再開にあたって

2018年7月30日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 高橋 明男

 日本初のサッカー・ナショナルトレーニングセンターであるJヴィレッジ(福島県楢葉町・広野町)は、1997年のオープン以来、日本代表のキャンプや、2002年FIFAワールドカップのアルゼンチン代表の合宿に利用されるなど、累計約680万人、12,800チームの方に利用され、スポーツ振興・地域活性化に貢献してきた。2011年の福島第一原子力発電所事故により避難指示区域となって営業を休止することになり、原子力発電所の事故収束の対応拠点として、廃炉作業や浜通りの復興に重要な役割を果たしてきた。
 その後、福島県復興計画において、復興のシンボルとして早期再開が位置づけられ、また東京オリンピック・パラリンピックの誘致決定等を踏まえ、芝生の整備、客室の改装等を行い、7月28日に営業を一部再開するに至った。当日はJヴィレッジの社長である内堀福島県知事の他、来賓として高円宮妃殿下、吉野復興大臣、松本楢葉町長、遠藤広野町長等の方々を迎え、記念式典が行われた。これまで営業再開に向けて尽力いただいた福島県、楢葉町、広野町、日本サッカー協会、Jヴィレッジ等の関係者の方々の努力に敬意を表したい。

 新生Jヴィレッジは2020年には年間利用者数を福島第一原子力発電所事故前の水準以上に戻すという目標を掲げており、今回の営業再開により、天然芝グラウンド5面と人工芝グラウンド1面、 ホテル、レストランが利用可能となった。全面再開を予定する2019年4月までにはJR常磐線の新駅も開業する予定となっている。再整備されたスタジアムの他、全天候型の練習場(サッカーのフルピッチを収容)や新ホテル棟、新しいコンベンションホールも建設され、2019年9月のラグビーワールドカップ日本大会、東京オリンピック・パラリンピックでも活用が期待される。ホテルはこのたびの増設により、最大470名が宿泊可能となり、廃炉作業やイノベーション・コースト構想の進展によって、研修や宿泊等の利用増加も期待できる。また、利用者の放射線に対する不安が懸念されているが、2015年9月に避難指示が解除され、Jヴィレッジの放射線量は0.1μSv/h程度であり、安心して利用いただける。Jヴィレッジの上田栄治副社長は「風評の払拭には情報発信が重要。発信力のある国内外のナショナルチームの誘致に全力を尽くす」と意気込みを語ってくれた。
 今後、Jヴィレッジが福島の復興のシンボルとして、スポーツ文化の拠点として活用され、発展していくことを切に願うとともに、当協会においても放射線に関する理解活動等を通じ、福島の風評払拭に努め、Jヴィレッジが国内外の多くの方々に利用していただけるよう応援してまいりたい。

以 上

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