IAEA報告書 教訓を今後使えるようまとめることが大事 岡原子力委員長
外務省国際原子力協力室ほか関係省庁は9月8日の原子力委員会で、国際原子力機関(IAEA)福島第一原子力発電所事故報告書について説明した。同報告書は8月31日にIAEA公式ホームページで公開され、日本語版全文も9月7日に公開された(http://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/SupplementaryMaterials/P1710/Languages/Japanese.pdf)。
説明によると、報告書では主に(1)事故の詳細と背景(2)安全性評価(3)緊急時への備えと対応(4)放射線による影響及び(5)事故後の復旧――の各テーマについて概要及び教訓が記載されている。特に放射線による影響については、「放射線関連の健康影響の発生率について識別可能な上昇は予測されない」と2014年4月にUNSCEARが公表した報告書の結論と一致することを確認している。天野之弥IAEA事務局長による巻頭言では、日本の原発は非常に安全でこれほどの規模の事故は全く考えられないという日本で広く受け入れられていた想定が事故要因の一つであり、事故発生時の日本の規則は十分に国際的慣行に沿うものではなく、緊急時の備えと対応の制度などの点で弱点があったと指摘している。一方で、事故後には新規制基準を施行し、緊急事態への準備・対応の制度を強化したことなど日本の取組についても言及している。
岡芳明原子力委員長は、報告書は全体的によくまとめられているが、国民の心理的社会的な側面からの観点でさらに補足する必要があるとの考えを示し、事故から得た教訓を今後万が一の際に使えるようにまとめることが国内外に対する責任だと強調した。
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