IAEA総会 岡原子力委員長 「現実的なエネミックス取り組み進める」 復興紹介も
【第59回IAEA総会 天野事務局長】
国際原子力機関(IAEA)の第59回総会が9月14日、ウィーンで開幕した。
総会では、天野之弥IAEA事務局長が演説を行い、「平和と発展のための原子力(Atoms for Peace and Development)」のイニシアチブを掲げ、原子力の平和利用技術を人類の福祉と繁栄に用いるべきであると強調した。
原子力発電については、多くの国が原子力発電をエネルギー供給と温室効果ガスの削減という2つの課題解決に寄与するものと考えているとした上で、今年末に開かれるCOP21の議論の場で、原子力発電について適切な考慮がなされるべきであると訴えた。
【政府代表・岡原子力委員長、「IAEA福島事故報告書の内容を真摯に受け止める」】
今回、日本政府代表を務める岡芳明原子力委員長は代表演説の中で、IAEAがとりまとめ今般公表した福島事故報告書に触れ、日本は同報告書の内容を真摯に受け止めていると強調した。福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策は確実に進捗しているとした上で、国際的にも開かれた環境で対策を進めていくことの重要性を指摘した。
IAEAと連携した活動としては、今年のOSART(運転安全調査団)ミッションの受け入れのほか、来年の総合規制評価サービスミッションを挙げ、IAEAと協力した安全性向上の努力を続けることを強調した。
また、川内原子力発電所1号機の再稼働について、2年以上の厳格な審査を経ているとし、今後も運転の安全に万全の努力を行い電力の安定供給を図ることの必要性に触れるとともに、長期エネルギー需給見通し策定に伴い今年7月に決定したエネルギーミックスにおいて、2030年度に20~22%の発電量の割合を担うとされる原子力を含め、現実的なエネルギーミックスの実現への取組を進めると述べた。
【政府主催レセプションで福島等被災3県の復興状況を紹介、地元食品も提供】
同じく14日昼には、政府主催のレセプションがIAEA内で開催された。東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県産の食品の提供とともに、福島第一原子力発電所事故からの復興状況を参加者などに紹介するのがねらい。天野事務局長はじめIAEA総会各国政府代表、ウィーン代表部大使ら200名以上が出席した。
主催者を代表し挨拶に立った岡原子力委員長は、震災時に支援・協力を提供した各国に対してあらためて謝意を示すとともに、今も風評被害に苦しむ福島県産食品の科学的な根拠にもとづいた安全性を強調、理解を求めた。
会場では、福島県をはじめとする民芸品に興味を示したり、3県産の日本酒や菓子の味を楽しんだりする海外参加者の姿が多く見られた。
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