都市大・早大シンポ、福島第一廃炉に向け学生らの声聴く
福島第一原子力発電所の今後をテーマとする東京都市大学と早稲田大学との共催シンポジウムが10月30日、都内で開かれ、東京電力、日本原子力研究開発機構からの講演を受け、パネルディスカッションでは、両学の原子力を専攻する3名の学生らが、長期にわたる廃炉作業に向けた意見や貢献への意欲などを述べた。
パネルディスカッションで、学生から「廃炉は本当に40年で終わるのか。現場の士気を維持するにはどうすればよいのか」といった質問が出たのに対し、東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの大沢高志氏は、完遂の時期については「実際のところよくわからない」とした上で、今後、困難を極める燃料デブリ取り出しに向け、「非常にチャレンジングな仕事をしているという意識」との意欲的な姿勢を示すとともに、「廃炉は将来的に今後も出てくる仕事」として、若い世代の活躍に期待をかけるなどした。
また、将来の原子力分野における人材確保について、3名の学生はそれぞれ、「原子力に貢献したいという意欲が大事」、「魅力を持たせること」、「他の分野とのつながりも大事」などと意見を述べた。原子力発電所の廃炉について、学生からは、初等中等教育でも取り上げる必要を述べる意見もあったが、ディスカッションのモデレーターを務めた都市大の高木直行教授は、「若手に押し付けていくという不公平感はないか」とも懸念し、「廃炉」という呼び名を考え直す必要も示唆した。
この他、シンポジウムでは、名古屋大学高等研究院の森島邦博氏が、現在、福島第一の燃料デブリ取り出しに向けて、圧力容器下部のデータ解析への適用可能性を検討している「原子核乾板を用いた透過型ミューオンラジオグラフィによる原子炉イメージング」の研究成果を披露した。
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